あらすじ
仕事に行きづまった編集者の津山は、本当に作りたい本を作るため、かつて自分が救われた小説の著者、涼元マサミに新作を依頼する。
そうして生まれた作品が、娘と縁が切れそうだった涼元から、余命宣告された装丁家、心に傷を抱えた書店員、そして自分の時間が止まっていた読者まで、みんなの人生を動かす。
本を愛するすべての人に!
本が生まれて、読者へとつながる「本に関わった五人の奇跡」を描く、感動の物語。
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Posted by ブクログ
ブックデザイナーの青山哲也さんはこの業界では
大御所 と呼ばれる存在です。
仕事は万事順調でしたが65歳を迎えて余生は
大好きな景色の見える別荘で妻と二人で穏やかに
過ごしたいなぁと考えていました。
ある時身体の不調を感じて病院にいき精密検査を
うけます。結果、肺癌と全身への転移があり
余命半年から一年との医師の見解。
てっちゃん、しーちゃんと呼び合う仲良し夫婦の
お互いを思い遣る気持ちが凄く切なくて切なくて
涙がとまりませんでした。
小説家 涼元マサミさんは離婚して
元妻と暮らしている
娘の真衣さんとの月に一度の時間は何よりも大切です。
家族の為にと思い書き続けたミステリー小説は全て
ヒットしませんでした。
ある時、娘さんとのデートでマサミさんが言った
パパさ、いつか真衣を主人公にした
物語を書いてあげるよ
最高に楽しくて幸せなお話にしてあげるからね
それを聞いたの真衣さんの瞳を輝かた
純度百パーセントの笑顔がマサミさんの
心に響きます。
そんな時、元妻から再婚するので真衣の幸せの為に
しばらく合わないで欲しいといわれてしまいます。
マサミさんは真衣さんの為、現在半同棲している綾子さんの為、そして自身の作家としてのこれからの事を
思い悩んでいました。
編集者 津山奈緒さんは入社四年目ですが
まだヒット作は出せないでいました。
社内では人事異動の話しも出ています。
どうせ編集から外されるなら、最後くらい
本当に自分が作りたい本を作ってやろうと思い
自身が凄く救われた大好きな作家さんに会社の
先輩方の反対を押し切って執筆依頼をします。
その大好きな作家さんが
涼元マサミ先生です!
奈緒さんは精一杯真っ直ぐな気持ちで涼元先生に執筆依頼を受けてもらおうと頑張りますが、、、。
涼元先生も奈緒さんの心根が好きで、充分に理解は
しているんですが複雑な気持ちが交差して
気持ちを直ぐには決められないでいました。
それでも 涼元先生が奈緒さんに言った
いや、なんか、昼間は、あれこれ言っちゃったけど
やっぱ、書いてもいいかなって
奈緒さんの泣き笑いの時
私も凄く凄く良かったなぁと涙が溢れて奈緒さんと
同じように嬉しくて嬉しくての優しい時間でした。
奈緒さんはマサミ先生の本の装丁は
青山哲也さんにお願いしたいと思いました。
青山さんも色々ある中で話を聞いた時点では
断ろうと考えていました。
しかし奈緒さんの熱意に押し込まれた感じになって
さよならドグマ
の出だしを読みはじめた数分後諸手を挙げて降参して完全に物語に引き込まれていました。
最後にひとつだけ小説の装丁を引き受けたいんだけど
いいかな?
しーちゃんがその言葉を察して
小説を読んで てっちゃんの気持ちを理解した時
お互いの気持ちが剥き出しになり
剥き出しの二人が真っ直ぐな心根で抱き合った時は
本当に悲しくて辛くて、でも前を向かなきゃで
涙がとまりませんでした。
唐田一成さんはブルートパーズ色の海が見える景色の
美容院を営んでいます。
窓の向こうには水平線広がっていてゆったりと海と空を眺められる最高のお店です!
奥さんが亡くなって十年が経ち
心の中に気になる人が?みたいに自問自答している
心根の優しい人です。
一成さんの息子の唐田健太郎さんは美大生です。
絵がとても上手くて幼い頃から画家になるのが夢でした。
白川心美さんは大学四年生、就職内定が決まらないで
少し焦りもありますが、書店にお客さんとして来る
健太郎さんのSNSをフォローしています。
健太郎さんの絵も大好きで応援していますが、才能が
ないからやめたいとの思いを知り、何とか励ましてあげたいと悩んでいました。
そんな中、さよならドグマを読んで心に響いた心美さんは素敵なPOPを作って健太郎さんに気づいてもらえる様にと頑張ります!ある日女の子が困っていた時に心配した健太郎さんが心美さんに声をかけます。
喫茶店で健太郎さんの斜めの席にいって
気づいて、わたし、ここにいるよ。
のところは微笑ましくてなんだか
少し恥ずかしいような感じになりながらも
二人を見守る時間でした。
沢山の共通点もありましたね!
キーホルダー、やっぱり返さないかも
いいよ
遥か後方で、一番星がチリチリと輝きはじめていた。
この文章が凄く素敵でした!
久しぶりに帰省した健太郎さんと一成さんの関係性も凄く素敵で、私も息子が相談してくれたら
こんなふうに
背中を押してあげたいなぁと思いました。
一成さんの大切な人が奈緒さんのお母さんだった時は
全部が繋がって時間が止まってしまいました。
風鈴がささやく
凛、 凛 。
一成さんの
応援、ガチたのむわ
あはは。オッケー
と健太郎さん。
とても優しい気持ちの思い遣りで
これからの二人を応援する時間でした。
五つの奇跡の全ての人達の幸せを願い
本が紡いだ言葉の力に感謝して
これから私自身に期待して前を向いていく為の
力をもらえる最高の物語でした!
読み終えてずっとこの本の装丁、
この表紙のデザインを
穏やかな優しい気持ちで見ていました。