【感想・ネタバレ】結婚の社会学のレビュー

あらすじ

結婚をめぐる常識は、日々変化しています。事実婚、ステップファミリー、同性パートナーシップ、選択的シングルなど、一対の男女による結婚→出産というモデルではとらえきれない家族のかたちがたくさんあるのです。この本では、国際比較、歴史的比較、理論という三つの視点から、結婚というものを解き明かしていきます。当たり前を疑ってみることで、「ふつうの結婚」「ふつうの家族」という考え方を相対化できるはずです。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

結婚は誰が誰とでもしていいものだと思う。どうせ、親は先に死ぬものだし兄弟が頼りにならない人もいる。恋愛や性的な関係がなくとも家族になって良いのでは?共に暮らし協力して生きるため、結婚して家族の地位や権利を得る。何がいけないことだろうか?結婚も多様化し、異性婚も同性婚もその他の結婚諸々も選択肢の1つになってもいいと思う。

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2024年06月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

以下、メモ
共同体的結婚→家柄(見合い)結婚(明治以降)→人の流動性が高まり結婚相談所も発達→自由恋愛(皇太子結婚)→近代家族モデル(高度経済成長期)

今自分がパッと思い浮かべる"昔の結婚、恋愛"とは

親の意思のみで決まるお見合い婚が基本で、夫婦は一生添い遂げる、女性は一生旦那に尽くす。

であったがそれも一般大衆においては敗戦後、もしくは明治以降の武家上級国民のみ話であって、
実際の江戸時代や明治の一般大衆などでは村集落内での若者仲間、娘仲間の間での自由恋愛、夜這いが一般的でお堅い「家柄」を意識した結婚は殆どなかった。今より自由すぎて正直意外。

結婚式も神前婚が伝統的だと思っていたが、それも高度経済成長期にキリスト教婚と共に普及したまでで、人前婚が昔から一般的であったそうだ。
とにかく意外だ。


江戸時代(1603〜1807年 一派虚しく大政奉還)
・妾の慣習
・若者組合、娘組合による共同体主義的結婚


明治時代(1868〜1912年 逝く日に明治)
1872:戸籍作成
・一夫一妻制(妾は妻の次位)
・家柄を重視する家族的結婚
・近代化により居住の流動性が高まり結婚媒介業が繁盛
・民法草案「夫婦は結婚後互いに苗字を変えない」
1890:教育勅語により夜這いが一転野蛮扱い
1898:明治民法により家制度、一戸籍同一氏これらの目的は不平等条約の改正のため(戸籍を作成し国民を管理し中央集権的にするため)

大正時代(1913〜1926年 特に無意味の大正)

昭和時代(1926〜1989年 行くぞ約束の平成)


1930:東京に公営結婚相談所、日本民族衛生学会
1937:第一次近衛内閣
1938:厚生省(国民を強く、健康に) →国家総動員法
1940:大政翼賛会
1941:結婚報国懇話会


終戦(1945年)
日本国憲法:結婚は両性の合意のもと成立「家」→「個人」 
内縁(事実婚)は戦前の家制度(足入れ婚や妾)を反映していたため封建的と批判され、無くなっていった。法律婚こそが民主的、至上とされた

高度経済成長期(1955〜1973年)

1959:皇太子のご成婚により自由恋愛が広まる
神前式婚の普及
1966:兵庫県不幸な子供の生まれない運動
1970:職縁結婚が地縁結婚を越える


1980後半:再び事実婚が脚光を浴びる(職業に差し支えるなどの理由)
産業構造が変化することで「企業と結婚の結びつきが強まった」結果人口が農村→雇用労働者に変化。それにより「夫はサラリーマン、妻は専業主婦、子供は2人」という近代家族モデルが完成


「異性愛規範に基づく近代家族制度のなかで疎外されるだけでなく家族形成の機会も奪われてきたレズビアン、ゲイはそもそもの家族制度の解体を主張するベクトルと、家族形成の権利を要求するベクトルの間を揺れ動くこととなる」

「同性婚が成立したら、既存の性規範がむしろ強化される。特定のセクシャルマイノリティにとって好ましい制度でもその他のセクシャルマイノリティを置き去りにしてしまう。」

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2025年09月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「結婚するのが善」のような日本全体に蔓延る認識への疑問、選択的夫婦別姓制度に対する批判意見への疑問、パートナーシップ制度を使うか悩んでいる友人2組、と色々重なったのでインプットのチャンスだと思い手に取った。24年4月に刊行されたのでこのタイミングで読むことができてよかった。

考えさせられてしまった話としては、選択的夫婦別姓制度への批判として「旧姓の通称使用で事足りる」というものがあるという話。「旧姓の通称使用」は夫婦別姓が認められないなかで女性が勝ち取ってきた権利であるにもかかわらず、批判派がこれを逆手にとって批判材料としている。

同様に、パートナーシップ証明制度の全国的な広がりには、メリットの裏に同性婚の実現をむしろ阻むのではという懸念がある。これも当事者の努力によって拡大してきたものにもかかわらず、これを逆手にとって同性婚の必要がないことの根拠にされる可能性が考えられる。

この話は自分の生活や仕事でもあり得ることだと思い、気を付けようと思った。

また、事実婚が顕在化したことが、日本でも家族が多様化したことの一例として挙げられることが多いが、日本における事実婚は「夫婦別姓のため」に選択されることが多く特殊である。多様性が尊重されつつある結果ではなく、むしろ多様性を排除する夫婦別姓制度ゆえに生じている事実婚が多い状況である。
(同姓・別姓・結合姓・創作姓が自由に選択できる他国では、夫婦別姓だけを目的に事実婚を選択することはほとんどない)

考えたことのない考え方としては、「国家はなぜ性的関係だけを優遇し特権を与えるのか?性的関係がなければだれかと家族として生活することはできないのか?」とそもそもの結婚制度を見直そうという考え。フランスのPACSやベルギーのパートナーシップ制度は、友人同士でも利用可能である。同居し相互に支えあう友人同士が、税制優遇や病院面会など家族しか受けられない待遇を受けることができる。

結婚に関する考え方について日本はものすごく遅れているということが、歴史、海外諸国との比較により理解できた。
おすすめ書籍がたくさん載っていたので、いくつか読んでみようと思う。

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2024年12月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

拡張していく概念と。結婚はあまりまじめでなく考える方が保守的になるんだな。思考停止することって節約なんだろう。ほじくり返すとはよく言ったものだ。面白かった。

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2024年06月15日

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