【感想・ネタバレ】Z世代化する社会―お客様になっていく若者たちのレビュー

あらすじ

「世間の人々が若者に不満を持つのは古今東西変わらないようで、古代エジプトの遺跡の壁画にも『近頃の若者は……』って、書いてあったらしい。ちなみにこの話はネットで流行ったウソなのだけども、そんなウソ話がリアリティを持つくらい、人々は若者にいつも呆れているし、若者はいつも呆れられている」
――「第1章」冒頭より

「まったく、近頃の若者は!」と嘆くあなたも「Z世代化」している!?
ゆとり世代の東大講師がコミカルに語る衝撃の若者論!

「PTAに言いつけますけど、いいんですか?」
「気難しい表情の上司は存在がストレス」
「怒らない=見捨てられた。だから、いい感じに怒って」
「職場環境はいいけど、社名を自慢できないから転職します」

若者を見ればわれわれの生きる「今」の、社会の構造が見えてくる!

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Posted by ブクログ

タイトルを見て気になったので読んでみました。
著者は経営学者であり、社会学者ではないので、内容的な正しさについては疑問が残るものの、研究者らしいアプローチでZ世代を、そして、Z世代を通じて日本社会を考察しているため、非常に納得できる部分が多い本でした。
文体も含め、今のところ、自分が今年読んだ本の中では一番だと思います。

本書は、Z世代の傾向に関する考察が中心に書かれているのですが、その多くは、Z世代の親世代である団塊ジュニア世代の自分にも思い当たることが多いこともあり、「Z世代の振る舞いは、団塊ジュニア世代の振る舞い(団塊ジュニア世代にも思い当たること)の一部を抽出したように見える」と思いながら読み進めていました。
そして、その考え方は、ある意味、当たっていました。

本書によれば、「Z世代は、現代社会の変化をいち早くとらえている層」ということができると思うのですが、これを一般化すると、「若者は、その時代の社会の変化をいち早くとらえている層」ということができ、そのことを的確に見抜き、指摘・説明している点が、この本の秀逸な点だと思います。

著書の舟津氏は「ゆとり世代」だそうですが、どんな教育課程からも、こういう有望な研究者が生まれてくるものですね。
そういう意味では、文科省は、自省がやりたい施策を無理に推進するのではなく、もっと現場(先生)や子どもを信用して任せた方がよい気がします。

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2025年09月27日

Posted by ブクログ

Z世代の子どもを持つ身として読み、深く頷く部分が数多くありました。知っておくことの大切さを思いました。また、本書の締めくくり方も好感が持てました。

こども若者支援に携わる身としても、読めてよかったです。本書で指摘されていることを知ることで、声のかけ方もかわってくるだろうと思いました。

どの時代もそれぞれ大変さがあるけれど、Z世代もなかなか大変そうです。まずは彼らの苦労を汲むことから始めていきたいです。

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2025年09月24日

Posted by ブクログ

自分も当時同じような考えを持っていたはずなのに、今の若者の考えが理解できなくなってきた。しかも同じようで微妙に違う。その謎に迫りたいと思い、本屋で目に付いたこの本を読んでみた。

読めば読むほど若者が不憫に思えてくる。詳細は省くが昔と比べて、SNSを取り巻く友達との関係、言いしれぬ根拠のない不安やそれを利用して食い物にするビジネス、意味内容の伴わない言葉に翻弄され振り回される就活界隈、これだけのことを毎日処理してたらそりゃ冷めた考え方にもなりますよね……毎日学食でモンハンやってた私なんか到底及ばない世界になってるんですよ……

ただ時代々々の若者とオトナは合わせ鏡だということは忘れないようにしたい。そのときのオトナの都合でそうなってしまったというだけで勝手にそうなっていったわけじゃない。若者だけ変えればいいのではなく、社会全体で変わっていかなければならないことなんだ。みんな自分は関係ないと思ってちゃいけないよ。

著者のユーモアも交えてクスッとする文章もたくさんあるので割とさっくり読めて楽しい体験だった。

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2025年07月05日

Posted by ブクログ

平易な語り口の中に専門性が入っている形式で、とても読みやすい。

Z世代は掴みにくいというか、両面性があるというか、両極端ではなく中庸、良いとこ取りをしているのだという印象を持った。

怒られることや、先生に授業で当てられるなどの困ったことは拒否する一方で、成長を求めてインターンやモバイルプランナーなどを経験する。
全員が成長を求めているわけではないが、頑張っている人を笑えるのは頑張っている人だけというような対称性を持つ。

