あらすじ
自転する地球儀が開く門――その先には、剣と魔法と陰謀が彩る異世界があった。アルジラ王国に生まれた男は身分を偽り名を変えて、カラトヴァ王国の実権を握ろうとする。王室顧問官ファビオンと三人の魔女は彼の野望を察するが……。地球儀を手に入れた白川周一郎と姪の多夢がおもむく異世界を描いた第二巻。
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Posted by ブクログ
12月18日再読。ノベルズ版も持っているはずなのに見つからない。今回読んだのはデュエル版の方。1は現代、2は異世界、3でやっと両方が活きて話が進んでいくはずだったのになあ・・・。と読むたびに寂しく思う。田中さんの続きが読みたかった(涙)
Posted by ブクログ
密度の濃い中世ファンタジーを読まされた感がある。
今回は主人公である周一郎と多夢は最後にその名前のみ出てくるだけで、メインは自転地球儀世界の、恐らくこのストーリーの中核を成すキャラクターであるグントラムの立身出世物語で、通常ならば番外編、外伝物にあたるようなもの。
このようなファンタジーではまず前回の周一郎と多夢の二人が自転地球儀世界に紛れ込んで終わっているからそれからストーリーの続きを語るような運びとなるのが普通だが、ここではまず2回目にして自転地球儀世界の世界観からグントラムの一連の物語を語るという、どこか折り目正しい構成にしているのが珍しい。御蔭でほとんど『アルスラーン戦記』や『マヴァール年代記』の亜流を読んでいた気分である。
ストーリーとしてはある従卒がクーデターをきっかけに他国の王子になりすまし、己の才覚で国王の地位まで登りつめようとするもので、最早手垢まみれのものである。が、田中氏の―恐らく各種の歴史書に書かれているエピソードを参考にしているのだろうが―巧みなストーリーテリングに酔わされ、結構楽しめる。
ここに周一郎と多夢がどのように絡んでいくのか、田中版ハイブリット・ファンタジー、次回が楽しみである。