【感想・ネタバレ】奏鳴曲 北里と鷗外【電子特典付き】のレビュー

あらすじ

感染症と戦う北里と鷗外、その栄光と蹉跌!

民の命を守るため「医療の軍隊」を夢見た北里と鷗外は、なぜ道を違えて対立したか。医師でもある海堂尊が描くライバル物語!

明治時代のニッポンに、感染症との終わりなき闘いに挑んだ男たちがいた。「細菌学の父」北里柴三郎と、陸軍の軍医総監にして文豪の森鷗外。ふたりは同時期にドイツで学び、「感染症から国民の命を守る」という同じ目標に突き進んだ。それなのになぜ道を違え、対立したのか。誰も描かなかったライバル物語。解説・本郷和人

※この電子書籍は2022年2月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本とし、「作品相関図」などの電子版特典を付したものです。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

鷗外研究者の端くれとしては、読まねばならぬ作品だと思い、読んだ。北里も新1000円札の顔ではあるし。
どこまでが資料に基づいていて、どこからが作者の想像なのか、とは思うけれど、作品としては面白くはあった。

皆、人なんだなぁ。

0
2024年08月24日

Posted by ブクログ

明治時代のニッポンに、感染症との終わりなき闘いに挑んだ男たちがいた。「細菌学の父」北里柴三郎と、陸軍の軍医総監にして文豪の森鷗外。民の命を護るため「医療の軍隊」を夢見た北里と鴎外は、なぜ道を違えて対立したのか。医師でもある作家が描くライバル物語!

0
2025年03月10日

Posted by ブクログ

井沢元彦さんの逆説の日本史: 明治激闘編 日露戦争と日比谷焼打の謎 (26)にかなり厳しい森林太郎(鴎外)批判がある。海軍は麦飯で脚気発症を抑えている事実を無視し、米食を続け、日露戦争では戦争での死傷者以上の軍人を死に至らしめている。陸軍の医療衛生の責任者の要職にあったのに、非難に対し検討会を立ち上げ問題を棚上げして逃げまくったと。

北里柴三郎と森鴎外を主人公にした物語。
鴎外については、「ぼく」と1人称で語られる。津和野の森家の坊ちゃんはプライドはあるが、中身が無いような印象。
北里は豪放磊落。若きに明治天皇に面会する。明治帝「そちの言は正しい。たとえ朕が不快に思っても、自由に話せと申したのは朕である。だがそちの言は無礼であり、これでは気が晴れぬ。なので角力を取って、勝った方が言い分を通す、というのはどうか。」こういう外連味のある海堂節が心地よい。
登場人物たちが自分を誇りながら言い合う場面は、桜宮サーガの火喰い鶏、白鳥が頭に浮かぶ。階上からそれらの騒動を眺めている石黒忠直と長居専斎。石黒は北里と鴎外の行く道に影響を与えるしぶとい妖怪のよう。

後藤新平って医学出身の人だったんだ。行政の根っからの行政の人と思って思っていた。後藤と北里の貶しあいながらも、どちらが上か判らない関係。良いパートナーだと思う。
後藤の検疫対応は早期に立ち上げてきっちり徹底している。新型コロナ騒動のときには後藤のような人がいなかったということだな。

最終的に鴎外は敗者だけど北里が褒めたたえられているわけでもない。偉業も沢山あるが、間違いもあり、効果のないツベルクリンを売りまくったり、伝研は乱脈経営でその金は北里の女遊びに消えている。

あとがきに鴎外と北里の心情的な交流の記録はないとある。解説にも歴史と歴史小説に触れている。しかし、こういう確執はあったんじゃないかなと信じてしまいたくなった。

0
2024年10月13日

「歴史・時代」ランキング