【感想・ネタバレ】邪悪なる大蛇のレビュー

あらすじ

『その女アレックス』の巨匠、最後のミステリー

意地悪に、ブラックに、酷薄に、
最・悪・の・事・態が加速する!

『その女アレックス』『悲しみのイレーヌ』『死のドレスを花婿に』……
ミステリーランキングを制覇し、フランス最大の文学賞ゴンクール賞も獲得。
鬼才ルメートル、最後のミステリー。

夫を亡くして独りで暮らすマティルド、63歳。殺し屋。戦争中は冷血の闘士として知られ、戦後は凄腕の殺し屋として仕事を請けてきた。だが彼女には認知症が少しずつ忍び寄りつつあった。それに気づいたのは、彼女に殺しを依頼している戦中からの同志アンリ。マティルドの殺しが必要以上に過激になっていたのだ。一方マティルドの中では、かつて抱いていたアンリへの恋心が甦り、暴走は加速してゆく! 最悪の事態が雪ダルマ式にふくれあがる! マティルドを愛していたアンリは、そして事件を追う真面目な刑事ヴァシリエフは、彼女を止められるのか?

アタマからラストまで、ひたすら加速する「最悪と意地悪のスパイラル」。その果てに待つラストのサプライズは、笑ってしまいそうに衝撃的で電撃的で残酷で、まるで私たちの運命のようなのだ。

「多くの読者は気に入った登場人物がひどい目に遭うことに抵抗を感じる。だが現実の人生はどうだろうか。恋人が突然心筋梗塞で命を落としたり、友人が脳卒中で倒れたり、近親者が交通事故に遭ったりと、理不尽なことが次々起こる。なぜ小説家は現実の人生よりも手加減しなければならないのだろうか?」――ピエール・ルメートル

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

いろんな目線で話が進んでいき、テンポも良いのであっという間に読んでしまった。感情移入したところで主要人物があっさりと死んでいくのもルメートルらしく面白い。最後どうなるのかと思ったらスッキリ、といったラスト。認知症の殺し屋が認知症の老人に制されるといった発想も面白い。

0
2024年10月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

奇しくもパリオリンピック開幕と同時に読むことになったのですが、フランス的底意地の悪さや捻くれ、一筋縄でいかない、わけわからない…などの要素を堪能できて気持ちよかったです。
そういうものが楽しめない方にはおすすめしません。

0
2024年07月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

本書がピエール・ルメートルの最後のミステリーという売り文句で世に放たれていたのは知っていた。
だが、その後ルメートルの新作らしき本も見かけることがあり、どういうことだ?と思っていた。
なるほど「ミステリー」は最後ということらしい。

他に取り組んでいるという″歴史小説″の方を読んだことないので何とも言えないのだが、別にこれも「誰か分からない犯人が事件を起こして警察なり探偵なりが手掛かりを追い犯人を突き止める」といういわゆる王道なミステリーというわけではなく、ノワールとかサスペンスといった着想や展開の妙で魅せる類の作品。
わざわざ最後とか言う必要あるのかな。

着想はユニーク。
老齢を迎えた主人公というのは近年ちらほら見かけるような気がするけど、認知症の兆候ので始めた凄腕の殺し屋(女性)というのは、エッジ効かせてきたなと。
展開も面白い。
仕事の出来栄えをめぐる悶着や明後日の方向に突き進み完遂してしまう姿。
はちゃめちゃなんだけど、何故かドタバタ感はそうでもない。

ただ、本人も認めるようにとにかく登場人物達(犬含む)に容赦がない。
そこまで紡いできた物語に未練もなく、すぱっと引導を渡す。
現実世界ですら容赦ないのに、ましてや犯罪小説の中にしてなぜ手加減する必要がある?というのが本人の論のようだが、なんて言うかそこは意味とか、去ってなお残される物語性っていうのが欲しいところ。
決して容赦ない現実をトレースしたいだけで読んでいるわけではないので。

初めて書いた作品をわずかに手直ししてピリオドとしたそうだが、これでいいのかな。
ある意味″歴史小説″の方ではどんなテイストになっているのか読んでみたくなった。

0
2025年10月26日

「小説」ランキング