【感想・ネタバレ】「長生き」が地球を滅ぼす―現代人の時間とエネルギーのレビュー

あらすじ

生物的時間。この新しい時間の見方を使って現代社会を眺めてみると、少子化、高齢化、エネルギー問題等々、今日の日本が抱えている問題は、すべて時間の捉え方が偏っていることに起因すると著者は主張する。
良く生きるとは、良い時間を生きること。良い時間をつくりだすために、そして現代人を「時間の奴隷」状態から解放するために、歌う生物学者が提起する、時間観のコペルニクス的転回の書!
安定した食糧供給、安全で清潔な都市づくり、頼れる医療、これらは莫大なエネルギーを使用することにより成り立っています。エネルギーをふんだんに使っているからこそ、このような長寿社会が可能になっているのです。だからこれを、エネルギーという代価を支払って寿命という時間を買い取っているのだ、と見ることもできるでしょう。私たち現代人の寿命は、決して自然のままの動物としての寿命ではありません。現代文明がエネルギーを使ってつくり出した人工的な寿命なのです。(本文より)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

「長生き」が地球を滅ぼす
現代人の時間とエネルギー

「ゾウの時間ネズミの時間」で有名な著者がその発想を現代人の時間への考察に発展させたのが本書。
ほ乳類は15億回くらい心臓が脈打つと死ぬ。ぞうはゆっくりと心臓が脈打ち、ねずみは早く心臓が動く。一回心臓が脈打つ際に消費する仕事量は2ジュール程度なので、大体30億ジュール分の仕事を心臓が行うとほ乳類は死ぬ。故に、ぞうの時間とネズミの時間は異なるのではないか?という発想を基本として、現代人の時間を考察しています。体重と寿命は相関関係があり、人間が60KGとするとその寿命は約30年。今の日本人の平均寿命は80歳を超えているのは、大量のエネルギーをつぎ込んで、環境を変えることによって実現している。
これが著者の結論。
生命は外部からエネルギーを得ることによってエントロピーに抗している存在で、自分の子孫を作ることによって、ガタが来た体を捨てて、新しい体に移行する。自分の子孫を成人させた時点で役目を終わって死んで行くのが生き物の摂理だが、人間はそれに反して大量のエネルギーを子孫から搾取することによって長寿を実現している。故に、年をとったらエネルギーを使わず子孫に残すために早めに退場すべき。また、生きているうちに使うエネルギーも節約すべし。(現代日本人は生きるために必要なエネルギーの40倍のエネルギーを1人あたり使っている。昭和30年代くらいだと10倍位なのでその位まで節エネルギーすべし) また、おまけの時間を子孫のために使うべし。
これが著者の意見。
”長生きはよいこと”という大前提に疑問を呈し、”長生きは子孫や他の生き物からの搾取で実現されている!”という発想は斬新です。よくぞここまで書きましたね。といった感じ。
竹蔵もおまけの時間の真っ最中。なかなか早く死ぬのは難しそうなので、子孫のために有意義なことを心がけねばと思いました。

竹蔵

0
2025年08月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「ゾウの時間、ネズミの時間」の人。基本、エネルギーの話なので、前半の数式の嵐に挫けそうだったけど、人生後半の生き方についてが面白かった。心臓が15億回打ったら終わり、50歳から上は前人未到の歴史だから「おまけ」で、そのおまけをどう生きるか。

0
2013年03月25日

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