あらすじ
高校一年の夏、ぼくは彼に恋をした。
「ぼく」(羽田海)は、血の繋がらない継母の美佐子さんと二人暮らしをしている。
ぼくが高校一年の夏に、美佐子さんの仕事の都合で引っ越しをすることになった。
前の町で美佐子さんが勤めていた印刷会社が倒産したのだ。
幼いころは父さんと母さんがいたけれど
ぼくが六歳のときに母さんは家を出ていき、
その後、美佐子さんと結婚した父さんもどこかに行ってしまった。
勉強も好きじゃないし、運動も得意じゃない。
いつか美佐子さんとも離れなくちゃいけない。
そんなとき、「ぼく」は、転校先の高校で忍と出会った……。出会ってしまった。
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Posted by ブクログ
血の繋がらない海くんを大切に思う美佐子さんもいじめられながら少し冷めた感情で学校に行く海くんも璃子ちゃんもすごい!
璃子ちゃんが虐めりながら 学校には行きたかった。
行かないとカースト最下位どころか生きる価値もなくなるのではないか。(本文から)
そう思いながら学校へ行き大学まで行くのは
心が沈んだ時こう考えれたらいいのに…と
私ではできないだろう出来事に向かい合っていて
すごく尊敬します
Posted by ブクログ
表紙と合ってとても綺麗な物語だった。血が繋がってないから受け止められる。
その人の苦しみは他人の羨ましいこと。自分が親にされたことを絶対に自分の子ともにはしたくないとわかっていても、海のお父さんはまだ自分を失いたくなかったのか。
Posted by ブクログ
よかった、最後はハッピーエンドでよかった
章ごとに、登場人物の視線で描かれてて読みやすかったり、皆の思いが知れてよかった
海
母親が5歳の時に家を出てしまい、父親も出ていってしまい父の恋人とその後くらす
その恋人、美佐子さん(継母)
血の繋がらない幼い海をおぶって、病院へ駆け込んだり高校を卒業まで海と暮らす
海のことが大好きで、本当の親になりたいと願い海のお父さん緑亮と籍を入れる
海の本当の母が出てきても海を取られないために
海の父親、緑亮
父親の顔も知らず、保育園児の時にある日とつぜん母は消えてしまう
そんな辛い思いは、絶対子どもにはさせないと思いながらも海の前から消えてしまう
海は、男の子だけど女の子のような子
父は海の好きなようにさせる
海は、高校を転校し好きになる人(忍)と出会う
忍には恋人がいたが、忍も実は海を好きに
これは、BLなのか?
と思いながらも最後まで読んじゃった。
多様性の自宅と思いながらも、なかなか難しいジャンルだと思ってしまう
Posted by ブクログ
窪美澄さんの小説は20冊以上読んでいますが
、所謂BL物の小説は初めてだと思います。
主人公の海は血の繋がらない母親美佐子さんと2人暮らし。美佐子さんが仕事を求めて転居することになり、高校1年生の時転校を余儀なくされた海。
その高校で町会議員の父を持ち、優等生でクラスの中心人物である忍と出会う。育った環境も性格も自分とは違う忍の事が気になる海。駅伝大会の出来事をきっかけに気持ちを通わせる事になった2人。忍には彼女がいたけれど…。
昔に比べてLGBTQが認知されているとはいえ、まだまだすんなり受け入れられていないのが現実。小説とはいえ、2人の愛は純粋で少し切ない気持ちになりました。
でも、海の実の親は残念過ぎます。父親が海をありのままに育てていたのは良かったけれど、なぜいなくなれたの?
美佐子さんがいてくれて本当に良かった。つつましくも2人で暮らしていた時間は幸せだったのではないでしょうか。この先、美佐子さんも海も忍も、そして璃子や沙織もみんな、みんな幸せになって欲しいと思える小説でした。
Posted by ブクログ
良かった。等身大の恋愛を当人たちとその周りの人たちの色々な視点から知ることが出来た。
これも、フィクションだから実際の世界とはもちろん全然違うと思う...が、それでも忍のような海のような璃子のようなキャラクターに出会えてよかった。
学生から大人になる成長の過程に、世で当たり前、普通とされている色々プラス''同性愛者''っていう特にこの国ではまだまだ浸透していない、異色の目で見られるものと一緒に生きていくのは辛かっただろうと思う。でも、忍がこのまま殻に入ったまま生きていくのはもっともっと困難だったように思う。海が来て、海が一緒だったから忍は生きられたんだな...