Z世代、もとい若者は世間の鏡である。Z世代は大人の社会にリアクションをしているに過ぎないし、大人もZ世代と同じ構造の中にいる。世間のあらゆるニッチにビジネスが入りこんでいるし、トラブルを起こさないためには互いに無関心であることが最適解だし、我々の不安はビジネスによって煽られている。

構造を変えることはとても難しい。それに抵抗するには我々の心身からアプローチする必要があるだろう。

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2025年03月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「Z世代」と呼ばれる若者たちを分析することで、社会の在り方と変化を展望する。

●Z世代の住処
・若者はSNSという檻の中で監視し、監視されることによって安寧を得ている。コミュニケーション「らしきもの」を取りながら、ヌルい関係性の中でお互いを監視し続ける。
・学校も「不快なものを極力排除した」楽しい場所でなければならない。Z世代は「客」だから。そして、教員が指導しようものならすぐにクレームを入れる。こうして、教員と生徒、お互いがWin-Winになる「無関心」という関係が生まれる。
・若者は、「ありのままでいたい」けど「何者かになりたい」という、相反する願望を抱えている。無理はしたくないものの、他人から「凄い」と言ってもらえるレベルではありたい。

●消費の主役・Z世代
・「若者らしさ」「推し活は人を幸福にする」という社会言説を作り、Z世代を消費のターゲットにするビジネス。「みんなやっているから」という曖昧な理由で、サービスやモノが飛ぶように売れていく。
・コンテンツが個別多様化し、より閉鎖的で他者から見えないようになる中で、不適切で粗悪なものが若者をとんでもない方向に「教育」していく危険性がある。YouTuberやインフルエンサーが「ビジネス」のために行なっていることを、リアルな世界線での倫理観として学んでしまう若者たち。
・「友達と違ってたら嫌ですよね」
こうやって「不安」を煽ることで、Z世代をカモにする企業も存在する。不安に根拠は必要ないので、若者はホイホイ金を払う。
・若者のいる現代社会はビジネス化の一途をたどっている。そして、知識がなくて意思決定が拙い若者は恰好のカモである。

●唯言が駆動する非倫理的ビジネス
・「やりがい」「ガクチカ」「インターン」「コミュ力」など、言葉が一人歩きしてしまい、その言葉の真偽はともかく「正しいという空気」さえ作ってしまえば、事実を都合良くコントロールできる。
・実態なき言葉を駆使して「成功体験」を積んできたZ世代は、それなりにいる。しかし、実態のない、言葉しかない薄い世界にしたのは他でもない「オトナ」。

●劇的な成長神話
・「成長」「自己実現」など、若者は具体性のない付加価値を求める。
・「道徳の対称性」によって、自分と違う立場の人には口出しできず、第三者的でどこか他人事な思考に陥る若者。「好きにしたらいい」「自分で考えてやってごらん」など、大人が是としてきた個人主義的な自己責任論を、若者たちは参考にし、また強いられている。

●消えるブラック、消えない不安ー当たりガチャを求めて
・職場は確実に脱ブラック化してきているにも関わらず、若者の「不安」を消えず、「ゆるい」職場は敬遠されてしまう。どこかに必ず「やりがいのある職場」があると信じ込み、離職を繰り返すことで「ガチャ」を回し続ける。
・社会は人を怒らない方向にシフトしており、怒られた経験ない若者たちは、「怒られる」=「恥ずかしいこと」「この世の終わり」だと思ってしまう。
・他責思考の人間に、「当たり」は永遠に回ってこない。

●不安と唯言のはてにーわれわれに何ができるのか
・Z世代は、我々の住む社会の構造を映し出した「写像」である。世代間で分断するのではなく、我々みんなに同じ構造があることを認識し、どうやってそこから生きていくのかを考えていくことが重要。
・自分にぴったり合う仕事、楽しい仕事など、この世には存在しない。
・「満点志向」の人間から脱却して、「われわれは頭が悪い」という自覚をもとに、愚直さをもって賢くなる努力を積まなければならない。
・信頼にも不安にも根拠はないからこそ、「余裕」を持って生きる。

