【感想・ネタバレ】バタン島漂流記のレビュー

あらすじ

荒れ狂う海と未知の島、そして未開の民。ため息すら、一瞬たりとも許されない――船大工を志すものの挫折し、水夫に鞍替えした和久郎は、屈託を抱えながらも廻船業に従事している。ある航海の折、船が難破に遭う。船乗りたちは大海原の真っ只中に漂う他ない。生還は絶望的な状況。だがそれは和久郎たちにとって、試練の始まりに過ぎなかった……。史実に残る海難事故を元に、直木賞作家が圧倒的迫力で描く海洋歴史冒険小説。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

西條奈加さんはまたしても全く予想もしなかったすごい話を書き上げましたな。大人の冒険譚というべきか,ワクワク・ドキドキが止まらない,そして最後はちょっと切ないお話。
内容は,江戸時代に荷を運ぶ船が嵐に遭い,舵も帆も壊れて漂流することになるというもの。そして幾多の危機を乗り越え,乗員が奇跡的に全員無事でたどり着いたところは...。彼らは果たして故郷に戻ってこられるのか。江戸幕府の鎖国政策がどういうものかということも今まで知っていた知識とは別の観点で理解できた気がする。

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2024年08月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

私の大好きなジャンルである漂流記。これも掛け値なしに面白かった。言葉の通じない異国にたどり着くというところが、どこか旅をしている気にさせるからだろうか。荒くれ者の船乗りたちが、色々ぶつかり合いながらも、力を合わせて、生き延びるというシチュエーションが好きというのもある。
他の漂流記と違うところは、自分たちで作った船で日本に帰り着いたところ。はじめから船の構造がとても細かく描写されていたが、後半造船する場面に繋げる意味もあったのかも。

西條奈加さんの文章も素直で読みやすく、ひさびさに心躍る読書だった。

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2024年08月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

寛文8年、徳川幕府が開かれて65年、家綱の時代。船大工から船乗りに転職した和久郎は、同じ村の幼馴染の門平たちと尾張の新しい船、颯天丸で江戸から帰る途中、嵐に飲まれた。1ヶ月後、漂着したのはバタン島。15人の乗員は島で下人とされ、こき使われた。大きな船を持つという言葉につられ、隣村に逃げるが、結局は下人とされてしまう。船があったのはかなり昔の事だった。そして、ある日頭がいなくなった。そして楫取の巳左衞門も。その島には年寄りはいなかった。絶望的な中で、しかし、言葉をなんとなく理解してきた門平が村長に船作りを願い出る。船大工見習いをしていた和久郎がいるからこその脱出作戦の始まりだった。
史実に基づくフィクションだったよう。はじめから船の構造を詳しく書いていて、情報多すぎてよくわからない状態に陥っていたのだけど、それは後半の伏線だった。
バタン島は木はたくさんあるが、金属がないため、釘まで木で作る。和久郎は棟梁を務めるが、漆の代わりになるものを作る者あり、筵を編む者あり、みんなが出来る事をやって、ようやく船が完成する。ここまでで、結構苦労しているが、まだまだ先は長い。
15人の船乗りとは、十五少年漂流記へのオマージュなのかな。それにしても、この時代だからこその仕打ちに悲しくなる。

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2024年11月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

直木賞作家 西條加奈作品
1668年 徳川4代家綱の頃 江戸幕府は鎖国の時代
尾張から材木を積んで江戸へ向け出港した船が、江戸で荷を下ろし
今度は尾張藩への植木などを積んで帰還するはずが、悪天候にあい外洋へと流され 
フィリピン バタン島へ漂着した。その史実をもとに 書かれた作品

主人公 和久郎は船大工になろうとしたが その道をあきらめ、幼馴染の門平の乗る尾州廻船で水夫になる。
情があり知恵もある「船頭」志郎兵衛のもと 
個性豊かで諍いもあるが、仕事には手を抜かない海の男たち15人
江戸からの帰り 悪天候にあい 様々な困難を乗り越えながら漂着したのは
見たこともない肌の色をした ことばもわからぬ島だった。

乗組員それぞれが個性豊かで、前半は荒波をみんながア適材適所
知恵を出し合いながら乗り越えていく。
手に汗握る展開で 読む手が止まらない。

縦割り社会の役割 船乗りの男気 未知の国・島民たちとの駆け引き・・・
主人公たちのやり取りなどはフィクションだとわかっているものの
船に乗り 生死をさまよいながらも「母国に帰ろう」とする熱い想いは
グッと迫るものがある。

尾張大野村(愛知県常滑市)に残された資料を基に NHKが『池内博之の漂流アドベンチャー』でヨットでチャレンジしたそうだが そちらも見たかった。

男くさい漂流アドベンチャーです。おすすめ。

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2024年10月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

大事なところだから詳しい説明になっているのだとは思うけれど、船の造りや乗組員の役職などなじみが無さ過ぎてなかなか頭に入ってこず…
苦難が多い漂流、バタン島での生活とつらい展開が続くところも、読み進めるのに苦労した理由
頭や楫取ももちろん、門平には死んでほしくなかった
史実に基づいている物語、知らなかった事を知れるのは面白かった

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2024年09月13日

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