あらすじ
●戦争のプロはロジスティクスを語り、戦争の素人は戦略を語る。
ロジスティクスは軍隊の「ライフライン」である。メディアでは最前線の戦いの場面ばかりが話題にされ、遠隔地に軍隊を移動させ、兵士に糧食や水を提供し、必要な武器および弾薬を運搬するという、戦いの基盤となるロジスティクスの側面はほとんど注目されない。だが、ロジスティクスが機能不全に陥れば、世界最強のアメリカ軍といえどもほとんど戦えないのである。本書は、第一級の軍事戦略研究者が、シュリーフェン計画、ロンメルの戦い、ノルマンディ上陸作戦、 湾岸戦争、テロとの戦い、ウクライナ戦争などを題材に、ロジスティクスの重要性について明快に解説。
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Posted by ブクログ
戦争の歴史をロジスティックスという切り口で説いた本。戦争形態の変化から軍事ロジスティクスの重要性が上がってきた。現代の戦争では物流網を確保してから戦略を立てることが生命線だということを学んだ。ビジネスにおいても、消費者にどのように商品、サービスを届けるのかを考えてから拡販戦略を立てるという考え方には整合性を感じた。
Posted by ブクログ
一般向けにインターネットで発表された論考を集めたものなので、繰り返しになる内容は多いし浅い感じもするんだけど、逆に言えばわかりやすく大事なところが繰り返されているとも。クレフェルトの『補給戦』にだいぶ依拠している。
「戦争のプロはロジスティクスを語り、戦争の素人は戦略を語る」という格言があるとおり、ロジスティクスは戦争を巡る問題の90%に関係する重要な分野。中世ヨーロッパでは現地での略奪に頼れたが、物資の消費が膨大になった現代では現地調達は不可能。白いキャンバスにトップダウンで戦略を描くことはできず、キャンバスを規定するのがロジスティクスともいえる。
バルバロッサ作戦や北アフリカ戦線でのロンメルも兵站支援限界を超えていた。シュリーフェン計画もロジスティクスの観点からは実行不可能だった。
ずっとつきまとうラストワンマイルの問題。フットプリントを少なくするシーベーシングの構想。
各国流の戦争という戦争文化やウクライナ戦争なども例にしている。ロシアはウクライナ侵攻でロジスティクスに成功していない。
ソクラテスは「戦いにおける指揮官の能力を示すものとして戦術が占める割合はわずかであり、第一にして最も重要な能力は部下の兵士たちに軍装備を揃え、糧食を与え続けられるかにある」と述べている。これは現代も一緒で、メシ、睡眠、フロ、上陸をなんとかするのは統率上大事。
Posted by ブクログ
戦争における兵站の話。
単に「後方支援」と言うより幅広い話なんだが、いわゆる、輜重輸卒が兵隊ならば蝶も蜻蛉も鳥の内、と言うやつだな。
実際には古来より、戦場を規定するのも、勝敗を決定するのも、その、チョウとトンボだったと言う話。
そうだろうなと思う。
のだが、この本、著者のこれまでの論考をそのまままとめてる体裁で、同じ話が、何度も出てくる。その上、なんとかの戦いではとか、なんとか将軍のこれはと言う話が普通に出てくるので、戦史にある程度造形がなければ、何を評価してるのかもわからない。
ロジスティクスが勝敗を決した事例を重ねてるのであって、本来はこう言う事例から、ロジスティクスが大事だと言う研究が進んだはずなので、そこはどうなんだろうと言う気がした。その結果から、何かを導いているわけではない。最終章で、未来のロジティクスについて語っているようなのだが、そこは薄い。