あらすじ
強いリーダーシップの不在が叫ばれて久しい。それは、目先の議論にばかり惑わされ、リーダーシップの本質を考えることを避けてきたツケに他ならない。では、いまリーダーにとって真に必要な能力とは何か。吉田松陰の歴史的思考法なのか、山口多聞のような危機に積極策をとる胆力なのか、リンカーンのような戦略的思考に基づく大局観なのか……。国家と国民を守るために必要な覚悟を説く、歴史家からの警世。
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Posted by ブクログ
「賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ」とはドイツ帝国初代宰相ビスマルクの言葉。管首相の「奇兵隊内閣」という言葉を選んだセンスを歴史を知らない悲しさだと看破。佐藤一斎の「大臣の職は、大綱を統ぶるのみ」(言志四緑)という言葉が印象に残った。自分を顧みて、やや細部にまで入り込みすぎていないか。自分の職責において「大綱を統ぶる」とは?考えさせられた。
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一番上のリーダーは「戦略」を、各個隊のリーダーは「戦術」を、というイメージを受けた。
とはいえ状況において役割は相対的。
戦争なら「総大将」が「戦略」を考えて、「将軍」が「戦術」だが、それは全員が一同に居る場合で、各戦場においてはその「将軍」が「戦略」を適宜練り、「隊長級」が「戦術」を実行に移す。
とにかく、場によって求められる能力は違う。
その他にも、総合力、胆力、人身掌握力が挙げられている。
この辺りは所謂、「サラリーマン社長」と「プロの社長」の違いにも表れていると感じた。
「社長」という職業は「サラリーマン」と同様の発想では出来ないにも関わらず、年功序列というシステムにより適材適所が満たされない。
少なくとも「違う観点から考えないといけない」という事を知っている、ということが最低条件かなーと。
それにしても、菅直人のぼろくそぶりには笑った。
「奇妙な笑みを浮かべる」とか、文章で読むと面白いが、実際は洒落になってないんやろうな
Posted by ブクログ
「リーダーシップ」とは何か。
という問いを歴史を通じて紐解こうとする一冊。
日本史から紐解いているので
日本史上の偉人と呼ばれる人についても学べる。
リーダーの不在が叫ばれて久しい現在。
真のリーダーとは何か。
真のリーダーシップとは何か。
を考えたい人にはオススメ。
Posted by ブクログ
会社の後輩から借りた本です。
歴史上の政治家・戦略家達のリーダーシップの紹介が出ています。
いろいろな偉人が紹介されており、すべてが興味深いですが、吉田松陰の客観的な分析力を持った上での「前向きに、悲観せず」の姿勢が共感できました。このように振舞いたいと感じました。
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震災後の日本のリーダー、管総理、民主党の対応のダメさについて、日本の世界の歴史を例にして確認。また、リーダーとはどうあるべきかについて、歴史上の人物からひもとく。ちいさな会社のひとつの小さな組織のリーダーとして学ぶべき点も多い。
Posted by ブクログ
やっぱり鳩山、菅のダメさ加減が実感できる。
吉田松陰の行動力、山口多聞の決断力と潔さが際立つ。
この二人の生涯を大河ドラマで観たくなった。
この二人を会社の上司にはまねできないだろう。
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為政者としてのリーダーシップについて、歴史上の偉人のトピックと東日本大震災を契機とした日本の民主党政権を比較しながら説明している。その時代によってケースは異なると思うが、筆者がいうように必要な素質は同じであることが分かる
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文字通りリーダーとは何かを解いた一冊。
歴史の色んな実例を引用して書いてるので、著者の豊富な知識は理解できる反面、全体としてまとまりがなく散漫な印層が。
