【感想・ネタバレ】カンガルー・ノート(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

ある朝突然、〈かいわれ大根〉が脛に自生していた男。訪れた医院で、麻酔を打たれ意識を失くした彼は、目覚めるとベッドに括り付けられていた。硫黄温泉行きを医者から宣告された彼を載せ、生命維持装置付きのベッドは、滑らかに動き出した……。坑道から運河へ、賽の河原から共同病室へ――果てなき冥府巡りの末に彼が辿り着いた先とは? 急逝が惜しまれる国際的作家の最後の長編!(解説・ドナルド・キーン)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

夢なのか現実なのか境目の見当たらない長編。これが安部公房の遺作と言われているのですね。その前提でストーリーを思い返すと、いろんな解釈ができそうです。

あらすじはメチャクチャで、意味があるのか無いのかもよくわからない。

膝に蟻走感。膝からカイワレ大根→近所の医者に行ったら自走ベッドに乗せられて硫黄泉へ→大黒屋で烏賊釣り船から襲撃を受ける→物欲ショップで看護婦現る→キャベツ畑で親子喧嘩→どこかの病院で鯛焼きを注文しつつ入院老人の安楽死幇助→ビールを飲んでピンク・フロイドのエコーズを聴く→廃駅で死体で発見される。

ベッドから動けずにいる末期患者が、まどろんだ意識の中で健康や自由への渇望と憧れを思い描いたら、こんな物語になるのかなという話でした。
死を意識させる描写は多いけど重苦しくはなくて、フワフワゆらゆらした雰囲気。なんとなくダラダラと読めてしまった一冊でした。

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2024年03月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読んでいくうちに、主人公にとっては何処までが現実で、どこからが現実ではないのか、分からなくなってきた。
でも、所々シュールな場面もあるし、色々なパワーワード的なものも出てくるので、全編を通して楽しく読むことが出来たし、何よりもユーモラスで読みやすかった。
とは言っても、安部公房作品は、砂の女とこのカンガルー・ノートしか読んだことはないが…

最後に現実世界で発見されて……と言う結末なのだが、この物語の中で起こっていることは、一体主人公にとっては何だったのだろう。どの時点からこうなっていて、どの時点で死んだのだろう。
何だかとても不思議な気持ちになった。
本当は脛からかいわれ大根なんて、生えて無かったんじゃないのか?でも、そうだとしたら最後の新聞記事は一体…何らかの理由で、廃駅の構内へ迷い込んでしまったのでは?全て(勤め先から何まで)主人公の妄想ではないのか?等々、考えてしまってこのままでは眠れなくなってしまう。笑
そもそも、かいわれ大根が脛から生えるって、とんでもなくシュールだなとか訳わからんと思うけど、読みやすさの陰には、実は「死」と言うものがテーマとしてあるらしく、そう考えると下水道以後は死後の世界?トンボ眼鏡の看護婦は何かのメタファーなのか?

もう一度読みたい。

1日あれば読めると思うし、気楽に手に取って読める本なので、是非読んで不思議世界を味わって欲しいですね。

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2019年10月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ある朝突然脛にカイワレ大根が生えたという展開が(笑)なぜカイワレ大根だったんだろう。掴みとしては良かった(笑)なんと言うか物語自体が壊れてしまう寸前のようなギリギリのところを走ってる感じで結構読むのは苦労したけど引き込まれていくように読んでしまった(笑)所々に現れる歌が何となく『ドグラ・マグラ』を想像してしまった。

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2025年11月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ある朝突然、脛にかいわれ大根が自生していた男の話。
病院のスプリンクラーは父親の顔、ハイテク自走機能付きのアトラス社ベッドに括り付けられそのまま硫黄温泉へ。
賽の河原に子鬼が出て来たかと思いきや、児童福祉施設のパフォーマンスだという。病院の看護師が現れたと思えば目のない母と太刀回りを繰り広げ・・・夢と現実のはざま・・・と言いたいところだが地獄からどうしても出られない、悪夢から覚めそうで覚めることができない、なんだか言いようのない気持ち悪さと悲しみを感じた。

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2018年02月25日

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