【感想・ネタバレ】オッペンハイマー 下 贖罪のレビュー

あらすじ

クリストファー・ノーラン監督最新作映画『オッペンハイマー(Oppenheimer)』原案
「オッペンハイマーという誰よりもドラマティックな人生を歩んだ男の脳内に入り、彼の物語を描くことによって、観客のみなさんに彼の人生を追体験してもらいたかった」
――クリストファー・ノーラン

2006年ピュリッツァー賞受賞作

「原爆の父」と呼ばれた一人の天才物理学者J・ロバート・オッペンハイマーの生涯を丹念に描くことで、人類にとって国家とは、科学とは、平和とは何かを問う。全米で絶賛された傑作評伝が、待望の文庫化。
核兵器の規制と情報公開に向けて物理学者たちを率いた晩年と、マッカーシズム時代の「オッペンハイマー事件」の真相(下巻「贖罪」)。
25年にわたり膨大な数の関係者や家族の証言や史料を丹念に取材し、人類に「原子力」という新しい火をもたらした天才科学者の実像をあぶり出す傑作評伝。
解説/入江哲朗(下巻)

※本書は2007年8月にPHP研究所より刊行された単行本『オッペンハイマー 「原爆の父」と呼ばれた男の栄光と悲劇』に新たな監訳・解説を付して改題・文庫化したものです。

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Posted by ブクログ

下巻はマッカーシズムの恐怖に陥るアメリカで、ついにオッペンハイマーが告発され聴聞委員会に呼ばれる。

オッペンハイマーの水爆開発の拒否や、共産主義に傾倒した女性との恋愛など、それ自体は今でこそ決して批判されるようなものではない。だが、当事のアメリカの共産主義への集団パラノイアの前では、全てが罪である。水爆開発の拒否はアメリカとソ連の核開発競争を遅らせる目的であり、たまたま共産主義に傾倒する女性と付き合ったなんてことはありえない。それは、ソ連との繋がりがあったのでは、と見られるのだ。
何年もFBIの違法盗聴にさらされていながら、共産主義との繋がりなどほとんど掴むことが出来なかったのにもかかわらず、半ば罪をでっち上げるような形で共産主義への繋がりを作られる。
そのようなオッペンハイマーへの追及は、AEC(原子力委員会)委員長のルイス・ストローズの私怨が大分混じってるように見えた。

このノンフィクションは中巻がピークなのかと思っていたのだが、下巻が一番面白かった。
オッペンハイマーを擁護する友人たちとのやり取りも美しく、こんな友人たちがいたというだけでも随分助けになっただろうな、と。
またアルコール中毒で、気分の浮き沈みが激しいが支え続けてくれた妻キティの関係も感慨深かった。読んでいると2人は傷付けあってるだけにも見えるのだが、ちゃんと愛で繋がっていたのだな、と。
ただこんな両親を持った子どもたちには同情するが……笑


第96回アカデミー賞でオッペンハイマーを演じ主演男優賞を獲得したキリアン・マーフィーが「私たちは、原爆を作った男についての映画を作りました。そして、良くも悪くも、私たちは皆、オッペンハイマーの世界に生きています。だからこの賞を、平和を築く世界中の人々にささげます」とスピーチした。
冷戦は終わり、米ソの全面核戦争の可能性は低くなった。冷戦時代には米ソだけで7万発もあった核弾頭も2023年には12520発まで減少し、今も減り続けている。
だがアメリカとロシア以外で核配備する国は増えており、核が使われるリスクは上がってるらしい。
核兵器を使わないという選択が、より危ういバランスで成り立つ世界。そんな世界に生きる我々は今一度、よく考えないといけないと、このスピーチを聞いて思った。
映画自体への楽しみももちろんあるのだが、この原作を読んで唯一の被爆国に住む日本人として、核兵器について、原子力について、もう一度よく考える必要があるよなと思った。

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2024年03月18日

Posted by ブクログ

被爆国の者として、興味深く読んだ。
原爆について、オッペンハイマーが中心ではあったものの、時代の大きな流れがあったことがよくわかる。
原作通りなのか、翻訳がやや不親切なのかわからないが、引用された言葉がどういう意味を持つのか分かりづらいところが多々あったのは残念。
引用された言葉

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2024年09月22日

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