あらすじ
妻ががんで逝った。61歳、1年あまりの闘病生活ののちの早すぎる死だった。家族が悲しみ、うろたえるなか、妻は、嘆かず恨まず、泰然と死んでいった。それはまさに「あっぱれな最期」だった。決して人格者でもなかった妻が、なぜそのような最期を迎えられたのか。そんな疑問を抱いていた私が出会ったのは、「菫ほどな小さき人に生まれたし」という漱石の句だった。そうか、妻は生涯「小さき人」であろうとしたのか――。妻の人生を振り返りながら古今東西の文学・哲学を渉猟し、よく死ぬための生き方を問う、珠玉の一冊。
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Posted by ブクログ
私の妻も、3年前、希少癌で亡くなりましたが、やはり、あっぱれな最期でした。その間、一度も、痛いとか、苦しいとかを決して言いませんでした。
妻は何事も完璧にこなし、重度障害の娘の介護も、家事も、何かにつけ、見事な生き様でした。
そんな妻と一緒に居られたことは、とても幸せな日々たったことが、本書を読むことで、思い出されました。
Posted by ブクログ
最近、死ぬとき私はどうしているか、どう死に近づいていくか、を考えることが多い。妻を亡くした音楽評論家が、「妻はどうしてあっぱれな最後を迎えることが出来たのか」を解きほぐしていく。
怒りっぽく、人に文句を言うことをためらわない性格だった妻。その妻が人に精神的な負担をかけず、逍遥として死を迎える。
中盤の、哲学的、音楽的な死の分類は本筋とは少し離れ冗長さを感じた。
また、抗がん剤治療で意識が混濁しコミュニケーションが取れないこともあったが抗がん剤治療を止めると正常に戻る、というところ、深く考えさせられた。これが私だったら…?
Posted by ブクログ
あっぱれな奥様だったのだと思う。
年取って病を得たりして身近になってきた死について考えたり、無くなった奥様が同年代だったりしたこともあったので、久々に小説以外のものを読んでみた。
国、時代、宗教、哲学…色々な考え方、結局、生き方に対する考えや思いが、そのまま死の受け止め方に繋がる、まあ、当たり前といえば当たり前だけど、そんなことを思った本だった。
さて、私はどんなふうに生き、筆者の奥様のようにあっぱれに死にたいのか?
ちょっと考えるきっかけにはなった。
そして、後書きにもあったけど、奥様、ぷんぷん怒ってそうですねwww
私とは友達になれそうにない性格の奥様、でも家族みんなにはとても愛されてたんだなあと、ちょっと難しい内容ながら、ほっこりしてしまった。
Posted by ブクログ
あっぱれな最期。
つまり潔く死に臨むためには、極めて大雑把にまとめると、自分などちっぽけな人間だと自覚し、自然の流れを感じながら身の丈に合わせた暮らしをすることと言えると思います。
人間はもちろん、生物は必ず死ぬ。
生き切ったのだから当然と言う自然な流れを、受け入れることが出来ると言うことでしょうか。
かつて別の本で、医師である著者の方が患者さんに、死とは何ですか?と訪ねたところ、「変化だよ」と即答されたと言う話を思い出しました。
生と死の研究は、本書でも紹介されていますが無限の考え方が古くからあります。
誰も答えを知れないこそのことですが、それらを読めば読むだけ、死後には何も残らないのかもと、悲しい気持ちに僕はなりました。
僕は、死後何かしらの世界があると考えています。
そこには死を恐れる気持ちがあることを、読みながら気付きました。
何も無くなるなんて、悲し過ぎます。
しかしこの考えの根底には、僕は特別であり死ぬなんてもったいないと自惚れているのかも知れません。
よく、(僕は)自分が可愛いもんねと指摘されます。
僕の自意識がこうさせたのかと思うと同時に、自意識を膨らませる装置の多いことよ!と責任転嫁してしまいます。
そこから距離を取るのも、潔い死には有効と思いました。
死に自然に移れる生き方。
もちろん身の回りだけは誠実な態度を取ることは忘れずに、心掛けたい。
こう思いながらも僕は、やっぱり死は今のところ恐れてしまうのです。
Posted by ブクログ
人は誰しも死を避けられない。それなのに死に直面すると嘆き、恨み、取り乱してしまうのが凡人の常である。そんな凡人に「死の教養」を説く。古今東西の賢人たちの死に様を学び妻のごとく泰然と死を迎える心得を教えてくれる。
実際には身近な人を亡くした時人は簡単に教養どおりには振る舞えない。嘆き悲しみ、抜け殻のようになるのが現実だ。
それでも故人の生き方や死にざまに目を向けることで自らの生を見つめ直すことができる。死は終わりではなく生を深める契機となる。
凡人であるがゆえに完璧にはできない。それでも泰然とした死を目指し、日々を大切に生きることこそが、あっぱれな最期へとつながるのかもしれない。
Posted by ブクログ
祖父が亡くなったこともあり、何かに縋る思いで手に取ってみた。
著者の奥さんが亡くなる描写はリアルで、少ししんどくなった。
内容は、奥さんの紹介がほとんどで、読み物としては面白かったが、求めていたものはあまり書かれていなかった。
一方で、自分を特別と思わなない、ということは大事だと思ったし、大きな気づきを得ることができたと思う。
以後の生活に活かしていく。