あらすじ
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気鋭の評論家荻上チキさんと大人気絵本作家ヨシタケシンスケさんによる『暮しの手帖』好評連載の単行本化第2弾!
好きなものを集めて心を守る、相手を困惑させる自虐は禁止、理不尽な校則の実態調査、香港の現状報告など、生きやすい社会にするための荻上さんの思いに、ヨシタケさんがヒーロー、着ぐるみ、狸、ロボットまで登場させ、クスッと笑えるイラストで応えています。
視野を広げ、生きにくさをはじき飛ばす14話とヨシタケさんの傑作あとがきマンガを収録。
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Posted by ブクログ
特に印象に残ったのが、「道具の魔力」「自虐の落とし穴」「耐えるのではなく変える」というタイトルのエッセイ。
持ってしまうと使いたくなってしまう道具。
でも、その使い方は正しいのか、使う必要があるのか、他にその場にもっとふさわしい道具はないのか、それで人を傷つけていないか。
また、ついついやってしまう自虐。
私自身、特に20代の頃はいつも自虐していた。
自分ではできない、自分はこの場にふさわしくない、人並みになるにはどうしたらいいのだろう、心が弱いからだ、と自己否定し、自分を紹介するときは常に自虐していた。
ただ本の中でも触れられているが、自分のある部分を自虐することは、それを恥ずかしいものだ、嗤っていいのだと認めていることだという視点は心に残った。
また、相手に自虐された時にどう対応していいかわからない、席を外したくなるのも、自分も同じように思うと共感した。
そして、世の中にはびこる理不尽な校則に対して、「世の中はどうせ、こんなものだ。」と諦めるのではなく、こうできるのではないかと提案、実行していく。
世間の同調圧力があっても理不尽には対抗していくために行動を起こす。
この他にもいくつも、なるほどと思う箇所がある。
これは自分が生きていくうえで、大変有用な武器にもなり得る。
ただ、この本にも書いてあるように、それは一つの道具であり、その使い方、使う場所、使い時を誤らないようにしていこう。
Posted by ブクログ
こうして両祖母のことを思い出しながら書いていても、二人の内面のことはよくわからない。ただ振り返れば、僕が生きているだけで、喜びを覚える人がこの世にはいたのだという事実が、今になって意味を持つ。老いや死は、その人の足跡までをも小さくはしない。
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常に何かを、しかも同時並行で行っていないと気が済まない時間貧乏性。お風呂でも本を読んだり、動画を見たりするし、寝る前のストレッチの時も漫画を読んでいたりする。筋トレの時も映画やアニメを見るし。インプット過多で、咀嚼不足。つくづく、一つに集中するのが苦手である。
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「ミッドライフ・クライシス(中年の危機)」なんて、勝手に決めつけてはいけません。ある立場から見たらクライシスでも、別の立場から見たらレボリューションかも。他人から見たら逸脱でも、その人にとっては成長かもしれないのだ。財布の中身は危機ですけども。
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弱さを語るボキャブラリーが少ないと、「ボキャブラリーの罠」に陥ってしまう。世の中に流通している「性的いたずら」という言葉で、経験を矮小化してしまうところだった。語彙を拡張してくれる人は、いつも希少だ。
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ファッションにおいて「好き」は片思いで、「似合う」は両思いだというようなコピーがあったが、それだけがファッションではあるまい。自分の彩り方を決めるは自分だ。
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寂寥よりも義務のほうが、孤立よりも不自由のほうが、僕にとってはしんどいのである。
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当然ながら、無趣味というのも、人の自由である。趣味がない人を、あたかもつまらない人間であるかのように位置付けるのも、偏った考えだ。(中略)「趣味がない」ことを笑う人は、「趣味」以外の話題が乏しいために戸惑っているだけかもしれない。
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趣味は、何かを目指すもの、未来への投資、いつかのための努力だという意識がどこかにあった。それは「六十の手習い」に理解を示せない人生であった。ただ楽しむ。その瞬間を味わいながら過ごす。そうした時間のあり方を豊かに思えるようになったのは、最近のこと。今の快楽は怠惰であり、今の苦痛はいつかのため、それはなかなかに窮屈な解釈であった。
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他人の趣味を否定することは、他人の時間を否定すること。誰かの時間を否定せずとも、自分の時間を豊かにする方法はある。
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