あらすじ
沙に覆われてしまった世界。人々は何よりも安定を目指すようになっていた。
安定した仕事で稼いで、機械で娯楽を享受して、どこに遠出することもなく、安全で、快適な、この街で、ささやかな幸せが至上。
それでも音楽が好きな少女・ロピは第9オアシスでパパと二人で暮らしている。親友のエーナや周りの大人に反対されながら、自分の音楽を追い求める。
特にやりたいこともない少年・ルウシュは、母と同じ気象予報士になるため日々勉強していた。いっぽうで好きなことに一生懸命な友人に劣等感は強まり、夢中になれることを探しはじめ……
青春小説の旗手が将来に悩むZ世代に捧ぐ、傑作のディストピア長編。
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Posted by ブクログ
世界が沙(砂)で埋まりゆく、2部構成の物語
あと20年しか世界が存在しないなら、自分はどうするだろう
今の延長線のような生活を続けるだろうか
助かる道を必死に探すだろうか
それは自分のためにか、大切な人のためにか
物語の1つ目は遠い未来へ音楽を残すことが、主人公の存在証明
人の身体は水を湛える器であり、その身体に魚を泳がせる
水がなければ、魚は死ぬ
音楽は魚に似ていて、この瞬間の刹那的産物
2つ目はやりたいことがない、主人公の葛藤
自分が選択したことに意味があり、それに自信をもつこと
いつの時代も同じような悩みをかかえる人たちがいるて、ひとりではないのだと
人は不完全だからつながり、対話し、助け合い、気にかける
とても考えさせられる内容でした。