【感想・ネタバレ】伯爵と三つの棺のレビュー

あらすじ

フランス革命が起き、封建制度が崩壊するヨーロッパの小国で、元・吟遊詩人が射殺された。
容疑者は「四つ首場」の改修をまかされていた三兄弟。五人の関係者が襲撃者を目撃したが、犯人を特定することはできなかった。三兄弟は容姿が似通っている三つ子だったからだ。
DNA鑑定も指紋鑑定も存在しない時代に、探偵は、純粋な論理のみで犯人を特定することができるのか?

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Posted by ブクログ

フランス革命時期のヨーロッパを舞台にした小説で、革命や戦争が起こる血なまぐさい時代だけど、民衆が比較的豊かな領地が舞台で、伯爵の税の取り立てもゆるやかなので、中世暗黒時代的な暗さは全く無く、おだやかに読みすすめられた。伯爵を始め貴族が偉ぶっておらず、ならず者までもなんとなく優しくて理性的という牧歌的な国なので、後半に戦争が始まるまでは殺人事件以外そんなに血生臭くない印象だった。さらに書き手は貴族の子息である主人公の一人称で、ですます調の品のある文章になっていて、ヨーロッパ文学の堅苦しいところがなくて読みやすい小説だった。
殺人の謎解きも、科学捜査のない時代なのであまり凝ったトリックはなく、一見サクサクと進んでいくように読めるけど、多重推理になっていてどんどん新しい推理が出てくるので、最後の1ページまで気が抜けなくて面白かった。
官能小説大好きな子爵婦人に細かくその小説の内容について聞き取りをするところや、伯爵がいきなり忍者的な動きを見せたりするようなお遊びの場面が面白かった。

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2025年06月15日

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ネタバレ

・面白かった!ミステリという謎とかそういったことより作者の文章が好きかもしれない。明瞭でわかりやすく感じた。
・三つ子の謎については最初は伯爵かと思ってたけど、そうなると会った瞬間にわかるよねと諦めた。当たらずとも遠からずだったか。
・そうなると最初の四つの棺は誰のものになるのだろう?もしかしてクロなのか?そうだとするならば誰が収めてくれたのだろう。
・D伯爵のキャラクターがとても好き。このかたのミステリじゃなくてもいいからサイドストーリーが読みたい。
・フランス革命の戦況がミステリに絡んでくるのも面白い。

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2025年06月15日

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ネタバレ

まさかまさかのどんでん返し。返されたなと思ったらまた返されて、しかしそれは真実ではない。真実は一体。
自分の中の真実は一つだとしても、それは物事の本当の姿のかということを考えさせられるミステリー小説。
伯爵と三つの棺の伯爵は初めはD伯爵だと思っていたけれどこれはたぶんクロのことなのだろう。三つ子とクロの4人の関係。一度読むだけではもったいない。2度目に読む時また新たな真実に辿り着けるかもしれないと思うとワクワクが止まらない。

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2025年04月30日

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 フランス革命の影響を受けつつある十八世紀のヨーロッパ小国で起きた殺人事件、容疑者の三つ子、生き生きとした登場人物達、DNA鑑定や指紋鑑定といった科学捜査が存在しない時代で純粋な論理のみでフーダニット、ホワイダニットを解明する推理劇など色々な魅力的な要素が満載の歴史×本格ミステリーで、この時代だからこそ成立するトリックと動機の作り込みが素晴らしかった。

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2025年03月06日

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ネタバレ

ほんタメから知り手に取った
導入は盛り上がらないけど、読み終わると全て大事であることがわかる
盛り上がってきてからテンポよく進みとても面白い
最後まで取りこぼしなく、無駄なく、全てがつながる
これって本当にフィクションなのか
当時は似たようなことがあってもおかしくなかったんじゃないか
そんな風にすら感じてしまう

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2025年02月12日

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あの時代であったからこその悲劇。最後の解き明かされた真実は驚愕だった。200年以上も前の外国の話だけれど、現代に通じる問題提起もあり、面白いミステリーでした。

