あらすじ
ミュージシャンの夢を捨てきれず、親からの仕送りで怠惰に暮らす、29歳無職の宮路。ある日、余興の時間にギターの弾き語りをするために訪れた老人ホーム・そよかぜ荘で、神がかったサックスの音色を耳にする。演奏していたのは年下の介護士・渡部だった。「いた、天才が。あの音はきっと、俺を今いる場所から引っ張り出してくれる」――神様に出会った興奮に突き動かされ、ホームに通うようになった宮路は「ぼんくら」と呼ばれながらも、入居者たちと親しくなっていく。人生の行き止まりで立ちすくんでいる青年と、人生の最終コーナーに差し掛かった大人たちが奏でる感動長編!
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Posted by ブクログ
誰かと一緒に音楽を奏でたくなる、そして人に接したくなる一冊。
カフェで見つけ、短いし、息抜きに良さそうだと思い読んでみました。さらっとして、楽しげな文章で読みやすく、小一時間ほどで読めてしまいました。
神こと渡部くんとのやりとりも面白かったですが、何より、ホームの入居者さんたちとのやりとりが微笑ましかったです。主人公が彼らのために、悪態をつきながらも、差し入れの品を考えて渡したり、ウクレレを練習したりして、楽しみながら積極的に関わっていく様は、こちらまで嬉しくなりました。
作中に出てくる楽曲も話に合っていて、とてもよかったです。特に、グリーンデイのWake me up when September endsの歌詞とのリンクが素敵でした。
「無邪気じゃいられない。9月になったら起こしてくれ。」は主人公に、そして、「記憶を失っても、何を失ったかは、決して忘れない。」は彼と関わった入居者さんたちに繋がっています。
そして、最後の手紙はうるっときてしまいました。
主人公の演奏は、思ったのと違う方向、その恥ずかしさでですが、確かに1人の人の心を動かしていました。
この作品からは、音楽と人とのつながり、誰かのために楽器を弾き、歌うことの楽しさが詰まってきました。
この主人公が楽器を続けていたのは、自分の才能を示したいとか、本気でプロになりたいとかではなく、誰かと楽しい時間を過ごしたい、初めてバンドを組んだ時の青春をもう一度味わいたかったからなのでしょう。
そんな主人公と本庄さんとのウクレレ練習はまさに青春を感じました。ラストで、記憶を失っても、演奏の楽しさは忘れなかったんだなと、やっぱり少し泣いてしまいました。
Posted by ブクログ
夢を諦めないでいることってやっぱりすばらしいんだな!宮路さんが夢を諦めなかったからこそ、渡部くんや老人ホームのみなさんと出会えた。諦めないこと大切なんだなと思う作品。
Posted by ブクログ
暫くは主人公の呑気さに多少イライラしつつも、水木さんの手紙には涙を抑えられなかった。私もたまに、第三者としてじいさんばあさんの話し相手になる、みたいなボランティアとかあったらやってみたいなと思うことがあるが、何にせよ、介護士というのは本当に尊い仕事である。そしてじいさんばあさんというのは、どれだけボケてたとしてもやはり人生の先輩であり、酸いも甘いも我々よりよっぽどご存知なのである。だからこそ私たちは、いつまでも愚者でいてよくて、色んなしょうもないことを経験して、自分が先輩側になった時に、若い人に少しでも人生の助言ができればそれでよいのだろうと思った。
Posted by ブクログ
29歳で夢をずっと追いかけていた主人公が
老人ホームでの出会いをきっかけに
自分の音楽や自分自身を見つめ直す物語。
最後の水木さんの手紙にグッときた。
自分も余命わずかで大変な中で、
最後の力を振り絞って
今まで伝えられなかった自分の素直な気持ちや
主人公を奮起させる姿に勇気を与えられた。
異なる環境で育った人間だからこそ、
それぞれに見える人生の景色や価値観がある。
自分の世界に閉じこもらず
その広い世界を知り視野を広げ
自分を見つめ直すことも時には大切。
そんな小さな一歩を私も踏み出してみたい。