2人が一緒に生きていく未来を選んで良かった。
こういう物語を読むと、人が自分の''好き''っていう気持ちをどこでもどんな時でもそれがどんなものに対してでも自由に表現出来る世の中になればいいのに、と思う。
Posted by ブクログ
窪美澄さんの作品に出てくる登場人物が好きなので読み始めた。
海は、繊細かと思いきや、幼少期のことがあり、さっぱりした性格。
忍と恋に落ちる過程はこの2人が惹かれ合うの?ってびっくりしてしまった。
緑亮さんは結局、海を捨てたけど、幼少期の海を受け入れ、肯定し続けた点は良い親だと思う。
そして、みさこさんは素敵な人。
海だけでなく、忍や璃子のことも大切にしてくれる素敵な人。
みさこさんのセリフが心に残った。
「海と緑亮さんと家族だった毎日は奇跡みたいな瞬間の連続だった。」
家族って当たり前にあるものじゃないんだなぁと。
みさこさんは自分にとって何が大切か、何が幸せか、ちゃんと理解できている人なので、周りを幸せにできたんじゃないかと思った。
BLはあまり読まないのでよくわからないが、
海と忍、しっかり向き合うことができてよかったし、忍が考えていること、ちゃんと伝わってきてよかった。
Posted by ブクログ
所謂BLものって初めて読んだかもしれない。
本屋に行けばその手の表紙の作品は山のように目にするし
SNSでも周りにも自らを腐女子と言っている人も多い。
私が学生の頃はあまりそういう作品がなかったせいか、
単に自分の嗜好の問題なのか、
意図的に避けていた部分はあると思う。
実際、この二人がもっと歳を重ねていたら、
描写がもっと生々しいものだったのなら、
途中で読むのをやめていたかもしれない。
そんな偏見を持ちながらも、夢中になって読んだ。
内容的に少し瀬尾まいこさんの『そしてバトンは渡された』
に似ていたのも要因かもしれないが。
さすがに忍にも海にも感情移入はできなかったけど、
唯一、ろくでなしの緑亮の話に共感してしまった。
“結局、自分はこの世の中で何をしてきたのだろう。
それは海という人間を生み出したこと。
ただそれだけなのではないかと思う”
“これからどうやって自分の人生を終わらせていこうか、ふと思う。
そういう年齢になっている自分に愕然とする。
人生が始まったばかりの海や忍を思い出す。
二人のまぶしさがまた、自分の影を濃くしているようなそんな気がした。”
…めちゃくちゃわかる。
もう自分にはないキラキラがまぶしい。
彼らが歩いている道は、かつて自分が歩いたはずなのに
まるで同じ道とは思えず、
いったい自分は何をしていたんだろう?という
自分自身に対する失望。
かといって戻りたいわけでもなく。
強いて言うならばそのキラキラを、
せめて君たちは思う存分楽しんでほしい、
そうすれば当時の自分も救われるのではないだろうか、という
なんとも他力本願な願い。
海は名前の通り心が広くて大きい子だね。
周りの影響も大きかったかもしれないけれど
何より自分自身に人生を切り開こうとする力がある。
実際にはそんなに上手くいくことばかりではないかも、
特に政治家関係の家柄だと…とは思ったけど、
それでも、二人で幸せになってほしい。
あと璃子ちゃん、貴方はきっと良い人に巡り合えると思う。
個人的には、美佐子さんとは海が東京に行く段階で
もう会えないのでは…と思っていたから、
再会できてホッとしている。
子どもみたいな父の、最後の置き土産かな。
Posted by ブクログ
昔のティーンズ小説っぽい文章だなぁ…それのBL版?ストーリー的には目新しさはない。でも印象深い表現は読んでておもしろいなぁと。
受け、攻め、女友達、攻めの元カノ、受けの父親、受けの継母それぞれの視点から。いじめられていた璃子とさおりが旧友のように馴染むのと、受けの父親を呼び捨てにするノリがよくわからない…。
あと気になったのは受けは女の子っぽいと言及しているので性同一性障害ではないのかな?と認識していたのだけど。途中で女の子要素はなくなったのか。
まぁそれだと“ゲイ”である攻めとは相容れなくはなりますね。
どちらもゲイだからこその苦しみと、お互いの家庭環境に対する妬み。くっつくのが電光石火だったのでそこのすれ違いがあってよかった