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2025年01月21日

購入済み

そーきたか

塩谷験
知らなかった。こんなにスゴいとは。ダメ元で買ったら大当たり。
大どんでん返しのシナリオにはびっくり。
楽しかった

#ドキドキハラハラ

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2025年01月18日

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フランス革命後のヨーロッパの小国を舞台に、曰くある出自の3人兄弟と、男性の殺人事件を発端にして、事件の謎解きをつとめる主人公が記す手記。想像した以上に面白かった。

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2025年11月28日

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身分制度が生んだ悲劇(?)と言えるのではないかと思った。
各々が、激動の時代の中で、懸命に生きようとした軌跡が紡がれているように感じた。

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2025年09月13日

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ところどころ、くすりと笑ってしまうテンポの良い会話があり、それがドロドロ感を薄めてくれたのかも。展開はシンプルと思ったけれどラストパタパタと広がる真相は予測できつつも結構ワクワクした。

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2025年09月13日

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ヨーロッパに存在するとある王国で巻き起こる、三つ子を巡る謎の殺人事件。架空の国のミステリーということで途中までは気楽な気持ちで読んでいたんですが、後半からはどんどんシリアスな展開になっていきめちゃくちゃ引き込まれました。

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2025年08月27日

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「ラスト一行のどんでん返し」でした。
序盤は時代背景もあり、読み進めるのが難しかったですが、中盤以降は続きが気になり、惹き込まれていきました。本の装丁も、登場人物が想像できてよかったです!

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2025年08月24日

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最後の最後まで驚かされた。
それぞれの人物の立場によって事件の考え方や関わり方が変わってくるのが面白い。
身分とか出自とか関係なく生きていける時代じゃないからここまで悩まされるのも切ない

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2025年08月04日

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ネタバレ

フランス革命期、フーダニット小説にして歴史に翻弄されたどんでん返し小説。

<良かった点>
・伯爵がかっこいい!!!!
美男で洞察力があってチャーミングで壁走りで助けに来てくれるとか、ちょっと盛りすぎじゃと思うくらいかっこいい。つまみ食いの仕草までエレガントとか反則!!!
この人にだったからこそ、最後の最後に墓までもってくはずの秘密を聞いてほしくなったんだろうなあと思ったりした。

・歴史を絡めて二転三転する筋がよかった
「あれ、解決したのにまだ続きがある??」が続いて振り回された。っていうか「お前もだったんかい!!」が一番びっくりしたかも。
あと最初「フランス革命の話」じゃなくて「フランス革命の余波を受けた某国の話」というなんじゃそりゃ?な設定はなぜ??と思ったけど、兄弟たちを凶行に走らせた理由に重みをもたせるには、やっぱ革命の「自由と平等」の旗印は必要だったしうまい設定の置き方だったなぁと読み終わって思う。

良くなかった点
・三兄弟のエピソードが少ない(気がする)
詳しく書くとヒントになっちゃうかもなので手記であえて出さないようにしてたのかは不明だけど、伯爵に比べて兄弟たちの描写が少ないなーと思う。もう一つ二つ、各人の思想やら願いを語るエピソードがあったら、「あれはああいう意味だったのか~」とか「惜しいやつを亡くした…」的な深みが出た気がするのでそこだけ残念。

<総評>
純粋な謎解きミステリーというより「身分」という鎖に翻弄された人間ドラマだった。ザミエルの希望通りに地獄で再会したら、とりあえずお互いが「嘘つき!!」と詰りあって喧嘩して、でも最後に「俺たち精一杯頑張ったよな」って和解できてたらいいなーと思う。

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2025年07月12日

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フランス革命の時期、とあるヨーロッパの王国で起きた「三つ子事件」。
吟遊詩人が訪れた「四つ首城」で何者かに射殺された。
容疑者は城主であり、城の改修を任されていた三つ子の兄弟。
事件捜査の科学技術が未発達な中世の時代にいかにして犯人と事件の真相を突き止めたのか、その経緯を三兄弟の友人が記録した手記で辿るミステリー。

事件が起きるまでが長く感じられ、自分は世界史にも疎いのでしばらくは読みにくさがあった。
読み進めていくと展開は二転三転しその度に展開のスピードも増していって、まだひっくり返されるんだというワクワクを最後まで感じながら読み終えた。
事件の背景には革命時期のヨーロッパの社会情勢や制度も大きく絡んでいたように感じ、この舞台設定である意味がしっかり伝わってきたのも良かった。
今後も様々な時代や海外の国が舞台のミステリーを読んでいきたいと思った。

