【感想・ネタバレ】すべての罪は血を流すのレビュー

あらすじ

『このミス』1位『頬に哀しみを刻め』著者、最新作!
被害者の携帯電話に残されていた、残忍な殺人の画像――
悪夢のような連続殺人事件に、黒人保安官が挑む。

MWA賞長編部門ノミネート!
「コスビーの最高傑作を更新した」デニス・ルヘイン
「死体の山、ノンストップのアクション、最高の警察もの」スティーヴン・キング
「止まらない勢い、手に汗握る陰謀、犯罪小説のグランドスラムだ」マイクル・コナリー
「現代の犯罪小説の中で最も記憶に残る主人公の一人」ワシントン・ポスト

ヴァージニア州の高校で教師が銃撃され、容疑者の黒人青年が白人保安官補に射殺された。人種対立の残る町に衝撃が走るなか、元FBI捜査官の黒人保安官タイタスは捜査を開始する。容疑者は銃を捨てるよう説得するタイタスに奇妙な言葉を残していたのだ。「先生の携帯を見て」と。被害者の携帯電話を探ると、そこには彼と“狼”のマスクを被った男たちによる残忍な殺人が記録されていた――。

■著者既刊
『黒き荒野の果て』
『頬に悲しみを刻め』

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ネタバレ

いやあ面白かった。血の鷲はトゥルー・ディテクティブを思い出した
ゲイブリエルの父親は結局誰だったのか気になってる。ジーンかな?作中にヒントが出てただろうか

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2025年01月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

S.A.コスビー邦訳3作目。月並みな言い方やけど、裏切らない作家だなぁ。残酷描写の好みは分かれるが(俺は正直苦手)そこを差し引いてもすごいサスペンス警察小説。

良くも悪くも典型的なアメリカ南部の小さな町チャロンで、人望篤い白人教師が黒人の卒業生に殺害される事件が起こる。現場に居合わせた黒人保安官タイタスは事件の陰に大きな事件の糸を引く黒幕の存在をかぎつけ捜査を始める。

残酷描写もエゲつないが、根強く残る差別と旧態依然(伝統的ともいう)な信仰心が同居する人間の矛盾描写がまぁエゲツない。保安官タイタスの正義は分かりやすいが、差別主義者たちも自分たちの信じる正義をもって行動しているという皮肉。ストレートな勧善懲悪の物語に終息するはずが、自分の信じる正義は本当に正しいのか?という疑問を持った時、小説だけでなく自分自身に疑問を持ってしまう。深いし辛い。

主人公タイタスがジョー・ピケットと共同戦線を張るような物語を読んでみたいなぁとか思ってしまった。

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2024年12月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

S.A.コスビーの3作目。
今作は前2作のノワールから変わり、ゴリゴリの警察小説。

舞台はアメリカ南部の街。拳銃を所持した黒人の高校生を、保安官たちが射殺する。高校生は殺される直前、先生の携帯を見ろと言い残す。教室では教師が殺されていた。この街初の黒人の保安官タイタスは殺された教師の携帯を調べるが、中には目を背けたくなるような残虐な映像が残されており。。。

いくらなんでも前作「頬に哀しみを刻め」より面白いことはないだろうと読み始めたが、すみません、軽々と超えてきました。
正直物語のまとまり方は前作の方が上だけど、今作の警察小説としての手堅さ、完成度は圧倒されるほど良かった。

アメリカ南部の人種差別、独特の宗教感がこれでもかと言うほど描かれており、黒人保安官タイタスの非常に難しい立ち位置がわかりやすい。
若干、ラストが駆け足気味だったが、面白さは抜群だったため、今年を代表する翻訳小説になると思う。

というか、5月と6月は本作に加えウィタカーの新作、ボルトンの10年ぶりの新作、クレイヴンの新シリーズと、とんでもない豊作で嬉しい悲鳴。

0
2024年06月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「頬に哀しみを刻め」と同じ作者だったので。

桜の樹の下には死体が埋まっていると言ったのは、誰だったか。
ミステリーファンならば、
死体が埋まっているのは土の酸性度で色が変わる紫陽花だろう。
実際にそういうミステリーがあるかどうかは別として。

それゆえ、息子が高校の教師を殺したと知った母親が、
子は先生のことが好きでふたりで居残りをしていた、と語った時には、
ミステリーファンならそこに何が埋まっているのかに気が付いたはずだ。
意外だったのは、早々にその最優秀教師の裏の顔が掘り返されたこと。

奴隷制度の過去が色濃く残るアメリカ南部の町の高校で発砲事件が起き、
白人の教師が殺され、犯人の黒人青年を白人警官が射殺した。
まさかこの町に誕生するとは思わなかったと言われた黒人の保安官は、
教師の携帯の中におぞましい写真を見つける。
七人もの黒人少女少年を殺した犯人はもう一人いて、
大人を殺しはじめる。

歴史的な諍いを抱える町の空気感は非常によく描かれていて良かったが、
判明した犯人が唐突で、いったい誰なのかわからなかった。
保安官の恋人が去っていったのも残念。
面白くはあったのだけれど。

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2025年06月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

いやー、面白かった。
もちろん昨年このミス1位をかっさらった『頬に哀しみを刻め』の皮肉とユーモアの効いた会話、何を差し置いてもの家族愛の物語も面白かったが、自分的にはこのザ・南部アメリカ物語がこれまでのコスビー作品の中で一番刺さった。

