【感想・ネタバレ】堤康次郎 西武グループと20世紀日本の開発事業のレビュー

あらすじ

電子版は本文中の写真を多数カラー写真に差し替えて掲載。
早稲田大学在学中に起業、卒業するや別荘地や住宅地を精力的に開発した堤康次郎。その軌跡は、公務員・会社員などの新中間層(サラリーマン)の誕生や都市人口の増大と重なる。軽井沢や箱根では別荘地や自動車道を、東京では目白文化村や大泉・国立などの学園都市を開発した。さらに私鉄の経営権を握り、百貨店や化学工業も含めた西武コンツェルンを一代で築くが、事業の本分はまぎれもなく「土地」にあった。厖大な資料から生涯を読み解く。

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Posted by ブクログ

西武グループ創始者の評伝。西武沿線居住者として楽しく読むことができた。
滋賀県出身、箱根、軽井沢などリゾート地と大泉、小平、国立など学園都市の開発。その他東京の都市の歴史にこの方の存在は大きかった。
その後の堤家の凋落こそあるが、やはり立志伝中の人物であったと思う。

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2024年08月12日

Posted by ブクログ

堤康次郎の人となりの印象はどうしても「父の肖像」を始めとした、辻井喬の著作群での描かれ方に大きな影響を受ける。

家族としての視点に加え、後継した経営者としての分析(しかもどちらも卓越した経営能力を持ち)、その上辻井の文才まで含めると著作群以上の評伝は生まれるべくもないとは思うのだが、そこで本書である。

本書は著者が「はじめに」で断っている通り、(経営に関わる閨閥形成を除いた)家族関係には言及していない。終章で後継者に触れているが、家産と事業の分離とそれぞれの後継という視点は本書の締めくくりに必須だと思う。

論点を本来の実業家としての堤康次郎に絞り込む事により論点となるのは、結局は「土地の堤」、そしてそこから派生して交通網を確立させた鉄道会社社長としての経営の過程となる。土地活用のアイデアと、そのアイデアを実行する為の資金調達、そして運用を経ての拡大再生産、これを終生やりきった堤は現代日本の都市形成の立役者の1人である事は間違いない。

又、本書では土地や鉄道に隠れがちだが、化学や建築等、堅実にグループを支えた事業についても触れており、論点を絞った事による深掘りの結果、実り多い一冊となった。

因みに、衆議院議長にまでなった堤の政治活動にスポットを当てた本を寡聞にて知らないのだが、要は事業や家族関係に比べてつまらない(大した事はやってない)という事なのかな?

三洋堂書店橿原神宮店にて購入。

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2024年06月15日

Posted by ブクログ

今の鉄道網を築いた背景が把握できた。
本音と建前、どこまでが公共性だったんだろう。
次は、息子たちのことも勉強したい。

東京の鉄道史がまとまっている本を読みたい。

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2024年04月20日

Posted by ブクログ

西部グループを一代で築いた堤康次郎の、実業家としての側面に焦点を充てた伝記。

堤氏は、滋賀県出身かつ滋賀県の発展にも貢献した人なので、『成瀬は天下を取りに行く』などの成瀬本の舞台の基盤を作った人だとも言えると思う。その意味で成瀬本ファンは本書の一読をオススメする(かなりマニアックな読み方)。

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2024年03月28日

Posted by ブクログ

飾りのない文章ゆえ読みやすさは人によって分かれるところだろう。
ただ堤康次郎という人を知るには十分な内容。
大正時代から昭和期へ、また戦争前後にかけての時台(人口動態、ライフスタイル)の変わり目を捉えて、感謝と奉仕の精神から事業を発展させる目は、時代を築いた事業家ならではだと感じられた。
首都圏、西武沿線に住む人には、駅や施設の開発経緯がわかるためとても興味深い内容となっている。

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2024年09月10日

Posted by ブクログ

堤康次郎の生い立ちから、事業の立ち上げ、その拡大と現在の西武グループの構成までがよくまとまっている。
利益に向かって貪欲に突き進んでいたのは間違いないが、堤康次郎にも彼なりのこの国や市民生活をどのようにしていくかという理想があり、それに突き進んでいたように感じた。
それは形を変えながらもセゾン文化、プリンスホテルというブランドにも引き継がれていたともいえないだろうか。
それにしても、この世代の政治、経済での大物といわれている人物のエネルギーはどこから来ているのか。その力は単純に肯定出来るものではないし、それが今の時代にもマッチするとは思えないが、今の日本に足りないものなのかもしれない。

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2025年01月14日

Posted by ブクログ

早稲田大学在学中に起業、卒業するや別荘地や住宅地を精力的に開発した堤康次郎。軽井沢や箱根では別荘地や自動車道を、東京では目白文化村や大泉、国立など学園都市を開発。西武コンツェルンを一代で築くが、事業の本分はまぎれもなく「土地」にあった。

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2024年08月30日

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