あらすじ
気鋭の人事戦略家が説く、 明るい職場を取り戻すための処方箋ベストセラー『はじめての課長の教科書』の著者の最新刊。どうせ仕事をするなら、明るい職場がいい。……この考え方は間違っています。明るい職場の意義は、「どうせ仕事をするなら」という小さなレベルではなく、経営にとって最重要の課題です。経営は「絶対に明るい職場をつくる必要がある」。これからの上司にとって、明るい職場づくりにコミットすることが重要な仕事になります。日本企業を襲う「職場コミュニティーの弱体化」問題を、気鋭の人事戦略家が、ITや心理学を活用することによって、モチベーションを高め、解決を図る、明るい職場を取り戻すための明日からすぐに実践できる具体的な処方箋を提供します。
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「職場コミュニティ」の重要性。
仕事は仕事、プライベートはプライベート、ときっちり分けることがフツウのことになっています。しかし、生きた人間同士が同じ目的に向かって仕事をする職場が、その切り分けで機能するのだろうか、という疑問もあります。
職場をコミュニティとして機能させることが業績向上やメンタル対応にもつながると思われます。
職場コミュニティでよく見られるトラブル、失敗を例示し、それがなぜ起きているのかデータも開示しているので説得力があります。そしてその対応策は筆者が企業で実施してきた施策です。
データと事例が詳しく紹介されていて(やや古くなってしまう部分もあるものの)、いつも勇気づけられる1冊です。
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以前酒井さんの講演で衝撃を受けた内容が本になりました。読んでみて何故衝撃を受けたのかを考えさせられました。私が社会人になった頃は自分の周りは、家族と会社と地域でほぼ100%だったでしょう。ただ、Internetが出てきた事で、今そしてこれからは+αで"思いを同じくする仲間"が、自分のコミュニティの一つとして含まれます。その時に、これまでは会社の中で、積極的にまたは折り合いをつけながら"やりたい事"を見つけてきた人々が、会社という枷を超えて自己実現を目指して行動し始めるでしょう。故にその人にとって会社・職場にいる意味は、日々の糧を稼ぐため、になっても何らおかしくはないはずです。その時に、今の私が感じている会社観や職場観が通用するのか…、そんな環境に自分はついていけるのか…、正直コワくなりました。考えすぎかもしれませんが、イノベーションのジレンマにあるように、水面下の変化は急激に広がり、今の価値観を破壊します。自分に起こすべき変化は何か、改めて考えたいと思いました。
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・「絶対に明るい職場を作る必要がある」そう断言する著者は、職場コミュニティーが弱体化する現状を踏まえ、その原因と解決について話を進めていく。
・特に興味深かったのは、その原因において、大きく3つのコミュニティ破壊が起こっていると言う。それは、人間の欲求の間に起こるジレンマ、イノベーションのジレンマ、職場の公式コミュニケーションと非公式コミュニケーションのジレンマである。フィルムカメラからデジタルカメラに市場が取って代わる「破壊的イノベーション」が、移動手段のイノベーション(電車や車など交通機関の発達からインターネットや情報手段)に重ねることができる。イノベーションとはどのような流れの中で発生するのか、とても理解しやすく述べられていた。
・そのイノベーションの中で自分がどのように、新しいものを捉えていく必要性があるか、気づかされた。
・第3章で紹介されている社内のミニブログで書評を勧める運用に触発され、私も個人的に短文でも良いから、書録をしていこうと思い実施することにした。
・巻末のコラム「読書重要性」については、テレビ、インターネットを代表とした情報収集手段が多様化する中、読書の差別化について、納得させられるコラムだった。
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ご機嫌な職場 酒井穣 (2011/8/26)
著書に、「はじめての課長の教科書」「あたらしい戦略の教科書」「日本で最も人材を育成する会社」等多数。
実務において、経営戦略と人事を専門としている著書。
経営にとって最重要の課題である職場の雰囲気。
それは絶対に明るい職場をつくる必要があると説いている。
本書は、明るい職場をつくるための方法論を考えるものであると同時に、企業の収益を改善するための戦略を考えるものでもある。明るい職場と企業の収益は密接に結びついているからである。
本書の構成は以下の3章
①ご機嫌な職場はなぜ失われたか
②ご機嫌な職場をつくるために
③ご機嫌な職場のつくり方
著者の作品はどちらかというと読みやすく平易な言葉で書かれた本が多く、導入本としては持ってこいの作品が多い。
しかし、本書は学術的な匂いがプンプンする少し読むのに抵抗を感じてしまうモノであった。しかし、読み進めるにあたりさすがはそのへんは著者の力量が素晴らしく、理解しながら体系的に職場風土の改善について学ぶことが出来た。
