あらすじ
過去のブログ記事が炎上中のラーメン評論家、夢を語るだけで行動には移せないフリーター、もどり悪阻とコロナ禍で孤独に苦しむ妊婦、番組の降板がささやかれている落ち目の元アイドル……いまは手詰まりに思えても、自分を取り戻した先につながる道はきっとある。この世を生き抜く勇気がむくむくと湧いてくる、全6篇。
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Posted by ブクログ
最初は漫画から一話目の作品を知る(最後まで読んでないけど)。
一つの話かと思っていたら、オムニバスだったようだ。
どれもほぼコロナ下に起きた話だったようです。
それにしても、うまく縁がつながり、解決していくな~。
こういうミラクルがいつも起こればいいけど…。
めんや 評論家おことわり
らーめん評論家がいろいろなラーメン屋でいろいろやらかす。無断でお客さんの動画や写真をアップしたり、セクハラ発言したり等。それを被害にあった人たちで復讐していく。それぞれ加害者にやり切ってすっきりしていた。
BAKESHOP MIREY'S
秀実の会社近くの居酒屋で働く未怜が、秀実ははがゆくて仕方がない。ベーカリーショップの夢を実現するならば、語るだけではなく、行動あるのみ!なのに…。いてもたってもいられず、秀実は未怜のためにオーブンを買ってしまうが、それは未怜にとっても居酒屋の店主にとっても大きなお世話だった。秀実はそのオーブンがかわいそうでお菓子を焼くことに…。
トリアージ2020
医療ドラマを同じ趣味としてネット上で交流がある妊婦の升麻梨子(ポッカレモンさん)とよこちんさん。あるとき、よこちんさんのお母さんと家が近くということでパンデミック下での対面交流が始まる。でも、あのネット上のよこちんさんはひょっとしてお母さんなのでは?という疑惑が沸くのだが…。
パティオ8
低層階の集合住宅には中庭がある。そこはパンデミック下での子供たちの遊び場であり、親たちにとっての救いの場だった。身元がしっかりしているし、交代で子供たちの面倒を見られるし、在宅の親は仕事をしながら子供を見れられる。
その時、子供の声がうるさいと、子供がいない101号室の住人が子供の声がうるさくてリモートワークができないと文句を言ってきた。
仕方なく親たちは子供を遊ばせるのを控えたのだけれど、親たちのほうがまいってしまう。腹いせに101号室の仕事をうばってやろう!と、画策し、住民たちが一致団結する。しかし、どうしても一瞬101号室の住人の目をそらさなくてはいけない事案が発生。そこで手助けしてくれたのは、なんと!…。
商店街マダムショップは何故潰れないのか?
その近辺の店はどんどん閉まっていくのに、商店街マダムショップはいまだに健在。どうやら町のパトロールをしているこの町のガーディアン的な存在だったらしい。その黒幕はだれなのだろう?誰かは書かれていなかったけれど、きっとフィクサーだ。
スター誕生
あるユーチューバーが撮影しているときにたまたま映り込んだ親子。その文句を言ったらカリスマラッパーと化した主婦(MCワンオペと名付けられてしまう)。その主婦を探し出そうと、ユーチューバーや昔アイドル今キャスターのニュースMC、今やお腹の出た中年有名ミュージシャンがタッグを組み、迷惑をかけてしまったMCワンオペが通っていた幼稚園の七夕祭りに出演する。
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自分の機嫌を自分でとれない方にたのしんでいただけたらありがたいです。めんや 評論家おことわり→ラーメンを実際に作ってみて気づいたことを全てかきました。BAKESHOP MIREY’S→若い方に相談をもちかけられると、ついつい力技で一瞬で解決してしまいたくなる、私の悪いところから生まれた話です。トリアージ2020→これは実際に私の身の回りで起きたことがもとになっていて、私の鎖骨の間にも抜糸の跡があります。パティオ8→これも私の友達から聞いた話がもとになっています。zoomで吐いたのは私の話です。商店街マダムショップは何故潰れないのか?→昔から商店街マダムショップがきになっていて、ようやく最近、中に入ったり、購入することができるようになりました。その度に、女主人たちがなぜか驚いた顔をすることから、生まれた話です。スター誕生→どうして、この話を書こうと思ったか、理由は伏せますが、強いて言うならば、MCワンオペがうっかり言ったことは、私が本当にたまたま口にしたことです。(新潮社:本人談)
過去のブログ記事が炎上中のラーメン評論家、夢を語るだけで行動には移せないフリーター、もどり悪阻とコロナ禍で孤独に苦しむ妊婦、番組の降板がささやかれている落ち目の元アイドル……いまは手詰まりに思えても、自分を取り戻した先につながる道はきっとある。この世を生き抜く勇気がむくむくと湧いてくる、全6篇。(新潮社さんより)
