あらすじ
中国の小さな村に生まれた梁浩遠(リャン・ハウユェン)と謝志強(シェー・ツェーチャン)。大きな志を抱いて大学に進学した2人を、1989年の天安門事件が待ち受ける──。“我愛中国”を合言葉に中国を民主化しようと努力する貧しい学生たちの苦悩と挫折、そしてその後の人生。北京五輪前夜までの等身大の中国人を描ききった瑞々しい傑作。日本語を母語としない作家として、初めて芥川賞を受賞した楊逸(ヤン・イー)の代表作!
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Posted by ブクログ
天安門事件については、かつて中国語を教えてくれていた先生からチラッと聞いていましたが、こんな感じで動き始めたんですね。
たまたま先日のTVタックルで中国のことを取り上げていましたが、民主化の道は遠いのかなあ。
人口が多いから共産党って、なんかヘン。
Posted by ブクログ
【内容】
中国の小さな村に生まれた梁浩遠と謝志強。大志を抱いて大学に進学した2人を天安門事件が待ち受ける―。“我愛中国”を合言葉に中国の民主化を志す学生たちの苦悩と挫折の日々。北京五輪前夜までの等身大の中国人を描ききった、芥川賞受賞作の白眉。日本語を母語としない作家として初めて芥川賞を受賞した著者の代表作。
【感想】
中国、時刻を愛するが故に民主化を目指したが、
報われることなく政府に弾圧され、
主人公の浩遠もまた運動がうまくいかないが故自暴自棄になり大学を退学となる...
冒頭に大学に入学し、輝かしい未来を夢みて勉学に励む若者らが色鮮やかに描かれていた為、
民主化運動なんか参加しなければよかったのに、
勿体無いなぁと思ってしまった。
けれども、大学卒業後の輝かしい未来が得られなかったことを悔やむのではなく、
中国民主化への熱い想いを胸にくすぶり続けている姿は私には正直理解できない。
しかし、確かにあの時代、天安門事件の際に中国の未来を真剣に考え、中国のために民主化したいという熱い想いがあったことを想像出来た。
筆者が中国人だからこそ書けた話であると思う。
そう思うと読み易く価値ある小説であった。
Posted by ブクログ
芥川賞作品。
日本語を母語としない作家として初の受賞として話題になった。
彼女の講演を聴いたことがあるけど、とてもユーモラスでソフトな人だった。
そんなわけで、読む前からすごく興味はあった。
89年の天安門事件から北京五輪まで。
民主化への夢・希望とその挫折を地方出身の2人の青年を軸に描いた作品。
文章自体は特に好みではないけど、特にひどいわけでもない。
私はこれまで恥ずかしいくらい中国について無知だったので、そんな私がこの作品を評価するのはちょっと難しい。
芥川賞に値したかどうかはどうあれ、テーマとしてはとても興味深かった。
大学というものがもつ社会的意味や学生たちの気風、
さらには実際の言動、その末路、
どこか日本の60年代の学生運動にも似た当時の中国の動き。
もう少し知りたいと思った。
この作品自体は民主化云々描かれているけど、政治的な色よりも青春小説っていうテイスト。
でも個人的には「祖国」とは人にとってどういうものか?というところをテーマに読んだ。
天安門事件後に退学になり、残留孤児二世と結婚し、妻と共に日本に渡る主人公。
日本から祖国を見ていく後半は特に良かった。
ラストはずしーんときた。
作者自身、日本で結婚・子育てをする中で突き当たったことだったらしいけど、先にそんな作者の講演を聴いていただけに思わず泣けてしまった。