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2025年01月30日

Posted by ブクログ

著者も本書の中で述べているとおり、「先生、どうか皆の前でほめないでください」を参考にしているというか、なぞっているというか、追試しているような感じがする(悪い意味ではない)。文体も似ていて同じ著者が書いたと言えばそう思えるかも知れない。上書きしている部分、補完している部分もありつつ、この2冊はセットとして読むべきかも知れない(あくまで個人的な感想)。完全肯定ではなく、かえってアンチ(笑)というわけでもない。実際のZ世代の若者として登場してくる事例が同じ様で少し違うのは学生の所属する大学の違いなのかなと思う。私自身複数の大学の学生と主に授業を通じて接する機会があるが、ものによって大学によって、これら2冊に書かれている学生像と近い、遠い(といっても微々たる違い)のニュアンス差がある。
Z世代は、線を引いたこちら側から客観的風に語るものではなく写像であるというところに妙に納得できる。あと、先にあげた書籍は問題提起で止まっているところが、こちらは解決策まで提示しようとしているところが大きく違う。いずれにしても、これまで言説や常識みたいな感じで、私自身がある意味偏見絡みで見ていたZ世代という塊への見方を大きく変えてくれたことは確かである。ひさびさに目から鱗的な知見が得られた気がする。
この手の書籍は嫌な人にとっては嫌なのだろうなと思いつつ、なんとなくお得な一冊に出会った感じ。

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2024年09月29日

Posted by ブクログ

モバイルプランナーって、初めて知りました。このモバイルプランナーについての記述が多すぎる気もしましたが、それを差し引いても面白い本でした!
大学のテーマパーク化とか、座ってるだけで良いと思ってしまう態度とか、◯◯ガチャとか。「よくぞ言ってくれました!」とスカッとする内容でした。
情報は正確でしっかりしているけど、会話的な語り口(ときどき関西弁も)で、読みやすいです。

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2024年09月12日

Posted by ブクログ

めっちゃ面白かった。
関西弁で話し言葉で書かれていて、すごく読みやすかった。

筆者の東大教授は、まだ30代半ばやのにすごいオジサン感出てる感じ
(推し活の良さが分かってはらへんと思う、なんか推し活ヘイトしてる感があった)も
あったけど、
若者の気持ちをすごい分かってくれてるし、分かろうとしてくれてる感が伝わって、
きっと熱くて面倒見が良くて、人間的な方なのかなと感じた。

世代間の価値観のズレって、いつの時代も否めないけど、
どの世代の人も人間には変わりなくて、
感度が高い若者から順番に変化していって、
最終的には社会全体に浸透していくから、
今の若者を見ると社会が分かるという考え方が面白いと思った。

そう考えると、今は大学自体がテーマパーク化してて、生徒が快適に過ごせるようになっているのが
今度は社会でも同じようなことが起こってしまう可能性も確かにあるやろなと感じた。

企業はハラスメントとかアンガーマネジメントでとにかく社員が快適に過ごせるように、
お局にならないようにしてて
若者も配属ガチャとか上司の指導の仕方とか他責にしたりすることもあるけど、

これが社会全体に広がって、とにかく快適に快適にっていう思考になると、仕事の本質を見失って
日本はほんまに世界から置いていかれるやろなと思った。

あと、日本の若者は成長したい欲があって、
でも今の会社で成長できてるか分からない、不安感が強い人が多いのも納得だった。
今20代後半の私も少し前までそんな感じだった。

筆者としては、不安で悩まなくていいと、
就業でいうと、会社の役に立てるようになるまで平均10年だから、
入社してすぐとか、3年とかで分かるわけがないから、
もっと自分に余裕を持って、希望を持って、とりあえず続けていったらいいという考えで、筆者の広い背中が見える感じだった。

私個人の考えとしては、転職のことだけでいうと、
不安に思うんやったら転職した方がいいと感じた。
人生は一度きりで、20代のこの瞬間ももう戻ってくることはないから、
その期間考えることを放棄して、10年も浪費してしまうのはもったいないと思う。

