あらすじ
気鋭の人事戦略家が説く、 明るい職場を取り戻すための処方箋ベストセラー『はじめての課長の教科書』の著者の最新刊。どうせ仕事をするなら、明るい職場がいい。……この考え方は間違っています。明るい職場の意義は、「どうせ仕事をするなら」という小さなレベルではなく、経営にとって最重要の課題です。経営は「絶対に明るい職場をつくる必要がある」。これからの上司にとって、明るい職場づくりにコミットすることが重要な仕事になります。日本企業を襲う「職場コミュニティーの弱体化」問題を、気鋭の人事戦略家が、ITや心理学を活用することによって、モチベーションを高め、解決を図る、明るい職場を取り戻すための明日からすぐに実践できる具体的な処方箋を提供します。
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Posted by ブクログ
・「絶対に明るい職場を作る必要がある」そう断言する著者は、職場コミュニティーが弱体化する現状を踏まえ、その原因と解決について話を進めていく。
・特に興味深かったのは、その原因において、大きく3つのコミュニティ破壊が起こっていると言う。それは、人間の欲求の間に起こるジレンマ、イノベーションのジレンマ、職場の公式コミュニケーションと非公式コミュニケーションのジレンマである。フィルムカメラからデジタルカメラに市場が取って代わる「破壊的イノベーション」が、移動手段のイノベーション(電車や車など交通機関の発達からインターネットや情報手段)に重ねることができる。イノベーションとはどのような流れの中で発生するのか、とても理解しやすく述べられていた。
・そのイノベーションの中で自分がどのように、新しいものを捉えていく必要性があるか、気づかされた。
・第3章で紹介されている社内のミニブログで書評を勧める運用に触発され、私も個人的に短文でも良いから、書録をしていこうと思い実施することにした。
・巻末のコラム「読書重要性」については、テレビ、インターネットを代表とした情報収集手段が多様化する中、読書の差別化について、納得させられるコラムだった。
Posted by ブクログ
企業買収後の企業融合(Post Merger Integration:PMI)の話を書こうとしたら、ひとつの企業の中でさえ統合が失われていることに気付き、職場コミュニティーを復活させようとした本。
MBA卒らしく、様々な組織理論が登場する。まずはマレーの欲求リストとマズローの欲求ピラミッド(生理、安全、親和、自我、自己実現)を用いて、高度成長期の日本が下層欲求が満たされ夢につながる自己実現欲求を追う余裕があったのに対し、こらからの日本では安全への欲求を自己責任で満たす必要があり親和の欲求が弱体化していると分析。自己実現が声高に叫ばれる昨今だが逆に安全の欲求が満たされないというジレンマがあるのだな。 その後、愛着理論から社員を4タイプに分類。
後半は実践編で、
マネージメント層への研修 (ARCS)
懇親会の積極的利用、課題とフォローアップ(SMART)
読書とクラブ活動の推奨
等を紹介。
結果的に、やってることは意外とオーソドックス。夜の飲み会だけではなく、日中のコミュニケーションの場を考えるあたりが新しい。
この筆者の著書ではいつものことだが、経営層が読むべき本。
Posted by ブクログ
よく「どうせ仕事するのならば明るい職場がいい」ということが言われますが、本書はそのレベルにとどまらず、経営層が認識すべき最重要課題として今日の日本企業が抱える問題の分析と具体的な対応策を提言しています。
「職場コミュニティ」が崩壊しつつある背景として、(1)個人の安全が脅かされる時代背景により、他人に構ってられない。(2)インターネットの普及により職場外にコミュニティが形成されてきている。(3)業績や効率性が重視されるあまり非公式コミュニケーションが軽視されている。 という3つの問題点が挙げられています。
こうした問題点を踏まえて、9つの理論を応用して具体的な9つの対策が紹介されています。
9つの具体策には、非公式コミュニケーションの活性化、学習する場の実現、(従業員からみた)企業の魅力向上などが盛り込まれています。
例えば、オフィスのレイアウト変更といったコストがかかりそうなものから、親睦会(飲み会)のデザインのようにすぐにでも取り組めそうなものまで様々です。
※これらの対策はあくまで筆者の経験に基づくものであり、適用する場合は各企業の事情なり環境に合わせて十分に検討する必要があります。
職場における有益なコミュニケーションが失われつつあることに危機感を抱いている経営者・人事担当のみならず、現場で閉塞感を感じている担当者にとって何らかのヒントが本書から得られるのではないでしょうか。
「職場」のあるべき姿について考えさせられる一冊です。