あらすじ
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・ロングセラー『月とコーヒー』から派生した
〈インク三部作〉堂々完結!
~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・
この世界は
喜びと悲しみを繰り返しながら
回りつづけている。
もう、泣かないで。
師匠のベルダさんが
愛用していた万年筆のインク、
〈六番目のブルー〉を探し求めて
ジャン叔父さんと旅をつづけてきた
14歳のオリオ。
インクの秘密を解く鍵が
奇妙な唄にあるとわかるが、
なかなか見つからない。
そんなとき、
迷えるオリオを導いたのは
世にも稀な
「本当の真っ赤な林檎」だった――。
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Posted by ブクログ
【あらすじ】
失われた“六番目のブルー”を探して旅に出たオリオが出会ったのは“5番目のブルー”と“六番目のブルー”を作った青年カナタ。
でも、そのカナタにもどうして“六番目のブルー”を作ることが出来たのかが分からないため、“六番目のブルー”を作ることは出来ないと言われてしまう。
探し物が見つからないまま、旅を終えることになると思った矢先、“六番目のブルー”にあって“五番目のブルー”になかったものの答えが判明する。
※以下の感想にはネタバレが含まれます。ご注意ください※
【感想】
「インク三部作」がついに完結です。
失われたインクを探す少年の旅が終わりました。
“六番目のブルー”は“五番目のブルー”に涙の成分が加わってできたものでした。
人の悲しみによって作られるのが“六番目のブルー”なら、自分は“五番目のブルー”でいい。それがオリオの選んだ答え。
長い旅の中で、オリオは大事な人の死を受け入れることは、その人を失うことではないのだと気付かされます。
その人の持っていたものを引き継いで、その人の思いと自分の思いがひとつになることで、継承されていくのだ、と。
そして、新たに始まるのは「自分を探す旅」です。少年の旅はまだまだ続いていく。
希望のあるラストシーンが、せつなくて、優しくて。
読み終わってからしばらくの間、放心状態になりました。
吉田さんの作品を評するとき、私はいつも“大人のための童話”と表現しますが、このシリーズも間違いなくそんな世界観の中で繰り広げられています。
就寝前の静かな時間に読むのにぴったりな作品です。
Posted by ブクログ
第六のブルーを探し求めるオリオと叔父さんの旅。またさまざまな人とそして出来事に出会ってゆく。
真っ赤な林檎を見つけたり小さいココノツ、大きいココノツに出会ったり、迷路の謎を解き明かしたり。
「哀しみ」の意味を深く知ったり。
毎回のことながら、会う人達の一風コミカルだけれどしみじみとした事情に一緒に想像の世界へ旅立てました。
Posted by ブクログ
『それでも世界は回っている』完結編。
1、2を読み終えた時点で危惧していたことが発生。
これまでの内容をほぼ忘れている。。。
というか2の終わりをあまり覚えていない中で、思いっきり前作場面の続きから始まるので「何だっけ?」感が凄まじい。
それでも次第に思い出す登場人物やストーリー。
あぁ、そんなこともあってここまで来たんだった。
ただ1、2に比べてクライマックスに近いということもあり、この旅物語の意義をまとめようということなのか、新たな場面に出くわすよりも、これまでの場面を振り返りながらの抽象的、哲学的な解釈談義が多く、やっぱり出来ることなら1~3を一気に読みとおすのがいいのだろうなと思う。
「人と人は、考えや思いが違うから争うんじゃないんだよ。同じことを考えて、同じものを求めるから、争いになる。
だけど、同じものをもとめているんだから、そいつこそ、俺といちばん分かり合える奴かもしれないんだ。
悲しいな。」
「人生ってのは道順を見きわめることじゃないんだ。道順とは別のところに自分の道を見つけることだ。な?じゃないと、道順に選ばれなかった道が浮かばれんだろう。」
「だけど、時間は俺たちの悲しみをやわらげてくれたりする。時間の野郎はさ、俺たちの大事なものをことごとく奪いとっていきやがるが、俺たちの悲しみや辛い気持ちや苦しみも連れて行きやがる。うまいこと出来てるよ。大事なものを奪われたことはたしかに悲しい。間違いなく悲しいよ。だけど悲しみには終わりが必要なんだ。」
いずれも普段はちゃらんぽらんなジャン叔父さんの言葉。
「5番目のブルー」と「6番目のブルー」の違いを生んだ秘密、「6番目のブルー」がつくられなくなってしまった事情にも納得。
穏やかでやさしい幻想世界の中で、人生の深き真髄の一片に出逢う一冊。