あらすじ
スペイン男子クラブ初の女性監督は日本人
ビジャレアルでの指導改革を著した『教えないスキル』から3年。
生き馬の目を抜く欧州フットボール界で味わった歓びや葛藤、
発見と学びを赤裸々に綴った32年間の軌跡。
「この業界には二つの生き方を選択する人たちがいる。
ひとつはその地位にしがみついて生き延びようとする者たち。
もうひとつは自らを生きる者たち。ユリコは後者を目指してほしい」
上司が贈ってくれたエールである。
ありのままの自分、なりたい自分を求めて「常に前進」してきたフットボール人生
【コンテンツ】
プロローグ
「フットボールは私たちに何をもたらすか」
第1章 11歳にキレられた新米コーチ時代
やるならサッカーだ
指導者は人を扱う職業
苦難の指導者合宿
第2章 30歳で味わった濃厚な4週間
ヘッドコーチから監督へ
8試合ぶりの勝利
明日の私は昨日よりも劣るのか
第3章 ビジャレアルの指導改革
歴史の勉強から始まった指導改革
「悪い指導者」など存在しない
ユリコの改革が好例である理由
第4章 自分を疑う力
トランスフォーメーションが新時代の選手を育てる
自分を疑う力
疑う力が生み出した「教えないスキル」
第5章 改革の果実
U-12監督の手腕はミリオン級
ビジャレアルの独自性
クラブのスローガン「Endavant!(常に前進!)」
第6章 Jリーグへの愛と「コウモリの眼」
三つめのブラインドサイド
元旦決勝移行と「コウモリの眼」
偶然ではなく必然の勝利に変えるために
第7章 「佐伯、サッカーやめんなよ」
私はなぜ指導者になったのか
心地よいフィロソフィ
「サバイバーになるな。君の人生を生きろ」
【特別収録】
スポーツ現場におけるハラスメントとの決別宣言
エピローグ
「人生の醍醐味」
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
教えないスキルを読んで、もっと深く知りたいと思い読んでみました。佐伯さんの今までの道程に沿って、考えていたこと 人との関わりで気づいたことなど具体的に書かれており、より深く理解が進みました。
また、巻末のハラスメントについての文章を読むだけでも価値があると思います。
Posted by ブクログ
日本のサッカー業界からすると稀有な経歴をもつ著者佐伯夕利子さんの、仕事であるフットボールから得た、生きるために忘れてはならないことが凝縮された一冊です。
社会のなかのプロスポーツのあり方や目指すべきもの、パワーハラスメントの問題など、スペインでの経験をベースに語られているので、すごく納得感があり、スポーツ界にかかわらず、社会全体に通ずるものがあるなあと感じました。
立場上、誰かに教えていかなければならない方々、恐らく、これ知ってるわ、になると思いますが、なかなかのお薦め本です。
信念は大切だけど、自分を客観視することも大事なんですね。
Posted by ブクログ
▼メモ
・P86:選手は結局、指導者からどんな感情にさせられたか?が一番記憶に残ると考えます。
・P94:音を立てない選手は、静かだからつい自分のなかで「彼らは問題ない」としてしまう。でもリーダーが本当にしなければいけないことは何か?と立ち返ると、答えは全員の成長支援に行きついた。
・P137:「言葉は思考をつくるから、使う言葉はきれいなほうがいい」
・P184:「佐伯さん、でも僕はね、ちょっと違う見方をしていてね」、否定するでも、承認するわけでもない。あなたがそういう考え方をしていることを僕は受け止める。ただ違う見方をしているだけだから、という話だ。
・P226:ある人は、「人前で不機嫌な態度をするのはマナー違反である」という。さらに「不機嫌は怠け心、上機嫌は意志。自分の機嫌は自分で取るべきで、他者に問題があるわけではない」
Posted by ブクログ
スペインといえば、ワールドカップで常に優勝候補に挙げられるフットボール大国であるが、その育成の手法は世界一とも言われる。何のためにフットボールに取り組んでいるのかについて、選手もコーチもスタッフも地域もスポンサーも考えている。すごい理念だ。この国で、女性初の監督にもなった佐伯さんの体験談と思想がまとまった一冊。失点も得点も誰か一人の責ではなく、そこに至る全ての要素の結果であるとの考え方。だから、11人のスタメンを鍛えるのではなく、誰が出ても等しくパフォーマンスを発揮できるようにしておくこと。それが育成である。言葉は思考を作るから、綺麗な言葉を使う方が良い、など。コーチ、先生、支援者など、人に関わる全ての職業の方に参考になる教えがいっぱい。