あらすじ
1945年頃から1990年頃にかけて、アメリカ中心の西側陣営とソ連中心の東側陣営が対立した「冷戦」。その影響は21世紀の今日にも色濃く残っている。本書は米ソ超大国やヨーロッパの対立のみならず日本を含む東アジアの展開にも力点を置いた通史である。下巻では、泥沼化するベトナム戦争、デタント(緊張緩和)の進展と「新冷戦」への転換、そしてゴルバチョフの登場を経て冷戦が終わるまでを描き、この時代の意味を問い直す。
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Posted by ブクログ
東西冷戦をめぐる上下2冊の概説。米ソ両国に限らず、世界各地での様々な動きが網羅されている。
歴史研究の進展によって、トルーマン・ドクトリン、鉄のカーテン演説、マルタ会談などの重要な事柄でも、通説的なイメージとは異なる側面が明らかになってきたことがよく理解できた。ただし、西側諸国に比べると、ソ連・中国など東側諸国については、不明な点がまだかなりあるという印象も受ける。これは、史料公開が進んでいないことを意味しているのだろう。
Posted by ブクログ
冷戦史の下巻は、ベトナム戦争から冷戦の終結まで。
この辺りの歴史は自分自身もニュースなどで見聞きして、また学んだこともあるテーマが多くなる。が、当時はそれぞれの関連がわからなかったものが、大きなところでどうつながっていたのが、ときあかされていく感じで、パズルが解けるような快感があった。
この本は、単純に東西陣営の話しだけでなく、その陣営内での状況、そして、それ以外の国との関係を記述してあるわけだが、その分析アプローチがうまく機能していると思った。
読んでみて、思うのは、敵がいる時には、その敵を倒すために協力がなされるのだが、敵がいなくなるそこから内部対立が生じて、紛争になったり、戦争になったりすることが多いということ。もちろん、そうでないケースもあるのだが、何だか、人間の性のようなものを感じた。
あと歴史というのはどのように形成されていくのかということで、何らかの歴史法則というか、大きなパワーが流れていて、その中で、個別の事象が起きているみたいな図式的なものの見方をついしてしまうのだが、当たり前だが、現実はそのようなものではないことがわかる。
この歴史では、現実主義とイデオロギーの関係、マクロ的な状況とリーダーの個性の関係、交渉の中での言葉の誤解、不信からくる展開、そして小さな違いが当事者の意図を超えて事態を大きく変えていくこと、そして、それらの中で各国のプレイヤーが何かを学習していくこと、などなど、いろいろなことが起きている。
ある意味、これは決定論的な立場ではなく、未来はまさに今何かやることによって生成されていくということなんだなと思った。
大変、難しい時代ではあるが、私たちが何かをやることがその後の歴史をなんらかの形で変えていくということかな?
新書2冊と割とボリュームのある本ではあるが、取り扱っているテーマが多いので、一つ一つの事象について記述はかなり短い。ある程度の前提知識のない人は、わからなくなるかもしれない。