あらすじ
かつてない距離を即時に越えるコミュニケーションを可能にした電信。その発明史と、19世紀の欧米社会に与えた大いなる影響を描く
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Posted by ブクログ
通信技術を扱う仕事をしていてとても興味深い教養雑学本に感じたので購入した1冊
技術普及の研究テーマを技術の専門家でない人たちに伝える機会があったときの小話にも使えるのではないかと。
歴史は繰り返すというか今最先端の研究テーマってすでに150年以上前から問題意識としてあったものなんだな、と思う。今でいう変調や符号化の技術が原始的になるとモールス信号だったり、文字通り「信号処理」に対する技術解決競争という感じでとても納得感がある。
昔から高速大容量化と低遅延、信頼性などのテーマ向かう努力の息づかいがうかがえる。ホント今の5Gや6Gの最先端の解決したい技術課題や要素技術の研究動機と酷似している。あぁここは省電力化とか電力効率の話だなとか、海底ケーブルを通すことや、ここは多重化や変調の話しだなとか。今と対比させるとその原始的なやり方だけど真摯に解決に向かって腐心している様子がとても共感できる。さらに興味深いのは、通信の利用のされ方だ。通信の秘匿性を高めるためのセキュリティや暗号、認証の技術に通じるものがあるし(さすがに貨幣流通へのインパクトまではまだないが)、当時のネットワークを通じたロマンスもあったというのは興味深い。
通信はTelecommunication(テレコミュニケーション)とかCommunication(コミュニケーション)と訳されるが、今一つ語感がピンとこなかったのだが、通信の本質が人との対話がトラフィックという概念(バフチンの研究だったはず)でとらえられると、通信トラフィックがコミュニケーションの本質なんだなと思えてくるようになったのは、いくつかの本をこれまでに読んできたおかげでようやく自分なりにたどり着くことができたのかな、と感じる。ある場所からある場所への通信において機器構成を冗長化する考え方は、メッセージの配達郵便に通信経路を飛行機(Air)か船(Ship)かという物流的な冗長ともリンクして考えるし、伝え方(表現)は今やマルチなメディア活用しているし。
本の登場人物も象徴的だ。特にモールス信号のモールスとホイートストンが印象的だった。モールスが2進数で通信する原点を築いた人なんだなぁと思う。「ホイートストン」の文字を見たときは、「えっ!?あの回路(ホイートストンブリッジ)の人?こんなこともやってたの?」とちょっとした発見をした気分になった。なんだかんだ自分の電子工学の学生だったのだな、今じゃ回路の「か」の字もふれてないが(笑)。
ビクトリア朝時代(江戸の終わりから明治あたり)の話を今の技術と対比させて、通信の雑談ネタとして自分の中にストックしておこうと思う。