どこの企業にも多かれ少なかれ風土についての問題は存在している。まずそれを認識し受け止め、それに沿った改善策をこうじていく必要がある。
色々なケースから参考にしてみたい。
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企業買収後の企業融合(Post Merger Integration:PMI)の話を書こうとしたら、ひとつの企業の中でさえ統合が失われていることに気付き、職場コミュニティーを復活させようとした本。
MBA卒らしく、様々な組織理論が登場する。まずはマレーの欲求リストとマズローの欲求ピラミッド(生理、安全、親和、自我、自己実現)を用いて、高度成長期の日本が下層欲求が満たされ夢につながる自己実現欲求を追う余裕があったのに対し、こらからの日本では安全への欲求を自己責任で満たす必要があり親和の欲求が弱体化していると分析。自己実現が声高に叫ばれる昨今だが逆に安全の欲求が満たされないというジレンマがあるのだな。 その後、愛着理論から社員を4タイプに分類。
後半は実践編で、
マネージメント層への研修 (ARCS)
懇親会の積極的利用、課題とフォローアップ(SMART)
読書とクラブ活動の推奨
等を紹介。
結果的に、やってることは意外とオーソドックス。夜の飲み会だけではなく、日中のコミュニケーションの場を考えるあたりが新しい。
この筆者の著書ではいつものことだが、経営層が読むべき本。
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明るい職場は「なんとなく生まれる」のではなく、「従業員一人ひとりが意識してつくりあげる」ものです。
まさに「なんとなく」読み始めて、ここまで論理立てて考え方が書かれていることに面食らった。
議論>対話>雑談
真剣すぎず自由すぎない「対話」が重要
職場 <=> 地域 コミュニティー
少子高齢化が進むと地域コミュニティーが重視される
インターネットに距離の破壊により「職場」という概念がなくなるかも。
業務支援、内省支援、精神支援
上司の仕事が業務支援だと思いがちだが、
実際には業務支援は部下の成長には結びついていないと思われ、
精神支援のほうが能力向上に紐付いている。
組織は目的を達成するため、道具としてのコミュニケーション「Do」
→株主重視
コミュニティーは人間のつながりを形成し、そこから精神的な充足を得るため
目的としてのコミュニケーションによって支えられている「Be」
→従業員重視
教育のデザイン ARCSモデル
1.Attention(注意)
注意をひきつける
2.Relevance(関連性)
相手の利益と関連性があるか
3.Confidence(自信)
自分には無理そうと感じさせない
4.Satisfaction(満足感)
学んでよかったと思わせる
在宅勤務をすすめること
→接触回数を減らすという負の面も持っている
ファミリーフレンドリーな会社
→従業員に優しいではなく、働く従業員が互いの家族を大切に思っている
Posted by ブクログ
「どうせ働くなら明るい職場の方がいいー」
この考えは間違いで、正しくは、
「“絶対”明るい職場でなければならないー」と。
ポジティヴな空間が良い成果を生むのは当然の事。
本書で取り上げられていた良い職場作りのための具体的施策は
すぐには行えないものばかりだが、考え方は参考になるばかり。
酒井氏の著作はやはりイイ。毎度ながら。
Posted by ブクログ
よく「どうせ仕事するのならば明るい職場がいい」ということが言われますが、本書はそのレベルにとどまらず、経営層が認識すべき最重要課題として今日の日本企業が抱える問題の分析と具体的な対応策を提言しています。
「職場コミュニティ」が崩壊しつつある背景として、(1)個人の安全が脅かされる時代背景により、他人に構ってられない。(2)インターネットの普及により職場外にコミュニティが形成されてきている。(3)業績や効率性が重視されるあまり非公式コミュニケーションが軽視されている。 という3つの問題点が挙げられています。
こうした問題点を踏まえて、9つの理論を応用して具体的な9つの対策が紹介されています。
9つの具体策には、非公式コミュニケーションの活性化、学習する場の実現、(従業員からみた)企業の魅力向上などが盛り込まれています。
例えば、オフィスのレイアウト変更といったコストがかかりそうなものから、親睦会(飲み会)のデザインのようにすぐにでも取り組めそうなものまで様々です。
※これらの対策はあくまで筆者の経験に基づくものであり、適用する場合は各企業の事情なり環境に合わせて十分に検討する必要があります。
職場における有益なコミュニケーションが失われつつあることに危機感を抱いている経営者・人事担当のみならず、現場で閉塞感を感じている担当者にとって何らかのヒントが本書から得られるのではないでしょうか。
「職場」のあるべき姿について考えさせられる一冊です。
Posted by ブクログ
