あらすじ
強みが凝縮された「一品」が会社を変えた──。年間20億円でヒットといわれるスナック市場において40億円の売り上げを叩きだした「湖池屋プライドポテト」。国産じゃがいもをはじめとする素材、安売り競争下での高価格設定、自立式のパッケージデザインなど、あらゆる面で革新的な「プライドポテト」を起爆剤に、次々とヒット商品を生み出す「新生・湖池屋」、その舞台裏では何が起きているか。
商品開発・マーケティングの世界における名うてのヒットメーカー佐藤章が湖池屋社長に就いて最初に取り組んだのは創業者の精神に立ち返り、日本におけるポテトチップスのパイオニアとしての誇りを取り戻すこと。そんな老舗のブランディング戦略はいかに磨かれ、実践されてきたか。デパ地下やコンビニのホットスナックなど、中食市場が拡大していく中で、スナックの進化形をどのように見据えているか。新生・湖池屋の軌跡をたどりながら、独自のマーケット論、経営戦略を説く。
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Posted by ブクログ
湖池屋をプライドポテト、じゃがいも心地、ストロングなどのヒットを飛ばし、湖池屋を再生(従業員含め)させてきている社長の書籍。もともとキリンビールでの営業、キリンビバレッジでの商品企画(FIRE、生茶)などをさまざまな職種を経験してきている。
「創業者がやりたかったことを現代に蘇らせる」を意識してリブランディングをおこない、とにかく企業はブランドを大事に(カラムーチョのパッケージロゴを変えただけで毎年20%の伸び。これはプライドポテトで培った高品質、おしゃれという市場イメージによる)というコンセプトで取り組む。管理職の役割は結節点。人と人が結び合う場所にいて、話を聞き、承諾し、ゴールを共有する。その役割をもっていることを明確に意識し、任せるところは任せる。それにより社員ひとりひとりが自由闊達に自分の頭で考え、自分で行動していく。それが組織の活性化につながると考えている。
またマーケターとしては、イノベーションとは発明ではなく、誰かと誰かの知恵のかけあわせ。その誰かは遠い存在がいい(例えば社長とパート従業員)と考えており、リーダというよりキャプテンとして現場重視、一緒に汗を掻くことを厭わない。
細かい商品開発知識として、「水、空気、油、火の4つの要素(料理の四面体)に基づき、旨味を引き出すバランスを考える」というのは興味深かった。