本の中の例として、不動産の営業に入社した新卒の子が、入社後数ヶ月で転職を迷っていたが、
不動産の営業は数ある職種の中でもわりとハードめやと思うし、
職種は山ほどあるんやから、自分が興味のあること、もしくは、やりたくないことを
省いて残ったものに新しく挑戦したらいいのかなと思った。
社会人経験を少しした今の状態の自分で、今後10年くらい経過観察してみたい企業を探してみたらいいと思う。

ただ、その場合タイミングと決断は重要で、
数ヶ月での転職って企業からしたら忍耐力無いと判断されかねないし、
そう判断される可能性のリスクよりも、なお本当に他のところがいいのか、
これに挑戦したいっていうものがあるのか、
自問自答は絶対にしないといけないと思う。

でもこれが日本じゃなくて一個前に読んだ本のデンマークやったら、
転職回数多い方が柔軟性がある評価になるかもやのに、
日本は本当にまだまだ頭が硬いというか、
ステレオタイプな人間の集まりな感じがする。(私は典型的なステレオタイプな人間)

ガクチカもこんなん仕事とどう関係あるんって学生だって思ってると思う。
でも面接で聞かれるんやからなんか作らなしゃーない。
企業の人事も、そういう風に聞いて評価するのが定番やからなのか、学生にそこまで期待してないのか、ガクチカばっかり聞く。

なんかもっと全体的に柔らかく、受容の精神な社会になったらいいのになーとすっごい漠然と思った。

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2024年09月07日

Posted by ブクログ

2025.10

求めていた類の話ではなかったけど
ふむふむと読んだ。

余裕は大事。
大丈夫、結局どうにかなるのよ。

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2025年10月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

砕けた書きぶりで、自身の少し片寄ったZ世代感が述べられており、ニヤリと共感してしまう。章ごとの流れもとても筋道たっていて理解しやすく、最後までおもしろく読んでしまった。
『自分を否定するものは全てアンチ』
怒られなれていない世代が陥る思考に、5歳の息子の教育方針を考えさせられた。

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2025年08月31日

Posted by ブクログ

オーディブルにて。
私と同世代のゆとり世代が著者なだけあって親近感のわく内容。フランクな書き方や大学講師ならではのZ世代の生態観察もとても面白い。
ニーチェの「深淵を覗く時、深淵もまたこちらを覗いているのだ」を引き合いに出し、若者は社会を映す鏡だという意見に納得した。近頃の若者は…と嘆く前に、その背景を考え、自分を顧みたい。

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2025年08月14日

Posted by ブクログ

仕事柄、本書に出てくるような、まさに大学生、Z世代と関わることが多いこともあり、非常に面白く読むことができた。
「イマドキの若者は何考えてるんだろう」という疑問に対して、かなり綿密な質的調査によって答えられているように感じる。

人生に、仕事に、日々の物事に…、自分なりに余裕を持って「楽しみ/楽しさ」を見つけられるようになるために知識を身につけ、学ぶ必要があるのだと思った。
生き方や考え方が多様化して答えの見つかりにくい現代においては、"自分なりの"というのがかなりポイントになると思う。
ある意味で、Z世代はそれができていないか、そういう成長の最中にいるからこそ、友達の顔をすぐ窺ったり、どこか他人事のようになってしまったりするのだと思う。

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2025年08月05日

Posted by ブクログ

「まったく、近頃の若者は!」と嘆くあなたも「Z世代化」している!?ゆとり世代の東大講師がコミカルに語る衝撃の若者論!
最近久しぶりに部下を指導することになった。入れ替わり立ち代わり違う人を指導するのだが、あまりに会話が噛み合わず、思考回路も理解できない。しばらく接しない間に私は老害と化したのか!?と衝撃を受けて、書店で思わずタイトル買いした(笑)結果、すべてのことが解決したわけではないものの、だいぶ相手側の考えやそうなってしまった原因についても理解できて随分すっきりした。言われてみれば今は怒らないのが良いこととされているし、我々大人にも同じような側面があるからこういう若者が育ってきちゃうんだ。社会の仕組みとして変えていかないと、同じようなサイクルになると。一人での改善は難しいけれど、どう接したらいいか、のヒントにはなったし、筆者の言いたいことはよく分かった。読みやすい良書だった。

