あらすじ
わが家は全員嘘つきで、人殺しだ。
世界27カ国で刊行!伏線だらけの謎解きミステリー。
すべての真相を、見抜けますか?
雪山で起きた連続殺人。容疑者は一家全員。
ぼくたちカニンガム家は曰くつきの一族だ。35年前に父が警官を殺したあの日以来、世間からは白い目で見られている。そんな家族が3年ぶりに雪山のロッジに集まることになったのだから、何も起こらないはずがない─その予感は当たり、ぼくらがロッジに到着した翌日、見知らぬ男の死体が雪山で発見された。家族9人、それぞれが何かを隠し、怪しい動きを見せるなか、やがて第2の殺人が起こり……。
古典的なフーダニットに、ウィットに富んだひねりを加えた作品。スティーヴンソンは「公平な探偵」を演じるだけでなく見事なミステリー・ゲームを創りだした―― Washington Post
まさに巧妙。一度目は楽しく読み、二度目は真相を確かめるために読む、二度読み必至作――CriminalElement.com
非常に巧みで面白い。著者はこの力作を、見えそうで見えないトリックを巧妙に操るマジシャンのごとく生みだした――Publishers Weekly
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フーダニットの特徴を網羅した本書は、数々の謎を読者に提示するとともに、ロナルド・ノックスの十戒を忠実に守り、その謎を解く手掛かりをすべて織りこんでいる。果たして犯人は誰なのか? 謎を解くカギは、作中で探偵の役割を果たすアーネスト・カニンガム同様、読者にもすべて与えられている。それらを正しく繋げることができれば、この問いの答えは明らかになる。読者の誰もが名探偵になれるのだ。さあ、あなたも謎解きに挑戦し、思う存分推理の楽しみを味わおう。(訳者あとがきより)
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Posted by ブクログ
海外の本は例えボケツッコミが多すぎて、それが面白くないものから笑えるものまで多数のネタが続け様に出てくるからちょっと胸焼けというか疲れる印象がある。この本も例に及ばずかなりのボケが入ってたけど割と笑えるものが多くて良かったし日本人でもわかりやすい例えとかだった。
一番最初に家族構成が出てきて全員殺してるってタイトルで暴露してるくらいだからじゃあ誰が今殺してる人が不明なのか、とか推理しながら読んでたから色々と見事に裏切られた感はある。
読書の手が止まらなくなるほどに面白かった!
Posted by ブクログ
主人公のメタい語口が面白い!
犯人が分かって片付いて一件落着…みたいな感じだけど、本当は1番の被害者だよなと思ってしまう。
犯人の中には大人によって傷付けられた小さな子供がいる。
それによって犯した罪を擁護することはできないけれど、幼少期に周りの大人と信頼関係が築けないことが人格に直結する。
個人的には叔母さんが犯人に言った「どうして私達家族に馴染めると思ったのよ?」みたいな台詞がキツかったなぁ。
だって、元はと言えばあんな仕事、あんな生き方をしていた実父のせい。元はと言えば(悪意があったわけじゃないけど)お母さんのせい。
そもそもそれで犯人は人生の全てを奪われたのに、自分達の過去の行動を棚に上げてよくそんなこと言えるなと…。
まぁ、叔母さんは義理の家族だからかもしれないけど。
始まりは大人がしでかしたこと。そのツケを最後に家族全員で払うことになった。
Posted by ブクログ
タイトルのキャッチーさが強すぎてあまり期待はしていなかった一冊。
いやいや、むしろ好きな方だった。
タイトルからは、ともするとサイコパス一家のしのぎの削り合いのような構図の想像もしてしまうがちょっと違う。
雪山のリゾート地、警察組織との因縁を持つとある一族の再集結の物語。
兄のマイケルが3年前の殺人の罪での刑期を終え出所する。
「ぼく」はその兄の刑に引導を渡した一族の裏切り者でこの3年間つまはじきにされてきた。
「ぼく」の一人称語りで綴られる再会の場で起きた事件と過去の事件の真相をめぐるオーストラリア発のモダンミステリ。
「ぼく」の語りのおどけ具合とメタっぷりが良い。
冒頭、ノックスの十戒に従ってフェアに綴ることを宣言しつつ、何ページと何ページに死に関する記述があってとネタばらし。
一方、大事な記述のある箇所では、(みなさーん、これはあれですよー)的なフラグ立てをしてくる。
雪山で発見された不可解な死体と一族につきまとう過去の因縁の事件の真相をめぐる究明譚はちょい入り組み過ぎ、かつ散々煽った割には的なところはあると思う。
だが、クラシカルな舞台設定と事件、誰もが怪しいサスペンス感、その古き良きをここぞというところで破壊してくるメタコメントの融合が絶妙で、語りの塩梅が超絶好きな一冊だった。
ただ、ノックスの十戒がそこまでインパクトないような。。
単なるフェアネスの宣言だけで十分成り立つ気も。
本国では『Everyone On This Train Is A Suspect』、『Everyone This Christmas Has A Secret』と続編らしき作品たちが刊行されている模様。
ハーパー・コリンズさん是非是非邦訳お願いします!
