あらすじ
太陽に抗った聚落の子孫ヌフレツンは、運命に導かれてバイオンリの奏で手を目指す。迫る太陽消失。響け、祖先の遺した禁忌の音。日本SF大賞2度受賞の異形の天才がおくる書き下ろし長編。
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Posted by ブクログ
世界は球面で、その中を這い回る太陽と暮らすかなり過酷な世界の話。このファンタジー世界の真実を暴く的な話じゃなくてファンタジー世界の(読者から見たら変な)価値観の中でめちゃくちゃがんばる。そこがなんか身につまされたというか宇宙人から見たら自分もこうなんだろうなと思って共感できた。(でも真実を暴くパートも読みたかった!なんでジラァンゼが空の夢を見たんだ)
めちゃくちゃがんばる中で仲間ができたり仕事がうまくいったり挫折したり家族ができたり世代交代したりの大河感も楽しめた。
灌水役をやる前に親と喧嘩しちゃうジラァンゼとヌフレツン、君たち似たもの親子だよ……
ラストで「地面掘るのが禁忌になってるのってそういうことか〜」と分かったのは良かった。
欲を言えば終盤のヌフレツンパーティの掘り下げもっと欲しかった〜 陽採り手の奴らすごい良いキャラしてる。
Posted by ブクログ
24/05/10
実写化かアニメ化か漫画化かしてもらい、映像の答え合わせをお願いしたい…!!
世界のイメージを朧げに掴んでからは一気でした。零號琴を読んだときのことを思い出した。
Posted by ブクログ
この人の作品はいつも知らない世界へと連れて行ってくれる。最初は世界に中々馴染めないけども笑。世界観に慣れたら割とスラスラ読める。
「思考は言葉に縛られる」と言う通り、自分の知ってる言葉以上の世界を見る事や理解する事は出来ないから、こういう造語の物語って全く自分の埒外の世界を見られるという意味では希少な作家だし作品。圧巻の一言。
理解力が乏しくて、ラストの「起」かどの時点の記述がちょっと解らない。ヌグミレがいなくなるの少し切ない。
Posted by ブクログ
「奏で手のヌフレツン 」(酉島伝法)を読んだ。
あゝ読み終わってしまった。
壮大なる新しき世界誕生神話出来!
浮揚感と高揚感とゾワゾワ感。稀に心拍数の上昇。
これが世に言う『酉島伝法酔い』なのか!
(嘘です。私が勝手に命名しました。)
他に類を見ない世界観と目眩く造語の数々がたった一人の頭の中から湧き出してくるってのが信じられないわ。
『 ''でょでょでぃ、でょでょ——"
隕星はときおり、鳴き声とも呼吸ともつかない音を洩らす。』(本文より)
Posted by ブクログ
喃鵺粘《なんやねん》。前々忌若乱《ぜんぜんいみがわからん》。出毛転載《でも天才》。始終こんな調子で濃厚な文体だが、ずっと物語に浸ってぐいぐいと読んでしまった。純文学なんだけど、純文学を超えている。前衛ってこういうのを言うんだと思う。
こういうの書いてみたいんだよなぁ俺も。夢裡鴨痴内《むりかもしれない》。霧鸝堕浪《むりだろう》。一価薗討《いつかそのうち》。
Posted by ブクログ
5つの太陽の恩恵で暮らす8つの聚楽がある球地(たまつち)に住む人々をリナニツェ、ジラァンゼ、ヌフレツン、ヌグミレの4代の数奇な運命を通して描く大河。異世界でも友情あり親子愛ありのドラマにハラハラドキドキ。太陽、月、星が地表を動き、太陽の動きを音楽で制御する世界、楽器の名前が千詠轤、焙音璃など面白い。喇炳筒らへいとう だけ判らなかったが他はイメージできた。
第一部ジラァンゼ編が面白すぎて、第二部ヌフレツン編はちょっと尻すぼみ感があったので星4つ。
Posted by ブクログ
最初のうちは造語だらけで圧倒されるが慣れてくるとはまる。
人らしきものたちは集落ごとに一つの太陽を持っており、月や星は太陽を追って勝手に動き回る獣のような存在。
「裁定者」の神話を信じている者達の住むエリアだけ裁定力(重力みたいなもの?)が働くという設定が面白い。
主人公たちの肌や髪の色はほぼ描写されてないけど皆同じなんだろうか。