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2025年06月21日

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フランス革命時代のヨーロッパの小国で起こった殺人事件の犯人が三つ子で……という心踊る展開。探偵が制度として確立してる世界観も好き。時代ミステリで時代を活かしてるの、やっぱり良いよね。

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2025年04月29日

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最近ミステリに苦手意識を持ってしまっているけど、この作品はミステリと知らずに読み始め、世界観と登場人物が好きで最後まで楽しく読むことができた。
フランス革命と同時代、中欧で起きた事件。平民、中流階級、上流階級と厳格な身分格差があり、その中での生き方の葛藤も描かれている。
寛大でおちゃめなD伯爵。崖の場面に胸が熱くなる。

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2025年04月26日

Posted by ブクログ

フランス革命が起き、封建制度が崩壊するヨーロッパの小国で、元・吟遊詩人が射殺された。
容疑者は「四つ首城」の改修をまかされていた三兄弟。五人の関係者が襲撃者を目撃したが、犯人を特定することはできなかった。三兄弟は容姿が似通っている三つ子だったからだ。
DNA鑑定も指紋鑑定も存在しない時代に、探偵は、純粋な論理のみで犯人を特定することができるのか?
最後の最後まで面白かったです!今年のマイベスト本が早くも決定してしまいました。

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2025年04月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

いやはや鮮やか。
「スイッチ」が正直うーんだったので、本作の評判が高いのは知っていたけど、半信半疑だったのだが、大変面白かった。

手記がもとになっているので、途中「信頼できない語り手」パターンかなという想像はつくものの、最後まで予想を上回る展開。
推理においては、他の仮説もきちんと検証され、納得のいくものになっている。

登場人物の数はまあまあ多い伯爵の愛されキャラも伝わってくるし、文体も読みやすく、久しぶりのミステリだったこともあり大満足。

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2025年04月03日

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途中まで勝手に色々と予想して読み進めていたが最後まで読んで吃驚した
あとは実話なのかなとか思いながら読んでいた

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2025年03月30日

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三つ子の容疑者たちの中で犯人を見つけていく今作
大どんでん返しとまではいかない小どんでん返しが続いて、多重推理の雰囲気も少しあるかな?
ただ、やはりインパクトの面では小出しにするタイプだと弱いなと感じた

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2025年03月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

封建制度下の小国で起きた殺人事件。
三つ子が容疑者で真犯人はひとり。三つ子だから見分けがつかない… 決め手は? 

事件は、疑心暗鬼がもたらした殺人で悲しい。そしてフランス革命の余波が及び、悲劇が起こる。
論理的な解決、親切な叙述。
なによりD伯爵が理想的な上司で為政者で、格好いい。探偵役のキレはないけれど、それを受け入れる度量もいい。

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2025年03月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

初めて読む作者だったが、タイトルが、気に入った。途中、まだるっこしい書き方だなぁと感じたが、最後まで読んでよかった。面白かった。種明かしが何重にもなっていて、もう一回読んだ方がいいのかもと思ってしまった。
三つ子なの?4つ子なの?最後までわからないところがよかった。ミステリーを読み慣れている人ならわかったのかな。
貴族たちのいる王政からフランス革命をはさんで、平民たちが政治を司る平等な社会へ。それでも、欧州は元々の資産を多く持つ貴族たちがいまだに裕福だとか。
人間の価値は同じだというが、貧富の差は教育にも影響する。三つ子達が、努力して獲得した四つ首城を守るために、それぞれが出来ることをしたのだと思う。書き手であるクロの、死後の世界でこそ本音で話せる、というのはなんだか悲しいな。
勉強出来ることが幸せ、の言葉はいまも昔も重い。先があるから学ばせるとか、シビアだなぁ。
ナポレオンがロシア遠征のため集めた人の選定基準は本当なのかな。だとしたら、ナポレオンも優秀だったな。まぁ、軍隊なら当たり前か。
うまく、本当の歴史が絡んだミステリー、面白かった。

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2025年01月13日

Posted by ブクログ

フランス革命後、封建制度が崩壊するヨーロッパの小国で、元吟遊詩人が殺された。
容疑者は三つ子の兄弟。科学捜査の存在しない時代に、探偵は、純粋な論理のみで犯人を特定することができるのか?