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2025年08月02日

Posted by ブクログ

不安に煽られ行動や生き方を導かれてしまう。Z世代だけの問題じゃない。SNSや広告、友達との違いなど不安に煽られる世界に育ったんだろう。

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2025年08月01日

Posted by ブクログ

世代論はいつの時代も語られ、誰しもが自分の世代を中心に物事を見る。それは必然でもあるが、お客様は、気がつけば若い世代に移っていくし、企業の永続性を考えると、下の世代に合わせていく必要はある。

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2025年04月03日

Posted by ブクログ

 ユーモラスな語り口で、今どきの若者の傾向と実態を、彼らの実際の言葉と行動を紹介しながら分かりやすく解説しており、とても興味深く読めた。若者理解という観点のみならず、若者の姿は我々が生きる社会の実相を映す鏡であるという指摘にも深く納得した。

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2025年03月29日

Posted by ブクログ

この本は、自分がどの世代にいるかによって、
読み方、感じ方は違うと思うが、
Z世代のSNSや、不安ビジネスと若者の構造
を知ることができ、とても参考なった。

ビジネスや消費のターゲットになっている
Z世代。経験や知識の浅い若者に、不安を煽れば、ビジネスのチャンスが生まれる。

働き方改革、パワハラ防止、残業時間削減
育児、有給所得など、法律の整備によって、
昔よりも、労働環境は改善されている。
だが、若者が、抱えている不安や焦り、
疲れは減らないし、若者を指導する上司も、
アンガーマネジメントの普及や、若者の離職を防ぐため、下手に注意したり、怒ることも出来ず、気を遣い、誰もがストレスフルな社会。

だが、その社会の構図を作ったのも、
社会が子供に、いい子、ふつうを求め、
不安を煽ってきた結果、若者だけでなく
社会全体で余裕がなくなってきているのでは
ないかと分析。

4月から、高校や大学に入学する学生。
新社会人になる若者。新らしい環境に、
期待と不安がいれまじっていると思う。
大人も心に余裕を持って、見守っていきたい。

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2025年03月20日

Posted by ブクログ

「世の中全体がZ世代化している」という内容なのかと予想して読んでみたけれど、そういう話でもないみたい。Z世代の若者について、彼らの目線にまで降りてしっかり分析している感じで、なるほどなあと思うことひとしきり(特に前半が面白い)。後半に関連するモバイルプランナーってあまりピンとこなくて。全体的に文章が堅苦しくなくてとても読みやすかった。

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2025年01月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

zenlyなどにより互いの情報を監視することで、自身の行動を最適化するなど、監視されることに対する抵抗がかなり薄い可能性が今の若い世代にはある。

小中高大と何もせず、手も挙げず、ノートも取らず、ただ黙って座っていることが「いい子」とされる学校環境と異なり、職場ではそれは成立しない。

学校は不安なものを排除し、楽しさだけで満たされたテーマパーク化している。

明確な美醜の基準がない中で、「ブサイク」といえば「ブサイク」にしてしまえる。この他にも、「ガクチカ」や「インターン」「コミュ力」など、意味内容が伴わない唯の言葉が跋扈している。

鳥羽和久『君は君の人生の主役になれ』「ガチャ概念の最たる誤りは、当たりがどこかにあると錯覚している点」とあるように、「ガチャ」と他責思考の人々に当たりなど、永遠に回ってこない。

Z世代はただのアーリーアダプターで、人類すべての社会構造を写し取った存在である。自身も同じであるということを認識し、どう共存するかを考えることが重要である。

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2025年01月02日

Posted by ブクログ

Z世代を理解したいというよりは、Z世代が社会にもたらす影響を知りたくて手に取る。特に気になったのが「お客様になっていく若者たち」という副題である。著者は東京大学講師であり、1989年生まれなのでいわゆるY世代なのであろう。大学教員であるため、Z世代である学生とは日常的に接する機会が多くある立場でもあり、そうした経験を通じて得られたエピソードが議論に説得力を添えている。

件の副題については経営学を専門とする著者らしい2つの視点がある。1つは、Z世代の若者達が企業のマーケティングのターゲットとして「お客様」になっているという視点である。ネットで情報を取るのが当たり前であるこの世代は、一方で人生経験も少なく「不安」も多い。そうした不安を使用する企業というか悪質な業者に金づるとしてカモにされてしまっているという実態を書かれている。例えば、「自分の仲間が内定取っていたら、どう感じますか?」と不安を煽って登録者を募る新卒採用業界である。

