【感想・ネタバレ】死人の鏡のレビュー

あらすじ

謀略の犠牲になりかねないと調査を頼まれたポアロは、依頼人の准男爵邸へ向かった。が、待っていたのは密室での依頼人の死。自殺に見えるが動機は不明。また謀略とは? 解決の手がかりは意外にも書斎の割れた鏡にあった。密室の謎に挑む表題作をはじめ、ポアロ活躍の四篇を収録する傑作集。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

アガサ・クリスティの短編集は初めてだったけれど、予想以上に楽しめた。
ポアロシリーズもので『厩舎街の殺人』『謎の盗難事件』『死人の鏡』『砂にかかれた三角形』の4作品。
どれも短編とあって物語の展開がスピーディーでサクサク読めたし、読み応えにも満足。
唯一の難は短編集なので登場人物表がないため人の名前が覚えられず、この人誰だっけ?と頁を後戻りして探す手間が増えたことくらい。

短編だからといってもポアロの謎解きはいつも通り冴えているし、事件の真相もシンプルで理解しやすかった。
今回の4編全て、真犯人や事件の真相が大外れで、最後のポアロの解説で驚き唸ってしまった。
「自惚れというやつですよ!犯罪者は自分の犯す犯罪は、絶対に失敗しないと思いこんでるものですからね」作中のポアロのセリフにも納得。

また他の短編集も読んでみたい。

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2024年06月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

『厩舎街の殺人』
エルキュール・ポアロ・シリーズ

ガイ・フォークス・デイの夜、花火の音にまぎれて発射された銃弾。密室の中で自殺と見える状態で発見されたアレン夫人。不自然な遺体。銃弾の跡と逆の手に握られた銃。再婚をまじかにしていたアレン夫人の過去。アレン夫人の親友であるプレンダリースの行動。死の直前にアレン夫人に会っていた強請り屋のユースタス少佐。

『謎の盗難事件』
エルキュール・ポアロ・シリーズ

兵器省長官メイフィールド卿の屋敷で行われたパーティ。新型の爆撃機の設計図についての相談をしていたメイフィールド卿とキャリントン卿。部屋の中から盗まれた設計図。ドイツのスパイとの噂のあるヴァンダリン夫人の存在。かつてドイツとの関係を指摘されスキャンダルとなったメイフィールド卿の過去。

『死人の鏡』
エルキュール・ポアロ・シリーズ

突然シヴァニックス・ゴアと名乗る人物から呼び出されるポアロ。ポアロの到着前に殺害されたシヴァニックス。食事の前に銅鑼を鳴らすしきたりのあるゴアの一家。ポアロが見つけた銃弾。自伝を書く為に雇った秘書ミス・リンガード。シヴァニックの養女リースの結婚と遺言状。娘の結婚を支配しようとするシヴァニック。

『砂に書かれた三角形』
エルキュール・ポアロ・シリーズ

ロードス島に休暇でやってきたポアロ。チャリントン夫妻、ゴールド夫妻の関係。奔放なチャリントン夫人と浮気をしていると疑われているゴールド。殺害されたチャリントン夫人。

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2012年08月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

厩舎街の殺人
謎の盗難事件
死人の鏡
砂にかかれた三角形
の4作品を所蔵。

最初は短編だと気がつかずに、読んでいて、あれ本の途中で結論がでて、終わるのかと思ったら、短編集でした。

厩舎街の殺人は、ガイフォークスデイという記念日の意味を知ることができました。
推理小説には、自殺か他殺かが問題になる筋書きは、いろいろありますが、他殺である場合が多いようです。

謎の盗難事件では、書類の盗難事件が課題となる。他の作品でも書類の盗難が話題になったことがある。似ているところもあれば、似ていないところもある。

似た作品があると、作品の違いを楽しむことができるか、辟易としてくるかは、人によるのかもしれない。

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2011年08月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

初めて翻訳された推理小説を読んだ。最初は登場人物の名前や関係性を覚えられない、会話文の言い回しが独特で正直事件どころではなかった。人物の名前を覚えていないのに、あだ名で呼び出したりするのでさらにこんがらがった。登場人物の名前を把握する頃にはポアロが事件を解決するので読みながら「待ってくれ!」とずっと思っていた。しかし、読み慣れてくるとなかなか面白いかった。
特に「砂にかかれた三角形」は収録されている4篇の中で最も短いのに、どんでん返しがすごかった。言われてみれば確かに、と思うところがある。事件発生前から犯人に気づき警告していたポアロとは違い、私はパメラと一緒で凡人の思考の持ち主だったようだ。

