あらすじ
【第171回芥川賞候補作】
「俺を転売して下さい」喉の不調に悩む以内右手はカリスマ“転売ヤー”に魂を売った!? ミュージシャンの心裏を赤裸々に描き出す。
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Posted by ブクログ
"プレミア"も"定価"も"無観客"も何かのメタファーなのかな。そこがなんだが漠然と、言語化できないけど分かるような気もするし、やっぱりよく分からないような気もする。それなのに、主人公の懊悩も、話の展開も、するする入ってくるし知ってるような感覚になる。
無観客は仮想通貨みたいなものなのかな。コロナ禍のロックダウン中の一体感に例えるくだり、当時言いようのない価値を感じてしまったことを思い出す。あれの事なのか。
Posted by ブクログ
クリープ好きなので読めました。
逆にクリープ好きではないと読むのはきついのではないのかなといった印象を受けました。
不覚にも内容面に関しては把握しきれませんでした。
ただ尾崎さんは理解されない、共感されない事に対して価値を見出している気がする。
誰かが読むために作った本というような感じではないと感じた。
尾崎さんの歌うことに対する苦悩に関しては、その事情を知っているファンからするとすごく伝わってきました。
本読んでる間、なぜかライブに言っているかのような不思議な感覚がすごくあった。
ただ、真実は本人にしかわからないから、知るよしもないけど、仮に“GITTYO”がクリープであると仮定すると、尾崎さんもそう言った目でファンのことを見ているのかなと少し寂しく思う節も少しあった。
ファンとしては、尾崎世界観の見てる景色を少しでも知ることができるっていうのはこれ以上ない幸せだけどね。
無観客ライブについてはちょっと意味がわからなかったです。申し訳ない。
Posted by ブクログ
転売ヤーの正当性を語ってくれるのかと思った。
ミュージシャン側からみると何であれ自分のライブチケットが話題になるのは嬉しい。という気持ちを改めて理解できた。観客側でしかなりえないので、気付かされた。
読み終えて、転売ヤーはやっぱり、悪なんだと思う。
しかし無観客ライブってどういう理屈で正当性があるのか想像できなかった。どうしてそんなものにお金を出す気になるのか?流行りだとしても。理解できない。
Posted by ブクログ
途中から禅問答のようにカオスになってきた。転売やライブについて、現役のバンドのフロントマンが書いてるからこそリアルに響いたりもする。思考実験みたくて面白い。読めないからこそ最高の読者でありプレミアムみたいなことを思わず言いたくなる。
Posted by ブクログ
著者がバンドマンだからこそ、フェスの控室の描写・業界人とのやり取りの描写などの解像度が高い高い。
だからこそ、主人公の心情がどこまで「リアル」なのか気になる。ファンに対してこんなこと思ってるのかな?フェスで演奏してる時こんなこと考えてるのかな?とか色々考えてしまう。どういう立場の人として書いたのかなぁ。でもめーーーっちゃリアル。
チケットの転売の話とか、無観客ライブとかは、一周まわってわかるようなわからないような。
ただ。何に価値を置くのかを問い直しているところはすごいし面白い。
今って、えぐい見栄えのかき氷とか写真撮るだけ撮って全部残す人とかいるけど、もはや料理=食ではなく、違うことに価値をおいてるのよね。それに近い感覚。ライブ会場で音楽を楽しむ、その場限りのライブ感を楽しむ、同じアーティストを応援している者たちみんなで一緒に楽しむ、とかではなく、アーティストそのもの・ライブのチケットそのものに価値を置いて、チケットを持っていることにプレミアを感じる。そんな価値の転換って実際起こりえるんだろうか?
主人公がアーティストとして絶不調なのもひとつのポイント。
プロが失敗するというレア感に価値を見出してるファンもいるけど、以内にとっては失敗はレアなものではないんだよねぇ。
これも何に価値を見出すかというテーマに通じるのかなと思った。
個人的にかなり頻繁にライブ、フェスに行く人間なので、その界隈が舞台になっている小説でかなり楽しめた。
推しのバンドがいる人にとっては、面白い小説なんじゃないかなぁ。
Posted by ブクログ
ライブチケットの転売が当たり前の世界で音楽の価値がチケットのプレミアで評価され、音楽そのものが空っぽになっていく。前半は主人公の苦悩や思惑が書かれているけど後半は会話だけでどんどん進んでいくところや出来事だけの描写が続く場所があって違和感。だけどその書き方で主人公が周りの動きに取り残されて追い付いていけてない感じがでたかなと思う。下手くそなバンドが金とってライブで恥ずかしいステージを曝すのを見に来てんだろ?これでいいんだろ?なエンディングがカッコいい。
Posted by ブクログ
声が出ず自分が作った曲さえ満足に歌えなくなってしまっているロックバンドのボーカルが主人公。
自分のバンドのライブチケットの売れ行き・手に入らなさ(プレミアがつく/つかない)をネットでえんえんチェックしたり、自分達に関する書き込みをネット上でえんえん追い続けたり、で、それに振り回されたり。
観客も入れずアーティストが演奏もしない「無観客ライブ」のチケットを買って、ライブに行かないことをプレミアとする発想が、持てるものの高慢さというか、高みに登って見物というか、斜に構えているというか、そういう今っぽいいやらしさ。
自分が小遣いを握りしめて一所懸命チケットを取ってライブに通っていた頃の心情も思い出された。
バンド側はあの頃どんなふうに思ってたんだろうか。
ネットの時代になって、ファンの反応がダイレクトにわかるようになって、昔よりつらいのだろうな。きっと。知らんけど。