あらすじ
クリストファー・ノーラン監督最新作映画『オッペンハイマー(Oppenheimer)』原案
「オッペンハイマーという誰よりもドラマティックな人生を歩んだ男の脳内に入り、彼の物語を描くことによって、観客のみなさんに彼の人生を追体験してもらいたかった」
――クリストファー・ノーラン
2006年ピュリッツァー賞受賞作
「原爆の父」と呼ばれた一人の天才物理学者J・ロバート・オッペンハイマーの生涯を丹念に描くことで、人類にとって国家とは、科学とは、平和とは何かを問う。全米で絶賛された傑作評伝が、待望の文庫化。
マンハッタン計画を主導、爆破実験の場(トリニティ)に参加し、広島、長崎に投下された二発の原爆を作り出した壮年時代(中巻「原爆」)。
25年にわたり膨大な数の関係者や家族の証言や史料を丹念に取材し、人類に「原子力」という新しい火をもたらした天才科学者の実像をあぶり出す傑作評伝。
解説/高橋昌一郎(中巻)
※本書は2007年8月にPHP研究所より刊行された単行本『オッペンハイマー 「原爆の父」と呼ばれた男の栄光と悲劇』に新たな監訳・解説を付して改題・文庫化したものです。
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Posted by ブクログ
ロスアラモスで原爆を開発し日本に投下されるまで。オッピーのリーダーとしての才能が遺憾なく発揮される中巻。ナチスより先に開発せねばという信念は分かるけど、それがどうして日本に落とされたのかはやはり釈然としない。ただオッピー1人のせいで原爆が開発されたわけでも投下されたわけでも無いことは痛いほどわかる。
Posted by ブクログ
中巻はいよいよ本格的にマンハッタン計画が始動する。
だが、この『オッペンハイマー』というノンフィクション本は基本的にロバート・オッペンハイマーその人に注視したノンフィクションであるので、期待していたような原爆開発のプロセスが多く語られることはなかった。
ほぼ半分はロスアラモス国立研究所の成り立ちから、オッペンハイマー周りの人々との関係がメインで描かれていく。
そして、もう半分にトリニティ実験や、日本に原爆を落とすまでが描かれているのだが、このあたりはとても興味深かった。
未だにアメリカ人の多くが原爆が日本との戦争の命運を分けたと考えていると聞いたことがあるが、原爆投下の前、7月の段階で日本の敗戦は既に決まっていた。ポツダム宣言の受諾もわかっていたようだ。ではなぜ原爆を投下したのか。それはソ連への牽制だった、と。
アメリカは既に次の戦争の可能性に対ソ連を想定しており、そこを牽制するために核兵器の威力を見せつける必要があったのだと。
また、原爆投下後のアメリカの反応も面白い。
核爆弾を手に入れたアメリカは世界で最も進んだ国であり、こんな素晴らしい兵器を他国が、ましてソ連が作れるはずはない、と。
だが1949年にはソ連もプロトニウム型の爆弾の実験に成功する。そこからソ連とアメリカの核開発競争に発展していく。
2024年に生きる自分から見ると、大分イカれたと言うか綱渡りのような政治状況で驚く。案の一つとしてソ連への先制攻撃とか上がるのはわかるが、ここまで政府関係者にイカれたやつがいると、よく戦争が起きなかったなと思う。
冷戦の緊張状態が伝わるようで怖くも感じた。