あらすじ
江戸初期、書、陶芸、茶の湯など多方面で活躍した数寄者・本阿弥光悦とは――。光甫の「行状記」を筆記した孫娘が語る、光悦と家業の刀の鑑定、そして一族の風流で清貧な生活と美の世界。著者の代表作『清貧の思想』の先駆けとなった長篇小説。
〈解説〉川村 湊
【目次】
巻一 鷹ヶ峰返上のこと
巻二 妙秀がこと
巻三 光悦がこと
巻四 刀の目利きのこと
巻五 紹益殿の訪れのこと
〈解説〉川村 湊
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Posted by ブクログ
文体や内容的に第二章くらいまでは少し読みにくいけれど、第三章の本阿弥光悦の話に入ってから俄然面白くなりました。人となりや暮らしぶりを全く知らずに光琳のような豪奢なイメージでいたので、だいぶ驚きました。これを読んでからまた光悦の作品を観ると見方が変わりそうです。
Posted by ブクログ
先日、本阿弥光悦の大宇宙展を観てきたので、読んでみた。清貧の思想で有名な中野孝次さんの作品。光悦の孫にあたる光甫が、光甫の孫であるばばに語り書かせた内容をばばが語るという物語。没落していく本阿弥一族の物語。その栄光の時代を支えた本阿弥の思想、哲学がばばの語りにより伝えられていく。本物を見極める視点、姿勢はそのまま生き方に通じていく。ではなぜ没落してしまうのか、と疑問に思いつつ、時代の流れについていけない不器用さもその生き方の一つなのでしょう。この手の流れ、日本人は比較的好きだよなぁと思う。今はしっくりこないけど、嫌いではない。なんにしても、光悦の凄さだけはびしびしと伝わってきた。