あらすじ
世界的ピアニストのライダーは、あるヨーロッパの町に降り立った。「木曜の夕べ」という催しで演奏する予定のようだが、日程や演目さえ彼には定かでない。ただ、演奏会は町の「危機」を乗り越えるための最後の望みのようで、一部市民の期待は限りなく高い。ライダーはそれとなく詳細を探るが、奇妙な相談をもちかける市民たちが次々と邪魔に入り……。実験的手法を駆使し、悪夢のような不条理を紡ぐブッカー賞作家の異色作。
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Posted by ブクログ
悪夢を彷徨うような不条理な小説でした……
ふわふわ、あてどなく1000頁近くも彷徨うのはいささか疲れました。
なのにシュールリアリスティック的ではなく、最後まで読ませる力があるのは、作者の確かな手腕によるものでしょう。
そんな夢の中で、挟まれる断片的なエピソードは、誰でも覚えのあるような根源的な傷を抉ってきます。
両親とシュテファンの関係とかお辛い…
ライダーの両親が来ないこととの相似性もありますね。
ブロツキーとミス・コリンズとの関係は、ゾフィーと自分との関係とも相似しているような気がする。
過去、現在、未来を淀んだ形で顕現した世界なのかもしれない
そう考えると、グッと面白くなった