あらすじ
「ロシア文学の教室」から小説の世界へワープ――異色の体験型・文学教室!
青春小説にして異色のロシア文学入門!
「この授業では、あなたという読者を主体とし、ロシア文学を素材として体験することによって、社会とは、愛とは何かを考えます」
山を思わせる初老の教授が、学生たちをいっぷう変わった「体験型」の授業へといざなう。
小説を読み出すと没頭して周りが見えなくなる湯浦葵(ゆうら・あおい)、
中性的でミステリアス、洞察力の光る新名翠(にいな・みどり)、発言に躊躇のない天才型の入谷陸(いりや・りく)。「ユーラ、ニーナ、イリヤ」と呼ばれる三人が参加する授業で取り上げられるのは、ゴーゴリ『ネフスキイ大通り』、ドストエフスキー『白夜』、トルストイ『復活』など才能が花開いた19世紀のロシア文学だ。
社会とはなにか、愛とはなにか?
この戦争の時代を考えるよすがをロシア文学者・翻訳者の著者が真摯に描く
「ロシア文学の教室」。
【取り上げる作品】
ニコライ・ゴーゴリ『ネフスキイ大通り』
アレクサンドル・プーシキン『盗賊の兄弟』と抒情詩
フョードル・ドストエフスキー『白夜』
アレクサンドル・ゲルツェン『向こう岸から』
ミハイル・レーモンルトフ『悪魔』
イワン・ゴンチャロフ『オブローモフ』
イワン・ツルゲーネフ『父と子』
ニコライ・ネクラ―ソフ『ロシヤは誰に住みよいか』
アントン・チェーホフ『初期短編集』
マクシム・ゴーリキー『どん底』
フセーヴォロド・ガルシン「アッタレーア・プリンケプス」
レフ・トルストイ『復活』
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
授業のたびに物語の登場人物に転生できたら羨ましい?
…いや、本作品はロシア文学限定なのでそうでもないかな(笑)
平凡な男子大学生が授業のたびに登場人物に転生し、自身の生活も顧みるというなかなかチャレンジングな作品。
こんな授業があれば面白いしかなり身に付きそう(とは思いつつ『ソフィーの世界』では哲学はまったく身に付かなかった思い出があります。)大学に通ってるときもっと勉強しておけばなぁ、反省しきりです。読書って精神状態にも左右されるし、精神状態を左右してしまうので、授業のためなら割切ってどんどん読めるかもしれない。仕事でどんどんいろんなジャンルの作品を読む人、すごいなって思います。
気になった授業のみ感想を↓
第1講 大通りの幻
ニコライ・ゴーゴリ『ネフスキイ大通り』
喜劇と悲劇。授業っぽくて良かった。
第6講 布団から出たくない
イワン・ゴンチャロフ『オブローモフ』
これは個人的に読んじゃダメな作品かな、ずっと怠惰に過ごしてしまいそう(笑
第8講 土埃に舞う問い
ニコライ・ネクラ―ソフ『ロシヤは誰に住みよいか』
詩は読むのが苦手だけどこれは読んでみたいな。
第9講 やり直しのないこの世界
アントン・チェーホフ『初期短編集』
チェーホフ、何冊か持ってるけど積んでるなぁ。人生の辛さに耐えられる心のときじゃないと読めない。
第10講 心の声の多声
マクシム・ゴーリキー『どん底』
ゴーリキー「あなたの作品には、あなた自身が語っている言葉が多すぎる。」(P291)とトルストイから指摘を受けている。手厳しいけどゴーリキーの書く女性はそんなに女性がステレオタイプなのかとちょっと興味が沸いた。
第12講 よみがえるときまで
レフ・トルストイ『復活』
やっぱり最後はトルストイ。トルストイもなかなか読める精神状態のときがないなぁ…。
Posted by ブクログ
ロシア文学作品の中に実際に入り込んで「体験」した上で、気づいたことや感想をディスカッションする大学の授業、という体で12の文学作品を紹介する本。当時の時代背景や作者が影響を受けていたことなど、注も豊富だし、先生も学生も優秀な設定なので、勉強になるし深い読み取りを知ることができる感じがする。個人的にはファンタジー・アンド・ロマンスなこの本の設定に若干入り込めないのと、いろんな学生たちがディスカッションしているようでいながら、それは筆者の頭の中にあることをいろんな学生に割り振って言わせているだけのようなゴーリキー的な印象もあって、普通の講義形式で語ってくれても、と思う。でもこっちの方が読みやすいのはたしかだとは思うので、あっさりと軽く読めてよかった。
読んだことがあったのはツルゲーネフの『父と子』、ガルシンの『アッタレア・プリンケプス』だけだったので、他の作品も読んでいたらもっと解像度が上がったと思う。アッタレア・プリンケプスは、『紅い花』をロシア語の授業で読んで、ガルシンに興味を持って大学生の頃に読んだ。あの短編集の中で一番好きだった記憶があるけど、改めて読んでそういう話だったか、と。アレクサンドル三世は、労働階級が物を考えたり知識を得たりすることを嫌った。往々にして為政者はそうして、伸びていこうと温室の天井を突き破るものを伐採しがちね。それと同時にアッタレア・プリンケプスの方だって、温室の中でないと生きられない、というのは新たな視点だった。資本主義の限界を憂うる一方でこの資本主義社会でないときっと生きていけないって思う、そんな感覚に似ている?