ご機嫌な職場が失われた理由と職場コミュニティ回復の為の開発理論と方法が纏められた一冊。グローバル化(同一職業、同一賃金、フラット化)とSNS、NPOの台頭の中で、職場のコミュニケーションスタイル(情報伝達、問題対応、対話、個別対応、人間関係維持の5つの形)のバランス再考とモチベーションとの関係を示した上で、インターネットを介した競合コミュニティーへの対応、理念への議論の活性化、仲の良い職場がもつ意義と非公式なコミュニケーションを念頭に置かせた打ち手(懇親会のデザイン、中だるみを防止するファシリテーション、ピークエンドの法則等)を紹介していく。メモ(1)学習と自らの行動の基準や行動の前提となる理論を変更したり修正したりすること。学習のモードには2つ、①問題を発見し、問題を解決改善するために行動の基準となる理論の公立や効果を高めようとするシングルループ学習、②問題を解決する為に、理論自体を変えるダブルループ学習、がある。(2)表現力というものは読解力があって初めて養われる。高度に圧縮された文字情報は干し椎茸と同様であり、読書は解凍、圧縮のトレーニングになる
Posted by ブクログ
酒井さんの著書を読むのは3作品目だが、それぞれその視点や分析内容、説明の分かりやすさになるほどと思わされる。
昨今、職場の雰囲気が良くならないのは、社内のコミュニケーションが不足しているためで、対策として社内コミュニケーションを良くしようという類のことをよく耳にするが、その本当の原因や対策についてはほとんど納得できるものは見当たらなかった中で、本書から大きなヒントを得たような気がしている。
本書では「明るい職場」は「絶対につくる必要があるもの」であるが、実際には職場コミュニティーが弱体化しているとして、その原因を欲求理論、イノベーション理論、コミュニケーション理論などの視点から明らかにしている。そしてその原因についての対策を、9つの理論(仮説)を用いて説明している。そのうえで、理論だけでなく著者が役員を務める会社で実践されている内容を結構具体的に紹介してくれている。
もちろん、著者の述べていることが他の会社にそのまま当てはまることはないだろうが、ヒントにはなると思う。
また色々な理論を駆使して説明されているが、要は人間が持つ「自分勝手に振る舞いたいが、他者からも好かれたい」という矛盾した欲求を理解し、ケアしていくことが大事なのではないかと感じた。著者も書いておられるが、経営学とは結局のところ人間学なんですね。
Posted by ブクログ
酒井さんの本はいつも通り読みやく、わかりやすかった。
職場を学習する場としてとらえたとき、助け合う(互酬性)が大事だということ。いっぽうで、企業組織のコミュニティーが危機を迎えていることが、理論をまじえて説明されている。
酒井さんが実際にどのような対応を行っているかの対策案も、アイデアとして面白い。もちろんこれが万能な処方箋ということではないが。
Posted by ブクログ
2011年と出版年が古く、職場コミュニティはネットコミュニティ、NPOが競合である、という前提。様々な著名人の考え方や理論を引用しての説得が、得てして説得が目的なのではと思うぐらいに多く、それらが逐一芯をくっている感覚もなく、なかなか共感しにくかった。
様々な知識を手に入れられたという点で読んでよかった。
メモ--
マレーの欲求リスト、ERGリスト
自己充実欲求と繋合けいごう希求欲求
職場コミュニティの台頭と地域コミュニティの衰退
p48.近年ビジネスにおける対話をテーマとした書籍の出版が相次いでいます。
p58.ドラッカーのコミュニティの定義、コミュニティはbe、組織はdo
中原淳、組織学習論、能力向上に結びつくのは業務支援ではなく精神支援。
Posted by ブクログ
ピークエンドの法則。
人はピークの時と最後を覚えている。旅行や飲み会はピークと最後が大切。
マレーの欲求リスト
Abasement(謙虚) 譲ったり、罰を受け入れる欲求
Achievement(達成) 困難を乗り越え、成功する欲求
Acquisition(獲得) 財産を得る欲求
Affiliation (親和) 他者と交際し、仲良くなる欲求
Aggression(攻撃) 他者にダメージを与える欲求
Autonomy(自律) 他者の支配に抵抗し、独立する欲求
meavoidance(非難回避)ルールに従う欲求
Construction(構成) 何かを創造し、構築する欲求
Contrariance(反発) ユニークな存在である欲求
Counteraction (TEA) 名誉を守りたいという欲求
Defendance(防衛) 自分を正当化したいという欲求
Deference(恭順) 上位者に従い、仕えたいという欲求
Dominance(支配) 他者をコントロールし、統率する欲求
Exhibition(顕示) 他者の注意を惹きたいという欲求
Exposition(説明) 情報を提供し、教育したいという欲求
Harmavoidance(障害回避)痛みを回避する欲求
Infavoidance(劣等回避) 失敗を回避し、弱みを隠す欲求
Nurturance(養護)困っている人を助けたいという欲求
Order (秩序)整理、組織化し、正確である欲求
Play(遊戯)楽しみ、リラックスする欲求
Recognition(承認)認められ、ステータスを得る欲求
Rejection(拒絶)他者を排除したいという欲求
Sentience(感性) 感覚的な印象を楽しむ欲求
Sex(性) 性的な関係を構築し、そこから快楽を得る欲求
Similance(模倣)共感したいという欲求
Succorance(救援) 保護や同情を得たいという欲求
Understanding(理解) 分析、経験し、知恵を得る欲求