Posted by ブクログ
著者はリーダーの条件として,総合力(大局観ないし国家観),胆力,人心掌握力をあげる。これは,全くその通りであり,前総理の菅直人,その前の鳩山”友”紀夫が,この3条件のいずれも満たしていなかったのは明らかだと思う。
さて,内容は,歴史上の名将・宰相らの事例を挙げて,「リーダーシップとは何ぞや」ということを論じている。ただ,その事例が多いこと,(僕の勉強不足ですが)焦点が当てられている人物がそこまでメジャーではないこと,結論部分の記載が薄いこと,から本書を理解できる人はなかなかいないのではないでしょうか。
示唆に富むものではありますが,その分,「リーダーシップとは?」という核心部分が見えにくくなっている気がします。
Posted by ブクログ
歴史上の指導者がいかに優れているかを羅列して解説することによってリーダーシップの満たす条件あげている。
塩野七生氏によれば、知力、説得力、肉体上の耐久力、自己制御の能力、持続する意志を上げており、筆者はこれを絞って、①総合力、②胆力、③人心把握力の3つを上げている。
筆者が上げた歴史上のリーダーと比較され、現民主党政権、とりわけ鳩山、管がいかにダメなリーダーであったか、ということが切々と書かれている。
Posted by ブクログ
対象としている人物について私が知らない人が多かったことと文書(文体)が平易とは言えなかったことから、スムーズに読むことはできず、ページを読み返しながらの読書となった。
何人かの人物が取り上げられているが、なかでも、日本海軍の山口多聞のリーダーとしての危機に状況を見て積極策に打って出ようとする振る舞い、考え方、戦略思考に感心させられた。
対照的に、現在の日本の首相のリーダーシップの無さを明快に説明させられて、不安を感じるとともに残念な気持ちになった。
リーダーのような立場になることもあるし、周りのリーダーを常に見て、仕事をしている。
総合力(全体、全局を見通す力)・胆力(何があっても動じない強い平常心)・人心掌握力(人をうまく使う能力)がリーダーには必要とまとめられているが、どれをとっても全然伴っていない。
少しでもそれらしきものが持てるように努力したい。
Posted by ブクログ
山内先生の本は、イスラム関係で読んだことがあり、好感をもっていたので、職場の平積みから購入。
予想に反して、かなり感情的に山内先生は、鳩山総理、菅総理のリーダーシップの資質について批判している。
自分は、そういう総理を選んだのは、国民の選択であること、自分も役人の一人として政権を立場にあることから、外交、内政の混乱の責任は、自分も含めて国民全体が追うものと考える。
国民にふさわしい、国民のレベルにあった政治家しか得られないと思う。
国民の一人として、自分をもっと磨きたい。
その他の点については、引用文献も豊富で、納得できる。
①内閣や原子力担当の官僚や東電役員を初めとするエリートたちが、震災後の対応に四苦八苦している姿を見ると、学歴や年功序列を基本とした伝統的な人事秩序や組織的価値が、国難を迎えたときにいかに無力であるかを、日本人は改めて痛感しただろう。(p153)
対応が適切でなかったという批判を自分は真摯に受け止める。
②ミッドウェー海戦で、日本の空母が3隻しずめられて、山田多聞が指令官となって反撃にでるときの訓辞。「我が方は確かに苦しい。しかし、敵も苦しいのだ。死んでくれ。わしもあとからいく。」(p131)
鬼気迫る信念を感じる。こういう司令官のリーダーシップのもとで仕事をしてみたい。自分も部下にそういえるような実力をつけたい。
③外交にあたる政治家に大事なのは、未知の非常現象に遭遇したときに、恐怖心を何とか中和し、不安な感情を抑える術を身につけることっだろう。胆力ある政治家なら、心の乱れを免れない場合にも、それを「緩和」することができるからだ。(p180)
自分は、胆力があるとは思えないので、どうやって胆力を鍛えたらいいか、悩むところだ。
参考文献としては、『西郷南州遺訓』岡義武『近代日本の政治家』(岩波現代文庫)、本郷和人『名将の言葉』(バイインターナショナル)、北影雄幸『戦国武将の美学』(勉誠出版)を読んでみたい。