あらすじ
鬼が哭(な)く夜は死人が出る――まさか、令和になってまで。終戦直後、中国地方の寒村で起きた惨殺事件。姿を消した犯人の呪いにより、今も犠牲者が出ているというが……。驚愕の呪いの真相とは!? “どんでん返しの帝王”が因習と伝奇の本格推理を現代に甦らせる! 圧巻の結末(ラスト)!!
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Posted by ブクログ
最初のおどろおどろしさは
これが続いたら読めるかな、、と思うほどだった。
しかし村の中学生と東京から来た余所者との
交流が深まるにつれトーンが少し明るくなって
めでたしめでたし(たくさん人が亡くなってはいるが・・)かと思いきや
最後にやはり
そのままじゃ終わらないーと。
村に伝わる祟りの種明かしをしつつ
その法則に当てはまらない一件は、、
と最後まで気が抜けない作品だった。
村の同調圧力やウワサの速さはよく分かるし
そこで暮らす思春期真っ只中の中学生には
辛いだろうなと思った。
Posted by ブクログ
田舎の排他的な感じに苦笑しつつ、おもしろく読めた。
田舎に住んでいる人が皆そうだとは言わないけれど、視野が狭い状態で根拠なく何かを信じている人が多いよね。
ストーリーは予想通り、祟りを科学的に解明するわけだけど、田舎あるあるがヤバすぎるのに想像できすぎて想像以上におもしろい。
ふと思ったんだけど、これを田舎住みの人が読んだらどう感じるんだろう。
そして、ラストが私好みで良かった。
裕也が自首するかどうかはともかくとして、大人になって都会に出たときにどう感じるか知りたい。
Posted by ブクログ
物語の舞台は、岡山県・津山市に存在する山深い村─姫野村。そこに残るのは、戦後まもなく村人6人を惨殺した元地主・巌尾利兵衛の呪い。70年以上にわたり、鬼哭山(おになきやま)からの咆哮とともに“祟り”が襲いかかるという伝承がある。
令和の新型コロナ禍におけるマスク着用の同調圧力や情勢不安の鬱積─その中で東京から移住してきた麻宮をきっかけに、不穏な空気が村を覆い、次々に不審死が起きる話。
姫野村での閉鎖的な環境で日々の不満が蓄積すると余所者への攻撃が正当化されてしまう。陰性証明書のような証明があったとしても陰謀論に飛びつき、話を聞こうともしない。私自身の地元も多少田舎なので心当たりのある話だった。
殺しのトリック的なところで言うと、鉱山採掘に利用した穴が台風などの突風により大音量の音を醸し出してしまい、持病のある人間がショック死してしまったこと。
Posted by ブクログ
終戦から2年経過した岡山県にある
閑散とした田舎町。
この閉鎖的な田舎町で起こった惨劇
利兵衛は「鬼」と化したのか?!
この導入部分が大変好みで
時代が昭和から令和のコロナ初期に
展開しても謎解きと「祟り」や「呪い」と
絡められていて読む手が止まらない。
田舎に限らず、実はどこでも
プライバシーのなさや
固定概念による排他的な
雰囲気はあるあるだと思うし
そこに未知のウイルスが加われば
集団心理の恐ろしさや
新参者への疑心暗鬼などは
当時、確かにあった感染者への
過剰な態度や嫌がらせなどの
ろくでもない側面ばかり思い出す。
麻宮の立場的なものは早々に
分かったけれど(分かりやすいよね)
「鬼の哭き声」の正体がわかった時には
ちょっと拍子抜けしてしまった。
鬼(利兵衛)の継承者居て欲しかったなぁ。
ラストはまさかの展開だったけど。
ある意味新たな鬼だよなぁ。
Posted by ブクログ
戦後の農村・姫野村で、村民6人が襲われる凄惨な事件が起きた。その犯人・巌尾利兵衛は鬼のような形相で山の中へ消えてしまう。姫野村では令和の時代になっても鬼の呪縛に囚われ、恐れられていた。その村では今でも鬼が哭くと人が亡くなるという言い伝えがある。
令和の世に祟り?怨念?
非科学的じゃないっていう突っ込みをさせないほどの排他性がとてもリアルに感じられる。まるで宗教に心酔する信者のようだと思った。外との交流を拒み、うちの中で生きていくというのは常識や科学的な考え方から遠のいていくことだと気づく。
村の排他性や有無を言わせぬ世襲に嫌気が刺してしまう主人公の気持ちはよく分かる。彼に都会の価値観から物を言う大人たちとの交流も微笑ましい。微笑ましいだけで済ませてくれないとは思っていたし、中山先生は最後にやっぱりひっくり返してくれたなと頷きながら読み切った。
お母さんはきっと知っていたんだ。だから放っておいて欲しかったんだ、そう思ったら切なくなった。
Posted by ブクログ
コロナ禍の限界集落の鎖国感の恐ろしさ。理由は関係なく、排除したいから排除する。人が考えなくなった時にこれほど浅はかになってしまうのか…
最後はまさかの展開だったが、あっさりと結末にいってしまったので少し物足りない。
Posted by ブクログ
舞台が近くということで、津山の事件をモチーフにしたのかな?戦後まもなく自尊心を打ち砕かれ、おかしくなった地主が村人を殺害、自らは失踪。時は流れ、コロナ禍の日本。閉鎖的な村に都会からの移住者がやってきてから村の雰囲気が変わっていく。まさしく、当時の日本の縮図を閉鎖的な村で表しつつ、土着ミステリ風味で話が進んでいく。語り手は男子学生なので、息苦しさとか、親への反発とかが加わって、陰惨さは感じなかった。グロテスクな表現がないので、それが苦手な方にもオススメです。種明かしは科学的で良かったけど、多分勘の良い人は途中で種に気づきそうです。ラストはうーん、そうなるかな?とちょっと疑問でしたが、さらっと読みやすかった。
Posted by ブクログ
祟りを科学的に解き明かす限界集落ミステリー。因習物とはちょっと違う気がするけど、先が気になって一気に読めました。祟りのヒントは割と早めに出揃うので、既にいない利兵衛に怯えて麻宮を襲い続ける村人達の無知で狭量な考えの方に注意が行きます。
コロナ禍の限界集落や、パセリや農作物、山師や詐欺師などなど、幅広い知識が出て来て勉強になりました。
麻宮はずっと「無学で無教養な村人に何を言っても通じない」と言う姿勢だったのに、解決編では長々と山哭を口頭説明し、怒り狂っているはずの村人達はその説明をすんなり受け入れて和気藹々し始めたのはちょっと違和感。
中学生の裕也がとても聡明でした。村役場の個人情報保護や高級車の塗装30万円をまっさきに心配する15歳。
最後のどんでん返しは何故か雑に感じました。雨で証拠が流れたのなら麻宮達はどうやって気づいたんでしょうか。玄関前にカメラを設置してたんですかね。
今回のオチ:
山哭の正体は、鉱脈を闇雲に探していた山師達が掘ったトンネル達が吹奏楽器のように鳴っていたため。暴風の日しか鳴らない、嵐の日は年寄りが畑を見に行ってしまう、持病を持った老人には山哭の爆音は致命症になる、これが死人が出る理由。
麻宮は村人6人殺した利平衛の孫で、祖父の犯罪のお詫びに祟りを解明した。利平衛が山で消えたのは野生動物に食べられたため。最初から謎が解けたら麻宮は家を売り払い東京へ戻るつもりだった。
裕也の父の死因だけは山哭に当てはまらない。実は裕也が台風と山哭に乗じて溺れさせていた。