このミス2025年度版海外編9位。
Posted by ブクログ
この時代に、クローズドサークルでフーダニットの本格ミステリーは設定するのが難しいよなぁと思っているのですが、今回は登場人物が敢えて下界に降りないシチュエーション、そして警察が来れない(来ない)理由も含めて、よく練られているなというのが前提で面白く、ドキドキワクワクしながら読めました!
家族はみんな誰かを殺している…それだけ狂った人たちなのか…という前提で前半を読んでいくものの、実はみんなそれぞれの理由や背景、家族愛があり、それが犯人の動機との対比、つまるところ「家族とは何か」に行き着いて、読み応えありました。
冒頭に◯ページで殺されると言われ、「そんなに死ぬのか!そして誰もいなくなっなくらい、ドロドロでみんな死ぬ話か!?」と想像させられて実はそうでもなかったり、登場人物たちの冷酷そうな台詞が実は愛があったんだと気付かされたり…気持ちよい裏切られポイントが多くて、自分は好みでした!
海外小説だからこそのユーモアも自分は好きでした。何より作者が「十戒」にとことんこだわり、かつ「フェア」にと強調している分、穿った見方をせずに集中でき、時には話を整理できて、謎解きを純粋に楽しめたなと思います。
Posted by ブクログ
主人公・アーネストの父は35年前に警官を殺害したことで世間から白い目で見られていた。そんな家族が9人が冬のロッジに集まったが、そこで見知らぬ男の遺体が版権される。疑心暗鬼が募る中、第二の事件が発生する。
筆者である主人公の視点で、ミステリーのメタ的な視点を混ぜながら進行していくところがとても面白かったです。”みんな誰かを殺してる”というインパクトがあるタイトル、海外ミステリーの複雑さもありながら、伏線回収とどんでん返しが終盤に一気に襲い掛かってきてとても気持ちよかったです。”みんな誰かを殺してる”というタイトルから、後ろめたいことを隠しているのかと思いきや、結構無理やりだったり、明かされないこともあったりして、そこがマイナス点かなと思いました。
しかし、重厚でかつ手堅い展開でミステリーとしてとても楽しめました。
最後にこの作品をアニメ化したときの声優陣を自分なりのキャスティングにしたので読むときの参考にしてください。
アーネスト・カニンガム:小林親弘
マイケル・カニンガム:諏訪部順一
オードリー・カニンガム:田中真弓
マルセロ・ガルシア:内田夕夜
ソフィア・ガルシア=カニンガム:早見沙織
エリン・カニンガム:上田麗奈
ルーシー・サンダース:甲斐田裕子
キャサリン・ミロット:小山茉美
アンドリュー・ミロット:大塚明夫
ダリウス・クロフォード/ジェレミー・カニンガム:石川界人
ジュリエット・ヘンダーソン:能登麻美子
ギャヴィン:津田健次郎
Posted by ブクログ
俺みたいな不出来な読者でもそうなんだから、ある程度ミステリーを読んでる人なら分かる、タイトルが伏線になっている系…とは言え、核心の謎解きからは離れているので大きなネタバレにはつながらない。
冬のレジャー施設に閉じ込められた一家(無人島物になる)には、過去に大きな事件があり、その結果人間関係が一筋縄ではいかなくなっている、そして連続して人が死に始める。
怪しいヤツが怪しい行動をするのだが、その行動に理由が分かり始めると、理由が分かってないヤツが犯人なんだろうな?って予想はする。特にミステリー慣れしてないヤツはそうするが、そういうクセを逆手にとって、しかも反則技は使わず(何しろノックス10か条という古典王道ルールを踏襲すると作中しつこく言い続けるのだから)予想を超えた着地点に読者を降ろしていく。
メタ展開が若干しつこすぎて(デップーか!)読みづらいことを除けば、正統派真っ向勝負のミステリーで面白かった。オーストラリアにこんな作家がいたんだなぁ
Posted by ブクログ
不穏な表紙の影響で、てっきり全員が全員『殺人鬼』で自ら血に染まりにいってるのかと思ったけど、違ったことが予想外だった。
医療ミスで殺したと非難されている人(実際には殺してないがアルコール中毒だった)、息子を車の中に置き去りにし、熱中症で死なせてしまった人(実際には窓を割ってさらわれたため、死なせたのではなく見捨てたが正しいが、強盗にさらわれていなければ兄弟3人死んでいた)、愛するものを狂った殺人鬼から助けるために最終的には殺してしまった人など、それぞれに理由があった。最終的に狂っていた人物にも驚いたが…。
警察の暗部との関わりが、カニンガム家を悪名に仕立て上げたのも闇が深い。そして、伏線に何度も驚かされた。
私的には、ちょっと読みにくさを感じてしまったのが残念な点。やや文章がもたついている。そして海外ミステリーはやはり人物を覚えるのが大変で、名前がややこしいだけでなく愛称で呼んだりするため、理解が追いつかなくなる。あとはなじみのない建物の名前が出てくるため、いちいち調べなくては頭で場面が描けないことが多々あった。
あとは()の補足が多い。謎解きをしたい人にはうってつけだが、私のように純粋に読み物として楽しみたい人には向かないかも。でも、ストーリーは素晴らしかった。