あらすじ
全ての地下鉄通勤者に捧ぐ。愛と死、そして魂の再生へ-戦後の地下鉄を舞台に感動の冒険ファンタジー。地下鉄が誘う哀愁の世界へ男は旅だった。それは父との和解への道のりだった。-これ程まで人生の過酷な選択を迫るファンタジーはあっただろうか-特別エッセイを収録した愛蔵版。※巻末ページのリンク先にはジャンプ出来ませんのでご了承下さい。
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Posted by ブクログ
(作品紹介より)
町に地下鉄がやってきたその日、真次は不思議な錯覚に捉われる。ホームに立ちつくす自分を、もうひとりの自分が地下鉄の窓の中から見つめているのだ…。
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浅田次郎さんの著書は多く、何から手をつけて良いか分からず手にとった本だったのですが、本当に読んで良かったと心から思える作品でした。
内容自体は地下鉄に乗ってタイムスリップする微ファンタジーものです。そこに引かれて読み始めたのですが、タイムスリップなんて言葉では言い尽くせない程のストーリー構成、登場人物と登場人物の関係に、読み始めると止まらなくなってしまいます。
主人公は地下鉄構内に事務所をかまえる小さな会社の営業マンです。大企業の社長であるが家族に厳しい父の存在を疎ましく思いながらも日々を生き、その日もいつも通りに地下鉄を利用したところ、地下から地上に昇ってみると、そこは見たことがあるようで現在とは違う、過去の、兄が死んだ日で―――。
過去の力強い描写、時間と時間の交わり、そして徐々に明るみになってくる真実――父に対するどうしようもない気持ちと、父が過ごして来た時代の波。
ラストはどうしようもなくて泣いてしまいそうになったのですが、全ての文章が輝いていて、読者を引きつける素晴らしい物語です。
Posted by ブクログ
父親の、一人の男としての一生を息子がタイムスリップして始めて知る。
大嫌いな父親にも嫌なところだけではなく魅力的なところだってあったんだ。
最後に、お父さんに会ってほしかったな・・・。