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2024年05月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

アガサは書き直しの際に割と犯人を変えるんだなと言うことを学習し、さすがこれだけ売れる作家はサービス精神が違うと思ってその辺も楽しみながら読んだ。
どれも悪くないけどさほど気にいったということもない四篇。そのうち3作はそこそこの長さと登場人物の多さで、空き時間にちょこちょこ読み進めていたのでやはり登場人物リストが欲しかった。最初の2作は事件ではなく、犯人というか首謀者に理があり頭も良くて感心した。3作目も同情できる犯人で、その辺と、見た目と違う真相、あたりがこの本のテーマになっているのかもしれない。
ミス・プレンダーリースは「ホロー荘の殺人」のヘンリエッタタイプ。
「謎の盗難事件」が意外と1番好みで、メイフィールド卿のような人いいなと思う。間取りがどことなくロジャーアクロイドの家と似ている?
「砂に描かれた三角形」というタイトルの訳し方が素敵だなと思った。ロードス島は当時イタリアだったんですね。

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2021年12月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ポアロ、縦横無尽の活躍。

「死人の鏡」「謎の盗難事件」「厩舎街の殺人」の中編が3つ、4つめの「砂にかかれた三角形」はやや短い。

「死人の鏡」依頼人から呼び出されて屋敷に向かったポアロ。時間に厳しい依頼人が夕食に姿を見せない。依頼人は部屋で死んでいた。夫人、養女、甥、弁護士や自伝の手伝いをしていた秘書的存在など、様々な登場人物の話を聞きながら、ポアロが暴いた真相。そんなにうまくいくのかな、と思いつつ、密室よりも重要な真実は隠された人間関係。

「砂にかかれた三角形」リゾート地でポアロが出会った人々。夫婦、有名な美女とその新しい夫、若い女性。トリックはあっさりしていて、それだけか、とも思う。しかし、ポアロの警告の真の意味など、すっきりまとまって面白い作品。

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2019年05月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

やや長めの短編3作と短めの短編1作から成る短編集。
「死人の鏡」が、物語としては一番よくできていると思うが、真相に疑問箇所がある。個人的に一番面白いと感じたのは、最も短いが、見事なミスディレクションの「砂にかかれた三角形」。

「厩舎街の殺人」
プレンダーリース嬢が田舎から戻ってくると、同居人のアレン夫人が死んでおり、当初は自殺と思われたが、他殺を裏付けるような事実が次々と見つかる事件。ポアロが現場を見て気づいたことが真相に活かされている点は見事で、動機にも捻りがあり、アタッシュケースの謎も面白いが、真相はイマイチ切れ味に欠ける。

「謎の盗難事件」
機密事項である爆撃機設計図が盗まれ、ポアロが調査を依頼される話。ポアロは、犯行可能性と必然性から、犯人を推理する。女中の悲鳴、メイフィールド卿の目撃証言など、色々と話を膨らませているが、やや肩透かし気味の真相。

「砂にかかれた三角形」
周囲の男性を虜にする魔性の女を巡る三角関係。それが原因と見られる毒殺事件。そう思って読んでいると、最後に見事にうっちゃられる。
最後まで読むと、「手遅れにならないうちに島を離れろ」というゴールド夫人へのアドバイスや、「犯罪者には、自惚れという共通の悪い癖がある」というポアロの言葉には、深い意味が隠されていることがわかる。

「死人の鏡」
ゴア夫妻のエキセントリックな性格設定をはじめとする絶妙な人間関係の構築や、関係者の聞き込み調査を通じて次々と意外な事実が明らかになっていく過程、最後に明らかとなる意外な犯行動機など、クリスティーらしい技巧を感じさせる作品ではある。しかし、真相を複雑にしすぎたために、ややわかりにくく、また、犯人が仕掛けたトリックが手が込み過ぎていて、そんなにうまくいくのかなと逆に思ってしまった。

(ネタバレ)
銃声の偽装の方を多くの人間が聴いているのに、実際の銃声を誰も聴いていないというのは、不自然ではないだろうか。

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2017年05月06日

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