Posted by ブクログ
宇垣さんがお勧めされていて読みました。
私は、「めんや 評論家おことわり」、「トリアージ2020」、「パティオ8」が好きで、1番は「トリアージ2020」!。
よこちんが存在していた事にホッとした反面、コロナ禍の最前戦で戦っている事を知って、あの頃の自分のことを重ねながら思い出した。あの時は、コロナについてまだまだ分からない事が多い時期。よこちんは大変な中でやり取りしてたんだなって思うと、グッときた。麻梨子が少しずつ元気になっていくところも好き。横山さんによって、少しずつ食を楽しめるようになっていくところも、穏やかで幸せな気持ちになった。
Posted by ブクログ
めんや 評論家おことわり
ネットに勝手に上げられて生活を壊された人たちの復讐劇
今の時代色々なところで発生してそうだし、こーゆー傲慢な考え方のおじさんたくさんいそう。
BAKESHOP MIREY'S
口だけは達者だけど努力をしない家庭環境の悪い子と、恵まれて結果を出して来たOLとの話
んー同じ言葉でも言う人の立場によって解釈も異なるし、善意は時に迷惑にもなるし、難しい。
トリアージ2020
一人での出産を決めた孤独な中年女性と、共通の趣味で出会ったネットでの友達との繋がり。誰かがいるって大切だなぁ。
パティオ8
協力しながら子育て世帯が暮らす住宅地に、文句をつけてきた男性にみんなで協力して復讐する話。
みんなのそれぞれの能力を掛け合わせていく感じが面白かった。
商店街マダムショップは何故潰れないのか?
年の離れた幼なじみと地元でも生活の話。確かにこの店やっていけてるのかな?ってお店ってたくさんある。最後までミステリアス。
スター誕生
落ち目のアイドルと発信で炎上した中年男性が、再浮上するために力を合わせる話。
恥を捨てたところから、人気って出てくるのかも?
全体を通して、人間関係もSNSも難しいなーと思った。私も安易な発言で誰かを不快にさせたりしちゃってるのかもなーと。考えさせられるけど、読みやすくて面白かった。
Posted by ブクログ
SNSと言えば、インスタかFBばかりで、tiktokやツイッター(X)はあんまりよく知らないし、ほとんど観てない。
そういやインスタを見ていると気がつけばスレッズのページなっていることが最近良くある。
で、スレッズってなんか雰囲気良くないねんなぁ。例えば阪神ファンは藤川監督の采配とか梅ちゃんのリードを叩いている投稿、その叩いてるヤツを叩いている投稿。
トレイルランナーを叩く登山愛好者、ミニマリストを叩くコレクター、タレントを叩く批評家を叩くファン…まず、誰かを叩く投稿の多いこと。
それから、不器用にポジティブな投稿。「今日〇〇できただけですけど、一生懸命です誉めて」的なヤツ。
俺もここには結構批判的な読書レビューを書くこともあるので、目くそ鼻くそなのかも知れないけど、言いたいことを言える場とはいえ、それを言うと自分の人格すら損なってしまわへんか?と心配になるような不快な内容の投稿が目立って、イヤになる。
閑話休題
で、この本だけど、そういったSNSやコミュニケーションツール(LINEやメッセンジャー、ZOOMなど)で交流する人々に起こりえそうなトラブルを描いた短編6本を収録。
問題を提議しっぱなしにするんではなく、着地点を一ひねりするテクニックが上手い。小説なんだから問題を解決させることよりも物語を面白く展開していく方がメイン。その辺、柚木麻子は読者の予想は裏切っても、期待は裏切らない。
スレッズの毒は食えたもんじゃないものが多いが、柚木麻子の毒は食らいに行って損はない、ただし中毒性があるので要注意、いや注意してもしゃーないか。
Posted by ブクログ
『あいにくあんたのためじゃない』の「あんた」は誰?
「あんた」は、理不尽な社会の抑圧や、女性に対して勝手にレッテルを貼る「権威的な存在」の象徴かな。
(以外、ネタバレあります)
【BAKESHOP MIREY'S】
これが1番お気に入り。
良かれと思って行動した秀実の善意が、未怜の無気力に繋がるなんてね。誰の得にもならない善意は悲しい。
「ノブレス・オブリージュ」(社会的責任)は、技術が必要。本物の成功者以外が、身銭を切ってやるもんじゃない。まずは自分の余裕を目指そう。
【パティオ8】
近所の人たちとこんなに仲良くできない。
恐怖。
急にオンラインで海外向けに商売するってムリ。
恐怖。
急に離婚。
恐怖。
【商店街マダムショップは何故潰れないのか?】
タイトルは、1番面白そう。
期待と裏腹に、展開も結末もやや雑な気がする...。
途中まで面白くなりそうな展開が、思った方向にいかなかったな。
短編集なので、サクサク読めた。
短編集は、評価をつけるの難しいなー。