また、若者がそうした業者の片棒を担がされる様なことも多くあり、例えばモバイルプランナーという仕事である。これは携帯電話の乗り換えを勧誘する仕事で、Googleで検索すると2クリックでその仕事に申し込みが出来るくらいに簡単にその世界に足を踏み入れられるものである。その仕事は完全歩合性であり、多くは学生たちの友達の携帯乗り換えをさせる事で成り立っているダークな側面がある業界でもある。正しくお客様になっていく若者という事である。

もう一つの視点であるが、実際に自分たちの事を「お客様」であるかのような振る舞いについても洞察されている。大学の講義を受ける学生は、その講義が簡単に単位が取れるかどうかが重要であり、レポートや出席が問われない授業はタイパが良いとされる。金を払っているのは学生側(実際は親の場合が多いはずだが)であり、顧客であるという意識がそうさせているのではないかという。ただこの視点についても鋭い指摘がなされており、顧客であったとしても本来学生が大学から得られる便益は学びであり成長であるという視点が欠落しているという事だ。タイパとはタムパフォーマンスという意味であるが、コストの対価となるパフォーマンスはどこにいったのだと。コスパ志向の罠は、コストを惜しむあまりその対価も失っているということだ。パフォーマンスとは経営者の視点であり、この点について著者は若者が経営者化しているという。しかし、その深みは浅はかでもある。

本書で知った言葉に「ガクチカ」がある。学生時代に力を入れたことという意味らしいが、学生であれば学業がガクチカであるべきなのに、学生はアルバイトやサークル活動、更にインターンなどの学業とは別の事を語りたいというニーズがあるという。但しこれは、採用企業から見ればやはり本末転倒にしか見えないはず。

以前、SNSを中心に流行した言葉に「親ガチャ」というのがある。他にも配属ガチャ、上司ガチャなどもあるという。この考え方は極めて浅い運命決定論のようなものである。このガチャ概念の特徴は、確率が固定されていて自分では変動させる余地がないという徹底的な他責思考でもあるという。

以下、Z世代の特徴
- 同世代の事を何か聞かれても、「別に本人が良ければいいのではないか」などと自分だったらどうするか、といった自分の意見を引っ込めたり、自分とは別に語る傾向がある
- 物語を共有して共有目的とすることを宗教的と感じる。Z世代は熱くならない。
- アドバイスを説教と感じる

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2024年12月21日

Posted by ブクログ

Z世代化の社会を作ったのは、Z世代だけでは無い。
過去から作られた社会の中で、不満→不安が高まり、主体性が薄く、平均より少し上、無理を犯さない。
このようなZ世代が社会の中でお客様扱いを受ける場面が増えて、それを見る上の世代も怒らず、距離を取りZ世代の社会に貢献している。

これからの社会は、このようなサイクルが回る中で、逆の意思、立場、意見、主張を持てる個人の存在が何よりも重要。
他人と違いを作る、産む、個性を形成する。
その中で相手を受け入れつつ、社会での動きを捉えて示唆する人が余裕を持ち、成長していくだろう。

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2024年09月16日

Posted by ブクログ

社会のイマの話。
むき出しの不安ビジネス。ラベリングすることによる無意味化。
興味のある話題ばかりだった。
若者(というよりこれからの社会)に対しての洞察が面白い。
けして若者批判の本ではない。

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2024年09月13日

Posted by ブクログ

1989年生まれの若手大学教員から見た若者論。「いまどきの若者は!」なのだが、意外におもしろいというか、まあ中堅校でも上位校でもそういう感じですか、みたいな。

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2024年09月12日

Posted by ブクログ

結論に至るまでのエピソードが長くて若干苦痛だったが最後はスッキリした。
「Z世代は怒った人を見たことがないのではないか」 これは衝撃だった。けどそんな社会には大人がしたのだ。怒りを排除した教育は車の一切通らない道でマナーを学ぶようなもの。若者はとてもむごい教育、残酷なことをされているのかもしれない。
理由を探してはいけない、欠落を自覚しよう、統合性を大事に、したたかに余裕をもって。
満点人間思考を捨てる。人は元来頭は悪いし決して完璧じゃない、余裕をもって生きたらいい、ビジョンを持つより一手を打て。その通りだと思いました。
頭が悪いなりに愚直さをもって賢くなる努力をしたい。

