【感想・ネタバレ】バリ山行のレビュー

あらすじ

第171回芥川賞受賞作。

古くなった建外装修繕を専門とする新田テック建装に、内装リフォーム会社から転職して2年。会社の付き合いを極力避けてきた波多は同僚に誘われるまま六甲山登山に参加する。その後、社内登山グループは正式な登山部となり、波多も親睦を図る目的の気楽な活動をするようになっていたが、職人気質で変人扱いされ孤立しているベテラン社員妻鹿があえて登山路を外れる難易度の高い登山「バリ山行」をしていることを知ると……。

「山は遊びですよ。遊びで死んだら意味ないじゃないですか! 本物の危機は山じゃないですよ。街ですよ! 生活ですよ。妻鹿さんはそれから逃げてるだけじゃないですか!」(本文より抜粋)

会社も人生も山あり谷あり、バリの達人と危険な道行き。圧倒的生の実感を求め、山と人生を重ねて瞑走する純文山岳小説。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

読みやすくてすぐに読み終わった。
登山道ではない山の中を登れそうなところを見つけて登っていくバリエーションルートに魅せられた人の話。

妄想ではなく現実として生きるか死ぬかの場面に出会うのか社会的に生きているところでもがくのか自分は後者だけどホンモノがあるんだろうなと思う。

面白かった

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2025年12月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

バリ山行て何だと思い読んでみました。バリエーションルート、出来合いの登山道をつかわず藪の中に入りノコやピッケルを使って山の中を歩く、山頂を目指すわけではない。
 ビルメンテナンス会社に勤める途入社の3年目の波田が付き合いから登山部に入る。仕事でも単独行動の多い四十代の妻鹿との六甲山へのバリ山行を舞台に非常な危険をともなう山にはいる。はじめは道なき道をかき分けて行く発見をして歓喜する波田であったが、急斜面で崖から落ち九死に一生を得る。そんな登山がなぜ面白いのこと妻鹿に食ってかかる。その時会社はきゅうちにあってリストラに直面し波田はリストラに合うのではと心配しているが妻鹿はリストラにあい波田が休暇中に退職してしまう。
 わざわざ危険な山にバリ山行として入る不安感と実社会での会社の浮沈、リストラの不安との対比を描いている。読み応えのある文学作品だった。

0
2025年11月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

六甲山が舞台ということで、すごい馴染みのある地名がいっぱい出てくる。登ったことのあるルートも出てくるんだけど、本題はバリ山行。
藪漕ぎだの垂直降板だの半端ない。途中初めてアガさんに連れてってもらったバリで、主人公が死にかけるところなんかリアルすぎてドキドキした。映画見てるみたい。
幼い娘とフルタイムの妻、転職したばかりなのに先行きの怪しい会社。現実は漫然とした不安や疑心暗鬼が漂う。
作者の山に対する純粋な敬意を感じつつ、現実の不安定さが対比されてて絶妙。
ラストもスッキリしないんだけど、それでもかなり希望を抱かせる展開なので芥川賞でも読後感はそこまでひどくない。
山の描写が細部までリアルでとてもよかった。

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2025年10月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

会社組織の中で誰とも連まず、黙々と仕事をする妻鹿は、山歩きもコースを外れて道なき道を進む「バリ」を好む。
どうしてそんな危険な登山を好むのか。私にはわからず、妻鹿が得体の知れない人物のように思えたが、終盤、そんな見方が逆転した。
仕事も山も、周囲に決められるよりも自分で決める。自分の信念の下に生きる方がスッキリする。
潔いし、カッコいい。どんな条件でも生きて帰って来るバリ山行ができる妻鹿なんだから、生活もどうにかなるでしょ、と思うのはあまりにも楽感的過ぎるかしら。
そしてしがらみだらけの羽多はどうするのかなぁ。バリの面白さに気づいたようだが…。
含みを持たせる終わり方だった。

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2025年12月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

とても読みやすい文章で、さくさくと読めます。

登山については、自分はやらないものの、動画等で楽しく鑑賞させていただいていて、バリ山行についても知ってはいたのですが、非難の対象にもなっている、というのは吃驚しました。たまたま私が見ていた動画UP主は、ルールをしっかり決めて、それを明言しつつ行動されている方ばかりだったからでしょうか。コメント欄等も友好的なものばかりだったので、初めて知りました。
舞台になっている西宮・芦屋は知っている場所でもあるので、風景を思い出しながら楽しく読ませていただきました。

一方、出てくる人物全員が序盤からどうしても好きになれず、一人称な分、主人公に感情移入も出来なかったこともあり、作者様に申し訳ないながらイライラしながら読んでいました。
とはいえ、会社の中にいる人達の群像はリアルで、自分の会社勤め時代に刺さりまくりました。イライラした理由は、そこら辺にあるかもしれません(笑)。
対して、奥様の行動は「悪妻のテンプレ」みたいな風情で少々違和感がありました。

純粋な感想としては、妻鹿さんと再会できて、もう一度会話ができるようになれると良いねぇ、と言ったところでしょうか。
あと、主人公がリアル友人だったら、さっさと離婚して再就職先を探した方が良いと思うよ、と言うのが私のアドバイスですねぇ……。

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2025年12月03日

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