あらすじ
天明の大飢饉、老中松平定信の「寛政の改革」失敗と、日本中の経済がどん底の時代。伊勢三十二万石の藤堂家も莫大な借金に喘いでいた。藩主高嶷は藩政改革を決意し、若き下級武士の茨木理兵衛を勘定方に大抜擢。実績を上げ、瞬く間に農政の重職・郡奉行に出世する理兵衛。着実に実績をあげる彼だが、藩の財政赤字は酷くなるばかり。彼はついに、財政再建の秘策「地割」敢行を決意する。だが門閥重臣たち旧弊勢力が理兵衛の前に立ち塞がる。さらに、藩全体を揺るがす大事件が――。感涙必至の歴史長篇。
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Posted by ブクログ
戦の時代から経世の時代に変わる。いつの世も新しい価値観についていけないものがいて、混乱が起きる。悪名をものともせずに改革に挑む茨木理兵衛という、融通の効かぬ男の壮絶な物語。いつの世も理が勝つとは限らない。
Posted by ブクログ
最後どうなるのかと思いながら読み進めたら、そうなったかぁ......という結末。
かと思いきや!
現代の政治状況に一石を投じる感があり、その辺りも評価されるべき作品なのかもしれない
Posted by ブクログ
増え続ける莫大な借財を抱えた藤堂高虎の津藩。
誰も成そうとしなかった改革に打ち進んで行こうとする若き奉行の物語。
一気に読ませるのは、現代も又持てるものと持たざるものの二極分化とその閉塞感に立ち往生しており、その社会構造が似ているからかもしれない。
カンフル剤にも似た力技でしか世の中を変えることができないのか、正しき答えは無いと思うが、それでも私たちは一人一人自分の頭と心を総動員して考え続けなければならないと思う。
物語の最後の主人公の茨木理兵衛の言葉、
「自ら学び、自ら考え、視野を広く持ち、信念を貫け。必ず乗り越えられる。何があろうと、胸を張って生き抜くのだ。」
が、そのまま作者のメッセージとして伝わった。
帯にある「感涙必至」という文言は大袈裟かな〜。