【感想・ネタバレ】ショック・ドクトリン(上) 惨事便乗型資本主義の正体を暴くのレビュー

あらすじ

戦争,自然災害,政変などの惨事につけこみ,人々が茫然自失している間に過激な経済改革を断行するショック・ドクトリン.独裁政権下のチリ,ソ連崩壊後のロシア,天安門事件後の中国など,世界中を席捲した改革は何をもたらしたのか.綿密かつ豊富な取材に基づき,舌鋒鋭い筆致でその正体を暴き出す.(解説=中山智香子)

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Posted by ブクログ

ショック・ドクトリン=惨事便乗型資本主義とは、災害やテロなどショッキングな出来事の混乱や衝撃に乗じて特定の利害関係者が利益を得るような法制度改正や公共サービスの民営化といった新自由主義的な変革が行なわれることを指す。

記憶に新しいところでは、9.11全米同時多発テロとその後のイラク・中東戦争が民間のセキュリティ会社によって運営され、ハリケーン・カトリーナが襲来した南部では公営の学校が閉鎖されて私学への助成金が増額されるなど、日常的にはあり得ない社会構造の変化が立て続けに起こっている。

日本でも同様に、東日本大震災や新型コロナウィルスの蔓延といった社会的に大きな出来事に前後して、各種公共サービスの民営化と値上げ、社会保険料を含む税金の急増など見えないところでのコスト負担が国民を苦しめている。原発事故という未曾有の危機を発生させた東京電力がなぜか過去最高益を更新し、JR各社は過疎地の路線を廃止する一方で都心の不動産開発を熱心に進めている。

新自由主義の源流はシカゴ学派と呼ばれる、ミルトン・フリードマンを中心とした経済学者によって理論化され、レーガンからブッシュに至るアメリカ大統領にも支持されてきた。さらに金融緩和と小さい政府による減税といったポピュリズム政策は、現在のトランプ政権にも引き継がれて日本経済にも影響を与えている。

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2025年09月12日

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