あらすじ
本書は、著者の第4子で重度の知的障害者である星子さんとの暮らしや、津久井やまゆり園事件の犯人「植松青年」との手紙のやりとり、また1977年から通った水俣の地と水俣病などについて、10代の3人の若者に語った記録である。能力主義と優生思想、人とのかかわり、個・自立・責任、差別、脳死、人の生死といのち……などをめぐって話しあい、いのちに価値づけはできるのか、「共に生きる」とはどういうことかを考える。
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Posted by ブクログ
やまゆり園の事件は衝撃だった。
人として、彼の主張する理屈を認めてはいけない、だけど、彼の主張の背景が理解できるように思う自分も、いる、ということを、残念ながら、否定はできない。
なんとも後味が悪く、どう整理すればよいか、わからない。
難しいし、答えはないけど、考え続ける必要を感じるテーマとして、この本を手に取りました。
結論、やっぱり、難しいし、答えはない。(知ってた)
この企画、素晴らしいと思う。
それでも、言いたい。
高校生3人相手の座談会は、企画として無難で受け入れやすそう。
でも、ほんとに切り込むべきは、86歳の最首さん(水俣病実地調査座長を経験し、意見や立場が異なる人と言葉で応対することに長けていると思われる)に対して、ズバリホンネで切実な言葉を交わせるだけの社会的経験を積んだ30代〜50代(いわゆるバリバリ現役世代)ではないかと思う。
高校生たちの意見や思いに価値がない、ということではけっしてなくて。
ただ、私としては、能力主義とされるこの社会で、自分はもちろん家族をも守る必要に迫られている人たちが、最首さんの話を聞いて、どんな言葉を紡ぎ、時には言葉を「焚く」のか、そんな対話を読みたかった、かも。
Posted by ブクログ
最首悟さんと3人の中高生の対談4回分。この中高生たちがまた立派な子らで。どういう繋がりでセッティングされたのかなと思っちゃう。障害福祉と言われる仕事をしていたけど能力主義とか考えたこともなかったな。いるのが当たり前だったし、そのおかげでお給料もらっていたし。水俣病についても興味深かった。もともとの漁師への差別があったというのは知らなかったし、公害認定されるまで国や企業がそんなにひどいことをしていたとは。まぁまだ訴訟というか続いているし、最近もニュースになってたのに、ほんと小中学生以降、全然知ろうともしてなかった。本当に勉強すべきことはたくさんあるのだ。