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2025年10月28日

Posted by ブクログ

Z世代とは何者かを紐解く一つの現代(2025)に生きる若者への理解と解釈と視点を提案する内容である。
本著において、Z世代について中立的な視点と著者自身が学生と関わりながら得られた知見と経験や社会構造について言及する。Z世代は特別な存在ではなく社会が映す鏡だとしている。私も同意する。

例えば、今までの若者の特徴を時系列で示すならば、

団塊の世代時の若者の特徴は集団主義、勤勉、組織への忠誠心が高い。マイホームやマイカーなど「所有」に強い憧れ。消費意欲も旺盛で、社会・政治への参加意識も高めである。
団塊ジュニア世代時の若者の特徴は人口が多く競争が激しい。正社員になりにくくキャリア形成で苦労。合理的・自立志向で、IT/デジタルの普及と共に育ち情報リテラシーが高い。消費は堅実・コスパ重視。ダブルケア(親の介護と子育て)問題など新たな社会課題にも直面している。
バブル世代時の若者の特徴は企業への忠誠度が高く、働く意欲と消費意欲が非常に高い。男女の壁も残る。高級品を買い、プライベートより仕事優先。
ゆとり世代時の若者の特徴は多様性・個性重視、競争や昇進への執着が低い。ワークライフバランス志向、叱られること・競争に弱いと言われる一方、合理性やITリテラシーが高く、多様性と協調性を重視する傾向。
Z世代時の若者の特徴は、生まれた時からデジタル環境(デジタルネイティブ)、多様性やインクルージョン重視。社会・環境課題(サステナビリティ)への高い関心を持つ。所有への執着よりもコスパや利便性を優先。情報収集・発信力が高く、現実的で保守的な金銭感覚。
α世代時の若者の特徴は、さらに徹底したデジタルネイティブ。SDGs・多様性・環境問題を当たり前の価値観として持つ。自己肯定感が高く、多文化・多様性を受け入れる傾向が強い。タイムパフォーマンス重視、プログラミングや英語などグローバルスキルが求められている。

それぞれの世代において社会構造が映す鏡とされている。私たちも例外ではなく社会の影響を受けている。現代(2025)は第四次産業革命中であり、AIや技術、テクノロジーが指数関数的に上昇している。次のα世代だろうがその次の世代だろうが、社会構造の変化や産業などの環境からの影響も多分にあるが、やはり根本的なところは家庭環境や教育がそういう社会構造の変革に応じた教育をした結果その子どもがそういう風に育ったということであろう。
時代を遡るといい、古今東西世界中で大昔だろうが今だろうが若者も老人も互いに愚痴をこぼしている。それは世代間のギャップでもあるが、それ自体は大した問題すらでもなく互いに歩み寄る姿勢が大切だということを若い世代も年配の世代も意識していく必要があるだろう。本著でも主張されているが時代や世代というカテゴリーで単純に分けるだけではなく、その時代を互いにどう共に生き進むことができるかという視点と発想と期待が込められた良書であるといえよう。

