あらすじ
コンセプトとは、社会の既存の「当たり前」が見落としてきた、人々がまだ自覚できていない満たされていない欲求を満たし、理想の社会に今より近づくための「提案の方向性」のことであり、同時にアイデア創造の源泉であり、企画の骨子でもあります。
コンセプトを基点にすることができれば、「ここではないどこか」とはどこなのかを、自分の中で、あるいは他者と、共通のイメージとしてつかむことができますし、企ての中身の質や実行するときの推進力など、すべての変数に良い影響を与えられます。「コンセプトを制するものは企画を制する」といっても過言ではないのです。
この本では、コンセプトを基点に世の中を見聞きし、企てを考え、他者と関係性を築いていく感性を「コンセプト・センス」と名づけ、いかにしてそれを体得するかを考えていきます。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
コンセプターによるコンセプトとそれを創り出す過程に必要な色々なものについてのはなし。
①私は思考がまとまらない、且つ論理的に考えたことをすぐ引き出せない、さらにキャッチーにまとめることが好きなので、コンセプトという記号に大変興味が向いている。
②「ここではないどこか」をぼんやりと目指している私や、同年代の人々の感じている足りなさや窮屈さがわかった。
③まずすぐ読んでくれそうな人に共有して、職場の一角のコンセプトをつくりたい。それを元にアクションを起こしたい。2人以上で共有して動きたい。それが、今の仕事を明るく協働的にしてくれる気がするから。
Posted by ブクログ
『コンセプト・センス 正解のない時代の答えのつくりかた』読書メモ
■第1章:なぜ今、コンセプトが必要か?
・時代背景:「すぎる時代」(情報・選択肢・変化の過剰)により「正解」が消失。
・キーワード:
-「らしさの揺らぎ」:SNSで多様な価値観が可視化され、自己や組織のアイデンティティが不安定化。
-「認知を動かす」:現実を直接変えるより「何が良いか」の定義を変えることが突破口。
-「創造的逆ギレ」:現状への違和感を原動力に変える思考。
■第2章:コンセプトの要素・効果
・コンセプト定義:社会の「当たり前」が見過ごした潜在欲求を満たし、理想社会に近づく「提案の方向性」。
・3要素:
1.Who by(誰が)
2.Who for(誰に)
3.What(何を)
・5大効果:定まる・閃く・際立つ・集まる・続く。
・事例:iPod「1,000曲をポケットに」=技術統合×体験の再定義。AKB48「会いに行けるアイドル」=業界の常識打破。
■第3章:コンセプト構文とBIV-Cモデル
・BIV-Cメソッド:
-B(Bias):業界の常識(例「ゲームは室内で遊ぶ」)。
-I(Insight):顧客の無意識欲求(例「外で遊びたい」)。
-V(Vision):理想社会像(例「現実世界の探索が豊かな体験に」)。
-C(Concept):B・I・Vの交差点から生まれる角度(例「出かけたくなるスマホゲーム」)。
・歴史思考の応用:過去の常識変遷を分析し未来のジレンマを予測。
■第4章:コンセプトの見立て方(実践編)
・バイアス発見法:
-「内(業界)と外(顧客)」の境界で常識を相対化。
-バイアス言葉「普通、○○」「みんな○○」に注目。
・インサイト発見3軸:
1.価値観(何を大切にするか)
2.行為(具体的な行動)
3.ライフスタイル(生活背景)。
・現場主義:インサイトは現場観察で捕まえる(例:ポケモンGO開発時の行動分析)。
■第5章:コンセプトの展開と実装
・コンセプトマンダラ:
-中心にコンセプトを置き、経営・デザイン・マーケティングなど各領域に展開。
-3段階変革:
1.呼び名(認知刷新:例「カフェ→サードプレイス」)
2.意識(評価基準転換:例「味→居心地」)
3.中身(施策再設計:例握手会の定期開催)。
・オンコンセプト思考:
-4段階:認知→尺度→決定→現実。意思決定をコンセプトに沿わせる(例:AKB48の劇場運営)。
■総括:コンセプト・センスの磨き方
・3ステップ:
1.違和感を察知
2.問いを立てる
3.仮説を検証。
・思考姿勢:
-「Think(論理)+Feel(直感)」の両輪で価値設計。
-多様な視点(自分・他者・歴史)を取り入れ常識を相対化。
■実践的アドバイス
1.B/I/Vの弱い要素を補う:
-B弱い→業界歴史分析
-I弱い→現場観察
-V弱い→「三方よし」視点追加。
2.多角的視点:異業種知見・歴史的変遷を参照。
3.呼び名・意識・中身の連鎖:認知→行動→現実変革のプロセスを意識。
■キーコンセプト
・「すてきが稼ぐ」:糸井重里の思想。効率化(やりくり)より共感価値が重要。
・「For Other By Me」:個人の想いを社会貢献に翻訳する思考。
Posted by ブクログ
なかなか言語化しにくいことについて、図解や定型分を用いてわかりやすくまとめてくれている。
何か物事を見る時や始める時に、『こうしたらより良くなりそう』『こうしたら楽しそう』という視点を持って、過ごせるとより楽しく人生を過ごせるなと感じた。