あらすじ
世界的ピアニストのライダーは、あるヨーロッパの町に降り立った。「木曜の夕べ」という催しで演奏する予定のようだが、日程や演目さえ彼には定かでない。ただ、演奏会は町の「危機」を乗り越えるための最後の望みのようで、一部市民の期待は限りなく高い。ライダーはそれとなく詳細を探るが、奇妙な相談をもちかける市民たちが次々と邪魔に入り……。実験的手法を駆使し、悪夢のような不条理を紡ぐブッカー賞作家の異色作。
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Posted by ブクログ
悪夢を彷徨うような不条理な小説でした……
ふわふわ、あてどなく1000頁近くも彷徨うのはいささか疲れました。
なのにシュールリアリスティック的ではなく、最後まで読ませる力があるのは、作者の確かな手腕によるものでしょう。
そんな夢の中で、挟まれる断片的なエピソードは、誰でも覚えのあるような根源的な傷を抉ってきます。
両親とシュテファンの関係とかお辛い…
ライダーの両親が来ないこととの相似性もありますね。
ブロツキーとミス・コリンズとの関係は、ゾフィーと自分との関係とも相似しているような気がする。
過去、現在、未来を淀んだ形で顕現した世界なのかもしれない
そう考えると、グッと面白くなった
Posted by ブクログ
ライダーは著名なピアニスト。中欧のこの国のある街に演奏会の招待できている。街をあげての記念式典だそうだ。タクシーでホテルに到着したが、迎えにでる人もなく、運転手がとまどうばかり。ようやくポーターが出てきたが、本来は支配人が出迎えるべきなのに申し訳ないと何回も詫びる。これから先もライダーは色々な人に用事を頼まれ、それを成し遂げようと努力するごとにまた不思議な出来事にさえぎられるということが続く。不思議な霧の中でお話がすすむような感じを受ける。
Posted by ブクログ
英ブッカー賞受賞作家にして既にノーベル文学賞受賞のカズオ・イシグロ。
彼の1995年発表の第四作目の作品。
これはねぇ、難解というか、シュールというか、マジックリアリズムというか、不条理小説というか。。。訳者あとがきを入れて948ページはちょっとした拷問!?といっても過言ではなかったと思います。
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裏表紙のあらすじも読まずに読み始めたんですが、読書のちょうど中ごろで、物語の行き先がどうなるか皆目見当がつかず、一旦最後の訳者による解説等を読みました。それで何とか落ち着き、ようやく読み通しました。
このピアニストのライダーが本当に色々なところでこの町の市民に予定(と調子)を乱される。慇懃なようでいて、ひょっとしたら悪意があるかのような市民たちから、祭り上げられるようにしてヨイショされ、なんだか分かったような分からないようなお願いをされる。それでもうコンサートの日取りが近いというのに、右にいったり左にいったり。
その間、高校時代の友人と突然再会したり、離れて住む奥さんと子どもたちとの紐帯を回復しようと躍起になったり(しかも奥さんも子どものことも忘れていた)、あるいは宿泊したホテルの一室は昔自分が母と叔母とで住んでいた場所だと思い出したり。
しかもこのライダーというのは英国育ちなのですが、どうやら舞台となっている場所はドイツ語圏!?近くのような印象。
コンサートがあるこの“町”の救世主?かのようなライダーですが、町もおかしければ、ライダー自身も優柔不断で、もめごとを増幅させている気がしました。
予定が常に狂い、会話も常にオブラートに包まれ歯切れ悪く、読んでいて気持ち悪いことこの上ありません。
私、実はこれ、狂った元ピアニストの想像(夢)だったのでは、と思いましたが、一応そういう終わり方ではありませんでした。徹底して実験的な展開を突き通して完了した、という印象です。
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解説でも述べられている通り、賛否両論だったようですね。
他方、イシグロ氏は、商業的成功を手にして以降、「これこそが書きたい作品だ」とのたもうたとか。
個人的にはやっぱり得意ではないですね。
分かりやすさを求めるわけではないのですが、まどろっこしさや婉曲さにきりきり舞いしてしまい、結局何が言いたいのか分からなくなりました。また長すぎて途中で読むのに飽きてしまったかなという感じです。
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ということでイシグロ作品でした。
そういえば『クララとお日様』が映画化されるみたいですね。上映が始まる前に原作を読んでおきたいなあ。