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2025年10月04日

Posted by ブクログ

エピグラフにウィトゲンシュタインとかを引用するセンスはそれこそ唯言的──ただのカッコつけというか、あまり本文に関係ないしスベってる気はするけれども、内容自体は興味深く読めた。Z世代当人としても、おおむね納得できる分析にはなっていると思う。
強いていえば、この手の本を読んだ時に「大学教師が生徒を分析する」ことの違和感は残り続ける。例えばそれは知識人(主に男性)が援助交際をする女性(売春)を「分析対象」にして色々語るくせに、買春(それを買う男)については語ろうとしないのに近いというか。授業中に私語をする学生を注意したら学生がこういう反応をした、というエピソードから、「Z世代にとって友人とは〜」と他者論につなげるくだりがあるけど、まず見直すべきは私語が出てしまうようなあなたの授業なのではないか、などと生意気な私はどうしても思ってしまう。
それに、本書で圧倒的に語られていないのは、いわゆる「友達のいない大学生」の存在だ。Z世代である私の実感として、そもそも就活ビジネスに参加していない大学生もごまんといる。でも、そんな人はビジネス的には「価値がない」んだろうから本のネタにもならない。カモにもならない。だから書かれない。存在していないことと同義だ。
講義に来る学生は友達といる──本当にそうか?そこには友達のいない、1人の学生もいたのではないか?しかしそれを書いたって「意味が無い」。だからおそらく意図的に目をつぶり、見ないフリをした。無意識だと思うし、「それは話が別だ」と思われるかもしれないが、だからこそ滲み出ているバイアスがあるように思う。
つまり私が言いたいのは、本文の書かれ方が倫理的にうーん、なものであるということ。まあこんな意見は揚げ足取りもいい所で、本の内容にはなんの問題もない。論点のすり替えも甚だしい。私の意見は本文通り「アンチ」的な意見として受け取られるだろう。し、それでいい。
ただ、私自身が本書を読んでいてどうしようもなくそう思ってしまったので、書き残しておこうとは思う。なにはともあれ、この本を読まなければ以上のことを考えるきっかけもなかったというのは事実だから。

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2025年08月16日

Posted by ブクログ

Z世代の不可解な言動は突然出てきたものではなく大人のふるまいを見て学習した結果だった。言葉を弄して責任を取らない政治家を見てたら然もありなん。臆病で周りを見て少し上を目指すというリアルな姿を知ることができた。

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2025年06月29日

Posted by ブクログ

「Z世代」という特別な若者層が生まれたのではなく、社会全体がZ世代化してきた――。
本書は、そんな現代社会の変化をユーモラスに、かつ鋭く描いている。
若者に対する「近頃の若者は...」という不満は昔から変わらないが、今はむしろ大人も含め、誰もが「お客様化」し、傷つきやすくなっている。
先行きの見えない社会で、私たちはますます“Z世代的”に生きるしかなくなっているのかもしれない、と考えさせられた。

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2025年04月26日

Posted by ブクログ

独身未婚中年男性の自分が読んでみました。
なかなか面白かったです。

自分は「一般的な」20代の若者と接点はほとんどなく、接点を持つつもりも基本的にはないので、この本に出てくるような「一般的な」若者とはかなり距離を持って接すればいいかと思っているので、普段彼ら彼女らの考え方がわからない、と苦労することはあまりありません。(そうした若者に興味がないだけ?)
逆に、この本に出てこないような、ある意味ちょっと特殊な(例えばハイスペな)若者がいた場合にどう接していいかがわからず、その指南書みたいなものがあったらいいなと思いました。たまに接点があり、ちょっと苦労しています。

自分がハイスペでないから、ただ単に嫉妬しているだけかもしれませんが(汗)。

今の若者に不安を感じなくもないですし、少子化など問題は山積ですが、まあ日本も長らく続いてきているようですし、今のままで沈没するようなら日本もそんな程度の国ということで、それはそれでいいのでは?と普段から思っています。逆に、今の若者が中年になる20年後ぐらいに日本がまだ存在していれば、それはそれで捨てたことではないのかも、と思いました。

自分は独身未婚中年男性(ゲイ寄りのアロマンティックでアセクシャルではない)なので生きづらさは相変わらずあるものの、それでも多様性が叫ばれるようになって、昭和よりは生きやすいと思っています。ただその価値観も続かない可能性がある、というのをこの本の先生の言葉で気づかされ、ハッとしました。もし、特に精神的にマッチョな男らしさを求める風潮が復活したら自分は生きて行けなさそうな気がするので、なんとか自分の目が黒いうちは現在の風潮が続いて逃げ切りたいと思っています。

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2024年12月21日

Posted by ブクログ

丸善で平積みされてたのが目に留まり、読んでみた。

Z世代に関係した本は今年に入ってからも読んでいたが、本書はそれらも参考にしつつ社会全体がZ世代化してきてるというのが、ちょっと他と違う視点と感じた。

世代という括りはあれど、それを生み出してるのは周りの人(大人達)であるというのは、一理あると思うし、余裕が周りに無くなってるから即戦力を求め、Z世代も即戦力にならないと不安に駆られるという構図は、あまりよろしくない兆候と思う。不安感の払拭が難しいというのもその通りだけど、対応するの難しいよな。

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2024年09月06日

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