ヴァージニア州の田舎町チャロンの元FBI捜査官の黒人保安官タイタスが就任1周年を迎えたとある日、町内の高校で銃発砲事件が発生。
誰からも信頼を寄せられるスピアマン先生が撃たれ命を失う。
犯人はタイタスの親友の息子ラトレル。
ラトレルは駆けつけた警官達に降伏する素振りも見せず、むしろ迫ってきたことで射殺される。
残した言葉は「(スピアマン)先生の携帯を見てみろ」。
その後、その携帯、スピアマン宅で発見される怖気が走るほどの悪事の証拠。
そして発砲のタイミングが早すぎたのではないかという疑念。
被害者のスピアマンは聖人などとは程遠かったのではないか、ラトレルはむしろ犠牲者なのではないか。。。

何と言っても毅然として悪事と対峙するタイタスがカッコ良すぎる。
現実世界ではどうしたって甘えや自己欺瞞が発生してしまう「正義」をど正当に貫き通す姿。
黒人であることの逆風や世間からの視線も物ともせず、時に融通が利かないとすら思える窮屈な法律も遵守しつつ、ただただ自らのできる正しきことを推し進める。
こういう「強さ」を感じられる物語を読むと大いに勇気づけられるし、少しでも自分ができることをやろうという気にさせられる。

ただそんなタイタスの姿勢は過去に対する贖罪の意識から。
必要以上とも思える、全てを背負おうとする心情に痛々しさを感じることも少なくない。
自らを律する気持ちを支えきれず、立っていられなくなりそうなときに寄せられる父親、弟との家族愛修復の展開もまたうるっとくる。

またしてもエドガー賞候補となった本作、現地ニューヨーク・タイムズに絶賛のコメントを寄せたのはデニス・ルヘイン。
これ以上にない程の適評者。
あー、ルヘインも読みたくなってきたー。

このミス2025年度版7位。

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2024年12月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

もとFBIの黒人の保安官が主人公.
銃を持った黒人の男,単純な事件と思われていたものが,どんどん深い闇を覗かせていく.猟奇的な黒人の子供たちの死体が発見され,また新な殺人も起こり.白人と黒人の敵対する状況の中で奮闘する主人公タイタス.殺人鬼との対決は手に汗握る.
また人物描写も父や弟そして恋人や同僚たち含めてよく描かれていて,特に亡くなった母親が時に現れ力付けてくるシーンなど感動的だった.

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2024年12月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

・あらすじ
アメリカヴァージニア州が舞台。
未だ人種差別が色濃く残る南部の田舎町チャロン郡で保安官をしている元FBI捜査官タイタス。
ある日高校で銃撃事件が起こる。
加害者の黒人男性はその場で射殺されるが、被害者の携帯電話にあったSDカードから加害者と被害者、そして狼のマスクを被った男たちが黒人の少年少女達を拷問殺害しているスナッフフィルムが発見される。

・感想
流石のコスビー、面白くってあっという間に読み終わってしまった。
1970〜80年代の話なのかと思いきや2000年代が舞台ということで少し驚いた。
南部の人種差別というのはここまで根深いものなんだと些細な描写で実感させられた。
私はアメリカ南部には行った事ないし小説やドラマでしか触れたことがないから勝手な憶測?だけど2000年代にはもうちょっとマシになっているかと思ってたわ。

法律に則り公平・公正であるために常に自分を厳しく律しているタイタスだけど、その信念のためにどの立場の人間からも煙たがられていたり…。
ずっと自分を律してきていたからこそ、最後チャロン郡を旅立つ時に【南部の反逆者 ジョー】という差別の象徴である銅像を引きずり倒して笑う描写にはとても爽快感があった。
タイタスには穏やかな余生(?)を送ってほしい…。

犯人予想に関しては邪道な方法(登場人物一覧の消去法。「こいつ登場人物欄にいる割に全く話に出てこないな?」とか思いながら)絞り込んで読んでたw
犯人の家に突入するシーンから最後の戦闘シーンまでは手に汗握る描写で痛々しくもハラハラしっぱなし…犯人発覚の段階で残りページがほぼ無かったからどう決着させるのかと思ってたけどサクサク進んだ。

南部の強烈で強固な信仰心は私みたいなふんわりテキトーな信仰心(無宗教とは思ってない)しか持ってない人間にはちょっと理解できないところもある。
だからタイタスの「犯人を神格化してはいけない」「悪魔も神もなくただの人間」だというリアリストな部分は読んでて共感した。

コスビー作品はまだ黒き荒野の果てが未読なのでこっちも早く読みたい。

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2024年07月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

黒人保安官が主人公で、殺人事件を捜査する中でまだまだ人種差別が色濃く残る南部で苦悩する物語、渋くて良かった。

主人公は母親が死んでから神を信じなくなったにも関わらず、セリフや地の文でも聖書からの引用がそこら中に挟み込まれる。
このやり取りがカッコイイです。
否定しているのにほぼ暗記してるし、間違いを指摘してやり込める会話劇も新鮮で楽しい。
キリスト教圏の会話ってほんとにこんな感じなのかな、だとしたらかっこよすぎる。
犯人との聖書引用問答も印象に残った。

前作はアクション映画みたいだったけど、今回はサスペンス寄りかな。
面白いし、アクションの迫力、登場人物たちとのやり取りのスリリングさはあるのに爆発力はなかったかな、最後に南部連合の像を引き倒すような場面が2箇所くらいあれば最高だったかも。

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2024年06月03日

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