ドストの『白夜』を読んでみたいと思った。
ここでこうしてわかりやすく噛み砕かれて紹介されてると、面白そうだし自分も読めた気になってしまうけど、実際読んでみたらきっと読破できないものたくさんあるんだろうな。トルストイの『復活』もすごくよさそう、って思うけど、トルストイの長編読み通すの結構時間と体力使うから、なかなか手に取りづらい。
あと、オブローモフ的なものって言い回しは井筒俊彦の『ロシア的人間』でもだいぶ聞いたけど、ちょっと共感するところもあり、これも気になる…農民に言葉を与えようとしたというゲルツェンも気になる…
『ロシア的人間』をかなり易しく書いた、っていう感じの本。読みたい本が増える。
Posted by ブクログ
なんと表現するのかわからないが、素晴らしい「読書案内」の本。
村上春樹ふうにいうならデタッチメントの文芸が好きな者だが、コミットメントの文芸にも興味ゼロではない。
というか、デタッチメント側の人間にとって、時事ネタにコミットメントするって文芸作品くらいでしか果たせないという直感がある。
いい橋をかけてくれた。
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「ロシア文学の教室」から小説の世界へワープ――異色の体験型・文学教室!
青春小説にして異色のロシア文学入門!
「この授業では、あなたという読者を主体とし、ロシア文学を素材として体験することによって、社会とは、愛とは何かを考えます」
山を思わせる初老の教授が、学生たちをいっぷう変わった「体験型」の授業へといざなう。
小説を読み出すと没頭して周りが見えなくなる湯浦葵(ゆうら・あおい)、
中性的でミステリアス、洞察力の光る新名翠(にいな・みどり)、発言に躊躇のない天才型の入谷陸(いりや・りく)。「ユーラ、ニーナ、イリヤ」と呼ばれる三人が参加する授業で取り上げられるのは、ゴーゴリ『ネフスキイ大通り』、ドストエフスキー『白夜』、トルストイ『復活』など才能が花開いた19世紀のロシア文学だ。
社会とはなにか、愛とはなにか?
この戦争の時代を考えるよすがをロシア文学者・翻訳者の著者が真摯に描く
「ロシア文学の教室」。
◎目次
シラバス・初回ガイダンス
第1講 大通りの幻 ニコライ・ゴーゴリ『ネフスキイ大通り』
第2講 仄暗い森のなか アレクサンドル・プーシキン『盗賊の兄弟』と抒情詩
第3講 孤独な心のひらきかた フョードル・ドストエフスキー『白夜』
第4講 距離を越える声 アレクサンドル・ゲルツェン『向こう岸から』
第5講 悪魔とロマンティック ミハイル・レールモントフ『悪魔』
第6講 布団から出たくない イワン・ゴンチャロフ『オブローモフ』
第7講 恋にめちゃくちゃ弱いニヒリスト イワン・ツルゲーネフ『父と子』
第8講 土埃に舞う問い ニコライ・ネクラーソフ『ロシヤは誰に住みよいか』
第9講 やり直しのないこの世界 アントン・チェーホフ『初期短編集』
第10講 心の声の多声 マクシム・ゴーリキー『どん底』
第11講 温室の夢 フセヴォロド・ガルシン『アッタレア・プリンケプス』ほか
第12講 よみがえるときまで レフ・トルストイ『復活』
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