あらすじ
20世紀最大の哲学者の1人、マルティン・ハイデガー(1889~1976年)。本企画は、ハイデガー哲学(存在と時間)の内容をストーリー仕立てで説明する入門書です。
本書はハイデガー哲学の「死の先駆的覚悟(死を自覚したときに、はじめて人間は本来の人生を生きることができる)」に焦点を当てます。
物語の舞台は中世ヨーロッパ。登場人物は傲慢な王子と謎の老人、そして、物乞いの少女。サソリに刺され、余命1か月を宣告された王子は自暴自棄になり、自殺しようと湖に。そこに謎の老人が現れ、ハイデガー哲学を学んでいく……。
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
はじめは「幸福の王子」というフレーズだけ目に止まり読み始めました。
(ワイルドの幸福の王子が好きなので…)
で、読み始めたら思ってた本と違って、「ハイデガーをわかりやすく学ぶ内容の本なのね〜。コレはコレで面白い!」
と思っていたら…
なんと想像してたところに帰結した!
結構、心に響く部分もあり、自分にとって良い本でした。
著者の他の本も読んでみたいです。
Posted by ブクログ
ある国の裕福な王子の物語に沿って、ハイデガー哲学を学んでいく内容。飲茶氏の本は何冊か読んできたのですが、本著は本当に心に残る一冊となりました。
全ての人間に与えられた平等なものは「死」であり、人間はいつか必ず死ぬからこそ時間は有限性となる。よくよく考えれば当たり前の事なのですが、日々生活をしている中で自分の「死」を意識する機会なんてどれほどあるでしょうか。
時間が有限性であるから人は「負い目」を感じるとも書いてあるのですが、確かにプライベートや仕事において「やってしまった!」と思うことは多々あります。ですが、それらに対して全て真摯に向き合ってきたかと問われればそうでもありません。「まいっか」「仕方ない」で済ませたことも多いでしょう。ですが、ハイデガー哲学的に言えば。それは人間の本来的な生き方ではないのでしょうね。
また、他人に対しても人によって得手不得手が自分の中にもあります。ですが、その人もいつか死ぬし自分も死ぬ、同じ共通点があるんだなと考えたらやはり先入観で不得手の人を見ず、その人にある背景をちゃんと見なければならないなと感じました。
本著で学んだハイデガー哲学、王子の境遇のような差迫った「死」というものを感じることは難しいかもしれません。それでも自分の「死」というものを真剣に考える時間は必要だなと思いました。
「人生は終わるまで終わらない」日々頑張って生きていきましょうね!