あらすじ
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【データで勝敗の法則に迫る!】
「データを見て楽しむ」、こんなスポーツの楽しみ方はいかがでしょう! 近年、親密さを深めつつあるスポーツとデータ。本書は野球、サッカー、バスケ、ラグビー、バレーなどの具体的な事例を挙げ、その背後にある勝敗の法則に、科学でじっくりと迫ります。スポーツにおけるデータ分析の詳しい方法から、データを取るための最新技術までをやさしく解説し、最後の章では実際に予測モデルを運用した結果も掲載しています。この本であなたもぜひ、データ分析という新しい趣味の扉を開いてみてください。
■目次
■第1章 野球とセイバーメトリクス――スポーツデータ分析のパイオニア
1.1 「 頭を使わなくてもできる野球になりつつあるような」
1.2 見慣れた数値は選手を評価できているか?――打率、打点、勝利投手
1.3 セイバーメトリクスと「マネー・ボール」――統計学がプロスポーツを変えた
1.4 スコアブックから物理計測へ――Statcast
1.5 物理計測以降の野球
1.6 野球は「解明」されたのだろうか?
第2章 サッカーのデータ分析――スポーツデータ分析のフロンティア
2.1 データ分析に立ちはだかるサッカーの特徴
2.2 サッカーの得点と、馬に蹴られてしまった兵士
2.3 サッカーにも物理計測の波が――トラッキングデータ
2.4 計測データ蓄積の成果――ゴール期待値
2.5 AI(人工知能)とサッカー分析の近未来
第3章 3ポイントシュートの革命――ルールが誘導する動作
3.1 (身体活動としての)楽しみ・気晴らし
3.2 劇的な変化を生むルール変更――3ポイントシュート
3.3 困難な挑戦を後押しするルール変更――ラグビー
3.4 勝ちの価値――勝点制度
3.5 選手にも運営にも観客にもやさしく――ラリーポイントとサイドアウト
3.6 バランス調整の旅は続く
3.7 判定にテクノロジーを
第4章 「順序をつける」巧みな方法――さまざまなレーティング・ランキング手法
4.1 均衡した日程・不均衡な日程
4.2 日本が9位!? 初期FIFA ランキングの欠陥
4.3 特定国の優遇――バレーボール(旧)世界ランキング
4.4 トーナメント形式で順位をつけるには?
4.5 公式ランキング認定、最大の番狂わせ!――ラグビー世界ランキング
4.6 物理学者アルパド・イロとチェス――イロ・レーティング
4.7 スポーツのランキング事情
4.8 横綱は「強さランキング1位」なのか?――ランキングシステムとして見る大相撲番付
4.9 レーティングを計算してみよう
4.10 Web検索はランキングである
4.11 試験=受験者 vs. 問題
第5章 予測モデルの腕試し――実際のスポーツ大会を予測してみよう!
5.1 「538」は何の数字?
5.2 バレーボール観戦で気づいたこと
5.3 球技統一の予測手法――オリンピック予測プロジェクト
5.4 サッカーの予測に挑戦する――ロシアワールドカップ編
5.5 ラグビーワールドカップ in Japan
5.6 サッカーの予測に挑戦する――EURO2020編
5.7 サッカーの予測に挑戦する――ワールドカップカタール大会編
5.8 自腹でWINNER(サッカーくじ)に挑戦してみた
■著者プロフィール
小中 英嗣(こなか・えいじ):名城大学情報工学部准教授。博士(工学、名古屋大学)。専門分野はシステム制御理論と、その知識を活用したスポーツデータ分析。スポーツ分野ではランキング設計、チーム・選手の定量的評価、および試合結果予測などに取り組む。趣味はスタジアムや美術館・博物館めぐり。名古屋生まれ名古屋育ち。サポートクラブは名古屋グランパス。
著書に『Javaで学ぶオブジェクト指向プログラミング入門』(2008、共著、サイエンス社)、『現象を解き明かす微分方程式の定式化と解法』(2016、森北出版)がある。
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Posted by ブクログ
野球、サッカー、バスケ、ラグビー、バレーなどの具体的な事例を挙げて、スポーツにおけるデータ分析の詳しい方法から、データを取るための最新技術を解説しています。
野球はかなりデータの影響が強くなってることが興味深かったです。
Posted by ブクログ
スポーツデータサイエンス、スポーツアナリティクスに関心があるならまず入門にちょうど良いのでは
野球が一番進んでいますが他のスポーツにも広く言及されてます
Posted by ブクログ
データからスポーツを考えるのはとても楽しい。
本書では、全5章のうち野球、サッカー、バスケに各1章が割かれていますが、バレーにも言及があり、得点確率やランキングにおけるレーティングに触れられています。
過去の国際バレーボール協会(FIVB)のランキングは、実力を反映したものとはとても言い難かったのですが、現行のランキングはイロ・レーティングに基づくものに改正され、かなり実力を正確に反映しています。
イロ・レーティングはチェス用に開発されたものですが、一戦ごとに高度な計算処理がなされており、ランク上位のチームが下位チームに勝ってもあまりポイントは得られず、逆の場合は大きくポイントを失います。
こういった仕組みが本書では示されているのですが、それ以外にも、野球のサイバーメトリクスの考え方は大いに勉強になりました。
アメリカはとにかくなんでも数値化したがる傾向がよく分かりますが(笑)、それがスポーツ大国の地位を、ひいては国力を揺るぎないものにしているのでしょう。
一方、サッカーはフィールドの広さなどの要因でデータ分析が相対的に難しいようであり、アメリカが「サッカー不毛の地」と言われてた原因は意外とそのあたりにあるのかも!?と勝手に想像。
データ分析って難しいけど、本当に面白い。
Posted by ブクログ
前半はサイバー・メトリックスの導入とその影響について。後半のランキングやレーティングの算出方法を学べたのは収穫だった。
サイバー・メトリックスの創始者であるビル・ジェームスは、1977年から野球のデータと統計に関する冊子「ベースボール・アブストラクト」を自費出版していた人物。
チームの勝率は、得点の二乗を得点と失点のそれぞれの二乗で割ったもので予想できる。
サッカーの得点はポアソン分布によく一致する。
最初期のラグビーでは、エンドラインの外側にボールをタッチダウンさせることにより、ゴールのためのキックに挑戦することができるルールだったため、トライと呼ばれた。タッチダウンの後にゴールを狙うキックは、タッチダウンを得点に変換するものなので、コンバージョン・ゴールと呼ばれた。
テニスのATPランキングのランキング得点を対戦相手のランキング得点との合計で割ったものは、実際の勝率とほぼ一致する。
物理学者のアルパト・イロが開発した実力評価方法(イロ・レーティング):
・対戦の予測勝率は対戦者間のレーティングの差で決まる
・予測勝率と実際の試合結果を比較し、レーティングを修正する
サッカーのFIFA、バレーボールのFIVBは、世界ランキングにイロ・レーティングを修正したものを採用している。
Masseyレーティングは、レーティングの差が試合結果の得点差に対応すると考えるもの(解法は重回帰分析と同じ)
Markovレーティングは、敗北や失点は敗者から勝者への投票とみなすもの(解法は固有値と固有ベクトルと同じ)。GoogleのPageRankも同じ式で求められる。
項目応答理論は、受験者が試験問題を解くことを対戦とみなし、正誤を勝敗として受験者の能力を推定するもの。問題の難易度を対戦相手の実力に置き換えれば、イロ・レーティングと同様の式になる。英検などの語学試験や情報系の資格試験に採用されている。