あらすじ
80万部突破『罪の声』を超える圧巻のリアリズム小説!
「聞きたい、彼女の声を」 「知られてはいけない、あの罪を」
ライターの大路亨は、ガンを患う元新聞記者の父から、
辻珠緒という女性に会えないかと依頼を受ける。
一世を風靡したゲームの開発者として知られた珠緒だったが、突如姿を消していた。
珠緒の元夫や大学の学友、銀行時代の同僚等を通じて取材を重ねる亨は、
彼女の人生に昭和三十一年に起きた福井の大火が大きな影響を及ぼしていることに気づく。
「実在」する情報をもとに丹念に紡いだ社会派ミステリーの到達点。
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Posted by ブクログ
この読後のやるせなさは『絶叫』や『イノセント・デイズ』以来。
芦原の温泉街を襲った大火から始まった人一人の人生を追う重み。ライターの大路が大勢の関係者に取材しながら明らかになっていく辻珠緒という女性の生き様と遡る母娘三代に渡る悲しい業に言葉を失くす。
「男」に生活を依存してきたその結果と片付けるのは簡単だが、男尊女卑が当たり前だった時代背景を思えば彼女たちの生き方を責めることはできないな。
できすぎたラストだったけど、ここからまた新雪のようにまっさらな辻珠緒の人生が始まってほしいと願わずにいられなかった。