あらすじ
学校法人に対する国有地払い下げに関して近畿財務局職員の収賄疑惑が! 大阪地検特捜部が捜査を始めるが、今度は担当検事による文書改竄疑惑が浮上する。相次ぐ不祥事に最高検から調査チームが派遣され、一級検事の不破俊太郎も特捜部の調べに加わることに――。どんな圧力にも表情を変えぬ〈能面検事〉が、事務官の総領美晴とともに難事件の真相を追う!
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Posted by ブクログ
岸和田の国有地を小学校建設のため払い下げした際に、購入価格が安く買い叩かれたことが問題になった事件。
奥に政界の大物の存在を感じる案件で、過去に書類改竄で権威失墜した大阪地検にとっては未曾有のチャンス。
しかしそんな中、特捜部のホープ高峰検事の書類改竄の疑惑が浮上する。
こらに対し東京より最高検の調査班が大阪に派遣された。
不破検事は二度の任意召集に応じなかったが、榊次席検事を通した検事正命令によりこの調査班に組み込まれ、事件に巻き込まれていく。
調査チームに入った不破検事は、チームの洗礼を受けながら、岬の勧めで事情聴取を行っていく。高峰検事→安田調整官→荻山理事長。それぞれの聴取を経て、不破は何かを掴んだ風だったが美晴には真意は掴めない。
美晴は不破検事の指示で同じ大学出身だった高峰検事と安田調整官の関係を探る。二人の供述では関係性はないと言う。電話で関係者を探すが世間を騒がす二人に関わりたくない者たちの非難を聞くばかりだ。その中に鈴木一人という二人の関係を知る者が現れた。不破と美晴は彼に会いに神戸に向かう。鈴木曰く、二人は3つ違いだが友人のような関係性だったと言う。
その足で不破たちは学校建設の候補地に向かう。安田がお勧めした場所よりも、やめておいた方がいいと言った土地の方が学校を建てるには良い立地だった。そしてそこは二人が大学時代過ごした場所の近く。供述に綻びが出てきた。
地検にて、折伏が大阪地検の不祥事調査だけでなく、独自に贈収賄事件を追い、手柄を狙っている事が発覚。
捜査を進めるうちに事件の内容が明らかに。
高峰と安田は大学時代に定食屋「一膳」の常連として顔見知りだった。お互い小春に好意を抱いており、ならず者の田久保を警戒していたが、半グレの田久保は大学の応援団も手を焼いており、執拗に小春を狙う。小春のボディーガードをしていた二人だったが、田久保は病院跡に小春を連れ込み襲い刺し殺してしまう。同時に床材で頭を割られ死亡する。高峰と安田が駆けつけた時には小春は虫の息。妹を託して息を引き取る。二人は悪と知りつつ死体を病院の地下に隠し共犯となった。
しかしその話には奥があり、妹の実花が田久保の頭を割っていたのだった。実花は裏口から侵入し逃げたため、二人とは会わなかったのだ。
お互い真相を知らないまま時が過ぎた。
全て解明された後、高峰は証拠改竄、安田は背任の罪に問われる。実花は少年法や状況証拠の弱さから不起訴。岬曰く、起訴できたがしなかったのは不破の優しさだと言う。
汚職事件自体は終盤あっさり解決。荻山が兵馬に贈収賄していた事が、特捜班の別動隊の活躍で発覚。兵馬より上に影響はなかった。
安田も高峰も悪事を働きはしたが、贈収賄自体には関与していなかった。むしろ小春の事件から捜査の目を撹乱するために贈収賄を匂わせていたのだった。
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前回が個人の殺人事件を軸にした話だったのに対して今回は政界の汚職事件。規模が大きい分、頭の足りていない自分には難しく、感情移入しづらい印象。
と思ったら高峰検事と安田調整官の大学時代の過去が引き起こした隠蔽事件だった。巨悪はピンとこないが個人的な人情が錯綜した人間ドラマはとても面白かった。巨悪から個人にフォーカスしていく様は汚職事件を追っていくだけより好みだった。
大学時代の高峰と不破の青春エピソードはいい話だったな。二人の生き様に拒否感はないし、そこまで裁かれないといけないことなのかなぁ、と思った。
1作目もそうだったがラストがあっさりしている。もうちょっとエピローグが長くてもいいのにな、と思った。
風刺的な表現が出てくるのが印象的だった。
・酒鬼薔薇聖斗
・森友学園
これが事実だとすると高峰たちは自分より少しだけ年上なんだよなぁと思うと妙な親近感が沸いた。
Posted by ブクログ
不破検事シリーズ第二作目の今作。
私立小学校建設に伴う国有地払い下げに関する収賄疑惑が発覚する。捜査の過程で新たに文書改竄の疑惑も発覚。
情を持たず能面が本来の姿と思われていた不破検事の新たな一面を知ることができてどこか一安心しました。
面白い作品でした!
Posted by ブクログ
国有地の払い下げに関する収賄事件に挑む、不破と美晴。
ストーリー展開としてはオーソドックスに事件関係者の隠された繋がりを見つけ、表面化されていない事件が炙り出される。そこから軽いどんでん返しがあるところがこの作者らしい展開。不破のスタンスは全くブレてないが、その中に彼の人間性も垣間見れる結末は良かったと思う。
ネタバレになってしまうが、小春の遺体を彼女の家族が心配するのが分かっていてなぜ遺棄したのか疑問であったが、真相を知るとその点も納得いくものであった。
Posted by ブクログ
シリーズ第2弾
今回は国有地払下げとその疑惑に関する文書の改竄というモリカケ問題を思わせる事案
不破が能面なだけに、事務官の美晴を狂言回しのようにするしかないのだろうが、ちょっとうるさくも感じてしまう
事案の割に、元となる真相が微妙
20年以上、そんなに広大な土地が開発もされずに野放しになるのだろうか?
彼らは、家族や社会的地位よりも守りたかったのか?
白骨死体はなぜ衣服も所持品もなかったのか?
彼女はいつかのためにブラシを残しておいたのか?