【感想・ネタバレ】おじさんは傘をさせないのレビュー

あらすじ

新しい時代の常識に、変われないおじさんに、もう我慢できない! 『妻の終活』の著者が描く、現代「中年」小説! セクハラの嫌疑をかけられた男、女性の後輩に出世競争で負けた男、浮気が原因で離婚し、風俗通いを続ける男――。会社での働き方、女性への対応、家族との関係などの意識をアップデートできずに悩む「おじさん」たちが、あるきっかけから自分の人生を見つめ直していく。時代の変化という嵐に対応できない中年男性の悲哀を切なく、時にコミカルに描いた傑作小説! 『雨の日は、一回休み』を改題。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

裏表紙に書かれている(表4)内容紹介文の冒頭に、
「おじさん」はなぜ不適切な言動をしてしまうのか!?
とある。

まず、原因
・そのおじさんの全盛期には、男尊女卑が当たり前だった。
・そのおじさんの全盛期には、そのやり方は不適切ではなかった。
・おじさんのやっていた仕事は、今ではやる必要のないものになっている。

原因に対する感情
・当たり前のことを言っているのに責められて理不尽、自分は悪くない。
・相手にされなくて寂しい。
・自分の存在(価値)を全否定されていることへの怒り。

そこからの行動
・極端に気にしすぎ、何も話せなくなってしまう。
・自分の生活を改める。
・「女性or妻」に勝たなくてはいけないという考えを改める。
・怒りのエネルギーを趣味に向ける。

なんだかハウツー本の見出しみたいになってきました。
ただ、バブル期にブイブイ言わせていたおじさんたちは、今でこそ迷惑な不適切行動製造機になってしまいましたが、彼らの心の中には、思う存分仕事をしてきた、自分は輝いていた時があった、という栄光の思い出があるわけです。
一人、違うなあと思ってしまったのは、43歳でずっと非正規雇用、独身でワンルーム暮らし、一番安い炭水化物の食事をかき込むしかない、という境遇の男性です。彼には一度も栄光が巡ってきたことがない。可哀想すぎる。これからの人生が気になります。
それと、これから先、大変な目に遭うだろうと予想されるのは、営業成績ナンバーワンで爽やかな外見、既婚者なのに男にも女にもモテる、門前将門(もんぜん まさかど)36歳であろう。双子ちゃんが生まれたばかり。
「だからだよ。あんまり早く帰ったら手伝わされるじゃん」
この営業所は、所長の方針で基本定時上がりなのだ。だから飲みに行こう、と取り巻きたちを誘う。
今年読んだ本の中で一番、衝撃なセリフかも。後頭部をバチン!とひっぱたいてやりたい。

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2024年10月21日

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