いやーすごかった。
一応解決してからの展開が。

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2025年09月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ


YouTubeで紹介されているのをきっかけに読んでみました!

みんな自分の出生を偽っていたとは...そして、手記での物語が進んでいく小説は初めてだったのでとても新鮮に読めました。
途中の写真や注釈でより、記録で残されている感じがあってこれまでにない読書体験でした。
写真は作者の潮谷さんの手作りでスタッフクレジットも一番最後にというお話を聞いて本当にこだわって作られた作品なんだと感じました。装丁もよく見ると銃があったりこだわりがすごいですね

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2025年08月13日

Posted by ブクログ

社会派なバックグラウンドなしで、純粋な謎解きとして楽しめました。
仕掛けの部分は、ちょっと違和感を感じていたので、あ、やっぱりね、という感想。

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2025年07月29日

Posted by ブクログ

論理だけでたどり着く真実
科学の力に頼らず、ただ思考だけで謎を解く
静かな熱を秘めたクラシック・ミステリーに心をつかまれました

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2025年06月22日

Posted by ブクログ

事件以上に幾重にも秘密が隠されていてそれが明かされていく展開が面白かった。事件に関しては、論理には納得したが衝撃とまではいかなかったため★3にした。

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2025年05月17日

Posted by ブクログ

フランス革命直後のヨーロッパの小国で、元吟遊詩人が射殺された。
容疑者は「四つ首城」の改修をまかされていた三つ子の兄弟。
目撃者が五人いましたが、犯人を特定することはできませんでした。
なぜなら三兄弟は、外見がそっくりだったからです。
DNA鑑定も指紋鑑定も、科学的操作が存在しない時代に、どうやって犯人を特定させるのか。
犯人捜しのミステリではありますが、設定が特殊です。
そしてストーリーは二転三転していき、最後の最後まで気が抜けません。
期待以上に面白かった!

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2025年03月04日

Posted by ブクログ

新年1発目にふさわしいサービス精神あふれる作品でした。
事件とは直接関係ないところですが、「未来があるからこそ、それに備えて勉強させてもらえるんだ」という趣旨の言葉があり、確かにその日をやり過ごすだけの一生では何か勉強する・させる動機は生まれないよな、じゃあ大人としてこれからの学びとは……と少し立ち止まって考えました。
その点も年始に読めて良かったなと思います。

フランス革命期ヨーロッパが舞台とはいえ、文体は堅苦しくなく素直に読めました。
ただ、若干ですが言い回しに現代日本寄り(「生暖かい視線」など)の部分があり、一瞬雰囲気が崩れるのが惜しいです。

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2025年01月03日

Posted by ブクログ

時は18世紀末フランス革命の頃、欧州の小国で貴族として育ったクロは、三つ子の兄弟と出会い友人となる。やがてクロは官僚となりD伯爵の政務書紀を務め、三兄弟もクロの伝手でD伯爵の所有する荒れ城「四つ首城」の改修に携わることとなった。やがて「四つ首城」で殺人事件が起きる。殺されたのは三つ子の父親•アダロ。目撃状況と父親とのただならぬ関係性から、三つ子の兄弟が容疑者として疑われるが…

淡々と殺人事件が起きて、「公偵」と呼ばれる探偵によって淡々と捜査が進み、物語の中盤過ぎたあたりで早々と事件の真相が明らかになる展開。えっ!いくらなんでも時期早尚では?と思いきや…からのひねりツイストうっちゃり劇は予測不能だった。なるほど、この地域•この時代を舞台に選んだのはそういうことか。ガッテン。
とはいえ、人間関係がややこしかったり、某人物のとっさの行動に無理があったりするので、膝を打つようなカタルシスは得られずじまい。読み終えて初めて頷けるタイトルと表紙絵は上手い。

本書が初読の作家•潮谷験。本書はあまりハマらなかったけど、一作毎に趣向を様変わりさせる作家さんのようなので、他作品にも手を伸ばしてみようかな。

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2024年12月21日

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