あらすじ
時は戦国。不穏な戦雲におののく京の都に、無数に張られた結界を破って六百年ぶりに恐るべき天魔が侵入、魔界への口を開こうと画策していた。大陰陽師・安倍晴明の末裔である土御門家の姫・光子は、唯一天魔を討つことができる出雲の霊剣・速秋津比売の剣を取りに行くことを決意。藤林党の若き惣領・疾風ひきいる伊賀の忍び七人を護衛とし、出雲への危険な旅に出発する。はたして光子は都を救えるのか!? 新説・陰陽師物語!
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Posted by ブクログ
戦都の陰陽師シリーズ、1作目。
角川ホラー文庫による出版で、ラノベ的な位置付けかと思いきや、なかなか読みごたえのある一冊だった。特に、妖討ちのための剣を手に取ってから、京の都に持ち帰るまでの大名配下の忍びたちとの攻防は、予想がつかない手に汗握る展開の連続。また、時代背景もきちんと描かれており、歴史上の人物と上手く絡めてあって、面白かった。そして、安倍晴明の血を引くも、根っからの公家のお姫様であった主人公が、伊賀の七人衆に守られながら、徐々に力強く成長。非常に魅力的なキャラとなり、これからの陰陽師としての活躍に期待が高まった。
Posted by ブクログ
様々な身分の者たちが絡み解れて読み応えたっぷり。伊賀の七人それぞれの個性に興味を惹かれ、忍者である以上戦いを避けられないとわかっていても誰も欠けてほしくないとつい願ってしまう。
過酷な世界に身を置く忍者の奮闘が敵味方共に熱い。異色の忍者、黒女の存在が悲しくも強烈で魅力的だった。
Posted by ブクログ
戦国の京都、結界のひずみから忍び寄る天魔を倒す霊剣を手に入れるため、出雲まで旅をする陰陽師の少女と彼女を護衛する伊賀の忍。天魔に唆され彼らを狙って次々とやってくる刺客達というストーリィ。説明が非常に多いので読むのに難儀するが、戦闘シーンの迫力と忍者特有のハッタリバトルに式神と霊剣の人知を超えたスケールがなかなかにド派手で良い。中国山地を如何に京まで戻るのかという逃避行というスタイルも興味深かった。
かなり絶望的な戦いの中で生きることを習いとする忍達が、光子のために覚悟を決めて戦うというのは熱いものがあり、また、過酷な旅路にも血腥い戦闘にも慣れていない光子が、そんな彼らの姿を見て成長する姿も清々しい。ただ、道中会う人物が「後に○○した」というものや、「こうした○○は今の日本から失われた」といった警句が本筋とはあんまり関係ないため少々邪魔臭いのと、それだったら、こいつ絶対死なないじゃん、とか、普通にこの当たりは無事なのね、みたいな軽いネタバレになっているのは若干興冷めな感はあり。とは言っても、戦国を舞台に忍者ものと陰陽師ものをダブルで楽しめるので、両方ファンな人ならきっと楽しめるだろう。シリーズ二作目はどうなることやら。